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第百十話「実用性が低くても格好いいならそれで良い。それがロマン兵器」



「いらっしゃい………おう、久しぶりだな」

「こんにちはー」


ギルドに寄って獲物を換金した私とシシリー、デイジーは翌日グラントさんのお店───クロフォードで唯一の鍛冶屋さん───にやって来た。シャルちゃんとユースとアークは雑貨屋さんの方を回ってもらっている。

宿や食堂、冒険者に必要な道具なんかを売る店なんかは大分増えているけど専門の鍛冶師が必要な武具を売る店はまだグラントさんのお店だけなのだ。


出迎えてくれたのはガッシリした髭面──見た目はファンタジーではお馴染みの如何にもドワーフっぽい感じのグラントさん。ちなみに普通の人間。


「今日は武器の手入れか?」

「それもお願いしたいんですけど……この子の武器を」

「お……お願いするウサ」


後ろにいたデイジーを押し出すと、あわあわしながら頭を下げる。


「……ウチじゃ大した物は置いてないぞ。最近は冒険者が多いんで多少は増やしてるがな。まあ適当に見ていきな」


そう言ってグラントさんは奥に引っ込んでしまう。最近は冒険者が増えて武器の手入れの依頼とかも多いのかも。

グラントさんのお店、メインは武器屋というより鍋とか農具とかを扱う鉄具店。冒険者は少なく領軍もない田舎じゃこっちの方が需要がある。専門はまた別らしいけどね。

一応武器も置いてあるが一般人の護身用程度だ。私の愛用の小剣もグラントさん作。名品と言うわけじゃないが丈夫で長持ち、駆け出しには有り難い。


「とりあえず一通り見てみよっか」

「先ずは……やっぱり剣かなー?」


数は多くないけど剣に槍、斧、弓なんかは揃っているようだが、流石に使い手が少ない変わった武器は置いていない。

デイジーは一般的な剣を手にして軽く振ってみたりしている。


「でも扱いを教えて貰える人を探さないといけないかなぁ」

「あー……」


私は小剣を使うが習った訳ではないし、シャルちゃんは拳系だし、ユースとアークは魔法メイン。唯一教えられそうなのはシシリーの弓だけだね。

我流でも使えなくはないだろうけど、お手本すらないのは問題か。


「剣はやっぱり苦手ウサ」


振ってるというよりは振り回されていた剣を戻し、今度は槍を手に取るデイジー。

剣というのはしっかりした太刀筋でないと斬る事は出来ない。その点で槍の方が素人には使い易いとは思うけど。


「なんかこんな感じに使ってたウサ!」


槍をぐるぐる回してみせるデイジー。


とりあえず基本的な所から覚えないとダメそうだ。

出来れば歩法とか呼吸法とか奥義とか○○の型とか?そういうのを使えるようになって欲しいんだけど。基本って言うと……剣道なんかの上段とか中段だとか一の型袈裟斬り~とかは刀だから違うか。西洋式だとドイツ流とかイギリス流とか?それ以前に持ち方とか、色々あるよね。詳しくは知らんけど。

私?私はあれだ、なんとなくそれっぽい技を魔法とかで再現してるだけだから、剣だけの試合ならそこら辺の門下生に秒殺だろう。ちゃんとした剣術なんかは教えられない。

基本のコンボみたいなのは教わった方が良いと思うがどうしたものか。


「ふおおおおウサ~」


デイジーは大斧を振り上げてふらふらしている。

流石にそれは見るからに無理じゃないかなー。


「デイジーちゃん、危ないよ!」

「デイジーだって、きっとやればできる子ウサ~」

「いや、お店の物を壊したりしちゃダメだから」


あっちにふらふら、こっちにふらふらするデイジーを何とか止める。うん、とりあえずこの辺の武器との相性は悪そうだ。


「デイジーはダメな子ウサ……」

「大丈夫、武器は他にもあるからデイジーちゃんに合うのがきっとあるよ」


しょぼんと耳を垂れるデイジーを励ますシシリー。

とりあえず技量が必要な弓は諦めたらしい。あとは棍棒やハンマーのような鈍器系、シャルちゃんの手甲等の格闘武器、槍以外にもハルバードとか薙刀とかの長柄武器、他は一見武器に見えない暗器とか。射撃投擲系は難しそうだけどデイジーに合う武器はあるだろう。


ついでも私も剣を手に取ってみたけど、長剣類は体格的に無理。《土魔法》のアレは重さが軽減されてるから良いんだけどね。

でもやっぱり、どうせならロマン武器よねー。エルグラの武器種とか無いんだろうか。パイルバンカーとか蛇腹剣とかライトセイバー正宗とか、ガンブレードとか。

火薬とかはあまり発達してないぽいから銃器は無いかも?でも転生者辺りが作ったりしてる可能性はあるか?野戦猟兵(フェルトイェーガー)とガンスリンガーみたいなクラスやってた人は多いし。

いや、もしかしてアルティメット紅茶砲とか波動砲とかネオアームスト○ングサイク○ンジェットアームスト○ング砲みたいなロマン砲がある可能性も!?

………その内探してみたいものです。



「あ………これ!これならデイジーにも使えそうウサ!」


おっと、思考が別の方向に行ってる間になんか使えそうな物が見つかったようだ。

武器類が置いてある場所から少し離れた所でデイジーがそれを掲げている。


「鍬って武器?」

「結局ネタ武器かよ」


お読み下さりありがとうございます。

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