表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/116

第十四話「ノルディンの休日」


「それでお兄ちゃん、毎日川に釣りに行ってて、最初の頃はあんまりだったんだけど、だんだん巧くなるんですよね。いや、それは良い事なんですけど、そうなると毎日お魚になっちゃうから、ここは私が頑張って狩りに行かないと三食お魚に‥‥‥」


お話し出来るのが嬉しくて、昔の事、最近の事、色々喋っていたと思う。


「‥‥‥む」


どのくらい経っていただろう、不意にイザークさんが、なんか不機嫌そうに。

無言で席を立ち、私の横を通りすぎ出口に向かう。


え‥‥‥何かダメな話だった?いや私がずっと喋っっちゃてた?いけない、こういう時は聞き上手が良いとか前世の頃に読んでいたような‥‥


「何をしている、バカ姉」


‥‥‥‥あれ?

半ばパニックになってた私は、その台詞に出口前の席を見た。空いていたと思うけど、いつの間にかアネットさんが紅茶を片手に、手を振っている。


「いやぁ、そろそろお昼だし、二人を探しに来たんだけどね。お話しに夢中だったんで、ちょっと様子を

見ようかと~」

「《気配遮断(ステルス)》まで使って‥‥何やってるのか」

「あははは」


つまり、アネットさんがスキルまで使って、全力で覗いていたのをイザークさんが発見して怒ってたと。

良かった、嫌われたかと思ったよ。


「それじゃ、行きましょうか。オスカーさん先に行ってるから、待ってるわよー」


あわわ、それはちょっと意地悪です~。



お昼はパスタの専門店に。メニューも豊富で迷ったんだけど、その中にナポリタンを発見、即決定。

オシャレなイタリアンもいいけど(ここでは、あくまで「風」だけど)日本人好みのナポリタンは別な気がします。

他の三人は、カルボナーラ、アラビアータ、ジェノベーゼ。チョイスが、ああ、この人、そんな感じと思ったよ。


オスカーさんに馬車の事も聞いておく。

天候も問題無さそうなので、ここから王都まであと二日、向こうについて十日後になるそうだ。

つまり、順調ならば十四日後に、ノルディンに戻って来る。

午後一で冒険者ギルドに行って、忘れないうちにジェストさんに伝えておいた。


その後、オスカーさんは、また商業ギルドに戻っていった。何か問題があるらしい。


残り三人は、のんびり散策。

途中、ソフトクリームを牧場経営のお店で食べる。

んー、牧場行ったら必ずある定番だけど、やはり一味違うよね。町中のお店だって同じ牛乳使ってるのに。やっぱり気分?


あと、乗馬体験!私は牧場の方に引いてもらって、ゆっくり歩いたくらいだったけど、アネットさんとイザークさんは上手に乗りこなしていた。

冒険者やってるなら、馬も乗れた方がいいよね。覚える事は一杯だー。

‥‥身長伸びて一人で上がれるようになったら。


のんびり過ごす楽しい時間はあっという間に過ぎ、夕暮れ。イザークさんとも、解体の一件から仲良くなれた気がするけど、時折、寂しげで遠くをみるような視線が気になった───。



そんなこんなで、なんか食べてばかりな気がするけど、夕御飯です。

オスカーさんと合流して、今夜は焼き肉だー!!

先ほど牧場で、子牛眺めて可愛いねーとかやってましたが、うん、美味しく頂きます。


「さあ、どんどん焼くよー、やいちゃうよー」

「姉、網に乗せ過ぎだ。せっかくの肉なんだから丁寧に焼かないと勿体ない」


アネットさんは焼き肉好きかテンションが高い。

まあ、私もだけどね!

焼き肉の王道、カルビ!リブロース!タン塩にハラミ!柔らかくてとろけるヒレ肉、コリコリ食感が堪らないミノとかも!

日本ならA5ランクのお高い牛肉だろう。


「あ、私が育てていたお肉がー!」

「肉ばかりじゃなくて野菜も焼けよ」


こういうのは定番だなぁ。


すっかりグルメ巡りになってたけど、ノルディン最終日はこんな感じ。



翌朝、少し早めに町を出た。

ノルディンを出てしばらく行くと、海岸線が見えてくる。それに沿って街道は南に向かい、潮風を感じながら遠くまで来たのを実感する。


「やっぱり海はいいわー、帰ってきた感じー」


アネットさんが御者台で大きく体を伸ばして、深呼吸。海沿い生まれだとそうかもなー。

そう言えば、私、今世で海は初めてでした。


蒼い海、白い砂浜、流石ファンタジー世界で透明度の高い遠浅の綺麗な海が広がっている。

流石にまだ海に入るには冷たいけど。

前世だと‥‥‥あれ、海の記憶はほとんどないや。うん、お一人で行くような所じゃないからね!


そんな海を見ながら、昼休み。

あまりゆっくりは出来ないので、そー言えばと、《空間収納》に入れっぱなしだったマリアンさんのサンドイッチを提供。卵サンドとハムとレタス、それからカツサンド。

いつの間に作ったんだと言われたが、笑って誤魔化した。


そんな昼休みにオスカーさんが商業ギルドで聞いた話を、念のためと聞かせてくれた。


「どうも南海街道に盗賊が出たようです」


今辿っているのノルディン~王都は北海街道で、王都から南に向かうのが南海街道。

この辺りまで来ると、結構馬車も見掛けるようになるので、そういう賊も出るのだろう。

アーシェン王国の食糧事情は良いので、食べるのに困って盗賊になるケースが少ないから、他所より数は少ないらしいんだけど。


「先日、王都から討伐隊が出たそうなので、騒ぎは収まっていると思いますが、一応警戒をお願いします」

「オスカーさん、それフラグですー」


ついに旅の定番イベント、来ちゃいそうです。

お読み下さりありがとうございますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ