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第二十一話「似た者同士と言わないで」


「わたくしは、シャルロッティ・エスト。銅ランク。好きな食べ物は〈仔猫のしっぽ亭〉の焼きプリン!差し入れはいつでも歓迎しますわ!」


お嬢様が手を腰に胸を張ると、ふるんと胸のプリンが大きく揺れる。

年は私より少し上くらい?金髪、ドリルツインテール、その上ロリ巨乳のお嬢様とは属性盛り沢山だな。

なんかいらない情報入ってるけど、エスト家ってどこかで聞いたような。


「‥‥‥カトレア・クロフォードよ」

「ダメダメですわ!名乗りというものは、もっと派手に、自分のアピールをするものですわ。やり直しを要求します」


もう、なんか面倒な人だなぁ。


「あ、思い出したエスト家って〈南の辺境〉っていうあのエスト男爵家かー」

「そう言う貴方こそ〈北の辺境〉クロフォード男爵家ですわね」


「「‥‥‥‥」」


「クロフォード家家訓!『働かざる者、スープは具無し』よ!!」

「エスト家家訓!『生きるという事は、狩る事だ』ですわ!!」


───ガシっと固い握手。


辺境の貧乏貴族はどこも似たようなものらしい。


「それはともかく、勝負ですわっ!」

「それ、まだ続いてたんかいっ。私はダンジョン行ったりしないといけないから、忙しいんだけど。王都に居られる時間も少ないし」


リミットは十日間、仲間以外にも、やっておきたい事は結構あるし。


「ダンジョン‥‥」


お嬢様は、何か考え込んでいるので、私は講習会の申込書を貰い、書き始める。


「それはなんですの?」

「ダンジョン探索の講習会の申込書よ。講習受けないとダンジョンに入れないから」

「分かりましたわ、そこで決着を着けますわ!」


講習会で何を競うというのか。

あまり関わると大変そうなので、流しておくのがよさそうだ。

隣で大人しく申込書を貰っているので放置。


「はい、これで大丈夫です。手数料は銀貨十枚になります」


お姉さんに書き終えた紙を渡しお支払い。

その様子を見て、隣で「‥‥‥今日のご飯が‥‥」と一瞬こちらを伺い、涙目で続きを書いている。


私は盗賊退治の報償金が入ったので懐は暖かい。

四人で山分けして(オスカーさんは自分は大したことをしてないと辞退してたが結局四等分にした)金貨四枚も貰ってしまった。

銀貨一枚が日本で五百円くらいの価値。金貨一枚は銀貨百枚で、銅貨は一枚十円で、五十枚で銀貨一枚と計算がちょっと面倒だね。

金貨銀貨は、大金貨大銀貨があって、それぞれの五十枚分。

金貨の上は魔晶貨というのがあるが、金貨百枚分なので、普通使う事はない。


金貨四枚は、二十万と考えると、大金だー。


とりあえず手続きが終わったので、ギルドを後にする。受付のお姉さん達が手を振ってくれた。

まずは、オスカーさんが予約を入れてくれてある筈の宿に向かおう。



「‥‥‥で、なんでついてくるのよ」


宿のある南区に向けて歩いているのだが。

後ろを、こそこそとシャルロッティがついてくる。最初は私と同じように宿が南区なのかと思ったが。


「あの‥‥さっきの講習費用でお金ない‥‥」


まあ、確かに銀貨十枚となれば安い宿とご飯くらいは食べられる金額だと思うけど。費用にはギリギリ足りたようだが、この子は銅ランクって言ってたから厳しいのだろう。


───まあ、半分は私に乗せられて受ける事になった訳だし、仕方がない。


「分かりました。今晩くらいは面倒みてあげるわ」

「ありがとう~~~」


涙を浮かべ、すがりついてくる彼女を引き剥がし、宿に向かう。


宿兼酒場〈ロザリア〉。王都の中では高級ではないが、安宿ではないので、床で雑魚寝なんて事はなく、ちゃんと個室がある、そこそこクラスの宿らしい。

下の酒場は、値段は普通でも美味しくて、大盛が特徴で、食べ盛りの若者に人気がある。

ただ、夜は酒場なので、お子さまにはお勧めしないという事だった。


私の十日分、それから幸い部屋は空いていたので、シャルロッティの一泊分を払い、夕飯を摂りに宿を出た。


夕飯は何にしようか。


「どこかお薦めのお店ない?」

「そうですわね‥‥‥」


王都には初めてなので、とりあえずシャルロッティに聞いてみると、南区の中央通りを脇に入った所にある、行列が出来ていたお店に案内された。




「へい、ネギチャーシューお待ち!」


威勢の良い店員が運んで来たのは、大盛のラーメン。山盛りにドカンと洩られた、キャベツと もやし、そこにチャーシューが飾られ、さらにネギの山。

スープは背脂たっぷりの濃厚豚骨。

日本で言えば二郎系?


「スゴいね、これは」

「このジャンクな感じが堪らないですわね」


濃厚なスープは胃にきそうな気がしたが、意外といける。ボリュームたっぷりだけど、確かに「行列の出来るラーメン屋さん」の美味しさだ。


男爵令嬢ふたりがズルズルとラーメン食べてるのはアレな気もしなくないけど、令嬢って言っても庶民だしなー、私達って。


明日は、市場でも見に行こうと思ったけど、ギルド行って何か依頼でも受けないといけないな。


はふはふと美味しそうにラーメンを啜るお嬢様を見ながら、ふと思った。



皆と別れて、一人だと思ったけど‥‥変な連れ合いが出来ちゃったね。

お読み下さりありがとうございますm(_ _)m

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