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第十話「お腹が空いてると、メシテロが増える件。でもエスカルゴはありません」

日本では二十歳以下の飲酒は法律で禁止されています。

訓練されたカトレアちゃんなので絶対真似はしないでください。


夕暮れの町中を馬車は進む。

領都グリムは、白い石造りで統一された家々が並んでいる。葡萄酒という特産品があり、王都などに輸出しているので、訪れる人も多く、景観なんかも考えられた町作りをしているのだろう。

実際、赤く染まる葡萄畑の中に顔を出す街並は絵画のようだ。


自然とため息が出る。


町の中心から少し離れた所に、本日のお宿はあった。〈妖精の隠れ家亭〉と書かれた看板には、踊る二人の妖精が描かれ、中に入ればエントランスと隣の食堂は吹き抜けになった、お洒落なペンションみたいな印象。

冒険者よりも観光客向けの結構いい宿なのかな。それなりのお値段がしそう。

旅行先で奮発して高級ホテルに泊まるような気分です。


本来は、観光ツアーじゃないんだから、場所を借りて天幕を広げたり、安宿とかなんだけど、まだ色々と準備ができていない今回は空いている宿がここだったという事らしい。


せっかくなので満喫したいと思います!



部屋は二人ずつの三部屋。ブラウン夫妻、男性二人、そして私はアネットさんと。二階の部屋は窓が大きく開放的で、ベランダから町の景色も楽しめる。

とりあえず夕飯まで少し時間があるので、観光がてらアネットさんと散策する事にした。


「あ、夕市(マルシェ)がやってますね」


広場にでると、露店が並び買い物客で賑わっていた。焼き物とかの軽食が売られるお店からはいい香り。野菜なんかはクロフォードとは違う物が多く、異国にきた感じだね。

‥‥‥って言うか、あっちが田舎過ぎるだけでアーシェンは食糧大国だから、これくらいが普通なのかもしれない。


「うわー、夕飯前にこれは‥‥ちょっとだけなら‥‥いや、食べ過ぎはお腹周りが‥‥」

「確かに、この誘惑を我慢するのは~!アネットさん、大丈夫です、その分動けば、きっと!」


あっちはタレが香ばしい焼鳥風の肉串、こっちは蒸し上がったばかりの肉まんっぽいものが湯気を上げ、うう、お昼は簡単だったから、どれも美味しそうですー。


葛藤するアネットさんだが、私は最初から試合放棄。屋台村の誘惑というのは抗えないものなのだよ‥‥‥。


結局、アネットさんは肉串を、私は具材をパイ生地みたいな物で包んで揚げた春巻みたいな揚物を購入し、食べ歩きしながら夕市を回った。

うん、美味しい♪揚げたては正義だ。


明日から二日は休憩所で野宿になる予定なので、野菜とかも買い足し、宿に戻った。


小腹は満たしたが逆にお腹が空くもので、お待ちかねの夕飯だ♪

食前酒に勿論、葡萄酒がつく。私十歳なんだけど‥‥と、躊躇はするが。


「この国に年令制限はないから問題なし」


‥‥とアネットさんに勧められ。


前世ではそこそこ飲んでたしね──一人で家飲みだけど──そう考えると十歳+アラサーなのでヨンジュッサ‥‥私は十歳ー、日本で言ったらJSだ~!異論は認めぬ。


さて、ご飯はポーチドエッグにメインはトマトと香味野菜とホロリとくちの中で崩れる牛肉の赤ワイン煮込み。

パリパリのカンパーニュ、デザートに洋梨っぽい果実のコンポート。ベリーの甘酢っぽいソースがまた良い。


おおう、何だか、おフランスっぽいザマス。やはり葡萄酒繋がりで、同じように進化するものなのか。

そして、また葡萄酒が良く合います。

これぞ、なんたらのマリアージュ!とか某漫画を思い出すお味でした。


「うにゅー、イザークさんがお二人ですー。禁断の双子カプですかー。どっちが受けでしょうか‥‥いやどっちもリバかー」


そう言えば、この身体でお酒ってほぼ初めてだったきがします。ふわふわです。


「あはは、カトレアちゃんはこういうタイプかぁ」

「‥‥何を言ってるか良くわからんが、酔ってるのは良くわかった。子供に酔っ払うほど飲ませるな、バカ姉」


この後の記憶はあまりありません。



そして翌日。


「お、おはようゴザイマス」

「ああ」


やってしまいました。

イザークさんには呆れられただろうけど、何もなかったという変わらない、クールな感じ。

くうう、黒髪クーデレっぽくて緑川ボイスなキャラは好みだったんだけど、なー。


「朝から愛想ないわね。「やあ、おはよう。昨日の君も素敵だったけど、今日の君はとても可愛いよ」くらいは言ってあげなさいよ」


アネットさんは朝から元気です。


「なんだそのキャラは‥‥‥、バカを言ってないで行くぞ、朝食の後は直ぐ出発だ」


本当に気にもしてなさそう。でも、まあ普通は子供扱いだよなー。二十くらいの男性がJS連れてたら案件よね。仕方ない。


「おや、実は結構本気でウチの弟気になってた?」

「そういう訳では‥‥‥」

「スペックは良いと思うけど、あの愛想が無いところはマイナスだと思うのよねぇ」


だが、それがイイ。あれはクーデレ属性だ。


とりあえず、二日酔いのお約束はなさそうで良かった。朝ごはん食べて、がんばろう!


王都への旅、二日目スタートです。


お読み下さりありがとうございますm(_ _)m


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