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第二十七話「ダンジョン探索講習会二日目②」


ちょっと広めの部屋に入ると、予想通りゴブリンが‥‥‥四体。


見た目は醜悪な緑色の子供。

ファンタジー物では定番の雑魚キャラのイメージだけど、この世界でもあまり変わらない。一体一体は人間の子供程度で、危険度は1。


──────ガンガンガン。


ただ、繁殖力旺盛で群れで行動するので、町の近くで発見されると、緊急討伐依頼が出されるくらいには危険な魔物だ。


「カトレアさん、相変わらずおかしいですわよ」

「だ‥‥‥大丈夫なの、あれ‥‥」


群れが大きくなると、その中から上位種であるゴブリンリーダーやロードが生まれ、万単位の軍団になる場合もあるからだ‥‥って。


「モノローグ中に攻撃するんじゃないわよ!」


お構いなしに、手にした棍棒で私に殴りかかるゴブリン達。勿論、うちの優秀な《全周囲防御》は、そんな攻撃では抜けはしない。


「はいはい、私が引き付けてるから、やっちゃってくださーい」

「わ‥‥わかった」

「回復は‥‥要らなそうですね‥‥」


ユースが、返事をして手を翳し集中し、シシリーが弓をつがえる。アークは《水魔法》で回復を‥‥と思ったが、攻撃に切り替えたようだ。

それぞれの攻撃で三体が倒れ、もう一体を私が小剣で倒し、クリア。

ふむ、皆ゴブリンくらいは楽勝みたいね。


しばらくするとゴブリンの死体は、さらさらち消え失せ、───チャリンと、どこからか小銭が落ちてきた。銀貨二枚。


ダンジョン最大の謎はこれだ。倒すと死体は消えドロップアイテム(お金、アイテム、宝箱など)が残るというゲームのような仕様。

通説では、〈迷宮種〉がリソースの回収と変換を行っていて‥‥‥ドロップアイテムは外から人を集める餌で、人から何らかのリソース(体力、魔力など)を吸収しているのでは?‥‥‥と言われているが、解明されていない。

また、倒された魔物も一定時間でリポップする。


外では、このような事はなく、魔物にもちゃんと生態系があって繁殖するので、こういう現象はダンジョン内だけだ。


私はそれこそ「ゲーム」でもさせられているんじゃないかと思うけど、まあ、なんでもいいや。そういうものだと思っておくのが一番だ。


「少々驚きましたが、人型は大丈夫みたいですね」


戦闘を終えて、カンナさんが皆を見回す。それの確認も実習の一つなのかな。


やはり人型の敵と戦うのは覚悟がいる。だが、相手はそうは思ってくれない。

平和な日本なんかでは、人命が人権がと言うけれど、殺人事件は無くならず、何かがあっても代わりにやってくれる人がいるから悠長な事を言ってられるんじゃないかなと思っている。

少なくとも、この世界は残酷で、相手が「人」だとしても躊躇ってられないのだ。


「俺たちは、外でゴブリン退治も経験してるんで」


そう言うユース。私も盗賊相手とかしてるしね。


「そうですか。では、先を急ぎましょう」



────ゴゴゴゴ。


それから、数部屋を通過して何度かゴブリンを倒し、先に進んでいると地鳴りのような音が、辺りに響く。


「え、何の音ですの?」

「ダンジョンの〈成長〉音かな?」

「よくご存知ですね。ダンジョンが造り変わる〈成長〉の音ですね。どこかの区画が変化している筈です」


シャルちゃんの問いに私が答えると、カンナさんが捕捉してくれる。


定期的なのかリソースが貯まった時なのかは解らないが、ダンジョンは姿を変えていく。この《小鬼の迷宮》も発見当初は十階層までだったらしいが、今では40層にもなるようだ。


「浅い階層は変わる事はほぼ無いとは思いますが、一応気を付けてください」


はい、フラグですね。ありがとうございます。



探索は順調に進み、時間はそろそろお昼。

ちなみに、ここまでのドロップは銀貨十二枚と銅貨二十七枚。ある程度の冒険者なら単独でも問題ない程度とは言え、流石ゴブリン、ドロップショボい。


「ここで休憩にしましょうか」


目的の合流地点までは、もうしばらくくらいだが、実習の一環として休憩を取るようだ。


まずは安全確認。物影や通路の少し先まで確認して、本当に休憩出来るか調べる。

すぐ近くに魔物がいたとか危険な場所とかあったら大変だからね。

一応、魔物避けの香を焚いたり、結界を張る場合もあるけど、スキル所持者でもなければ魔道具はお高いのです。


それから休憩だけど、危険な場所なら食事も交替で見張りを立てながらする。まあ、今回はしばらくゴブリンも湧かないので、皆でゆっくりしますけど。


さて、流石にここでは煮炊きできないから、何にしようかなと周りをみれば、カンナさんは焼き固めた携帯食、あちら三人はユースが《収納》からパンを取り出しているようだ。


「ユースさん《収納》持ちですか」

「ああ、これだけは取り柄で」


カンナさんは羨ましそうで。ユースは、ちょっと得意そう。

30層とか行くPTは収納系欲しいよねぇ。ドロップは確保したいが、食料が、というジレンマ。ラノベとかで魔物食べてダンジョン生活を満喫するとかあるけど、消えてしまうこの世界では不可能だし。


そしてシャルちゃん、期待してますと、こっちを輝いた目で見つめないっ。


──────なんかあの空気を壊すのはなー。


二秒くらい悩んだけど、美味しい物には勝てませんねっ!!

私の取り出した、焼きたて熱々の、肉串、コーンポタージュ、ピザトーストは皆にもお裾分けしました。


お読み下さりありがとうございますm(_ _)m

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