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桜花爛漫  作者: ふりまじん
サクラ サク
4/14

4話サクラ

今回の招待客へのカードのPDSを明智は見る。


「家紋…ですか。」

数十人の招待客には、一人一人に、花を模した家紋が張られている。

「それが、IDになるみたいよ。4年ぶりの春のイベントと言うことで、サクラの家紋をいれたみたい。」

女主の言葉に明智は、小さな違和感がはしる。

「サクラ…睦月さんがそう言ったのですね?」

明智は、一つ一つの招待状と家紋を比べる。


家紋とは、一族を示す紋章の事だ。

(さかのぼ)れば、平安時代まで歴史があり、 様々な物を題材に作られている。

植物は人気のある題材で、葵、菖蒲(アヤメ)など、様々にあるが、武士の世の中になると、短く散る桜はあまり、人気がなかったようだ。


とはいえ、男らしい潔さを愛し、家紋として採用する者もいて、桜紋のバリエーションは少なからず存在する。


五弁のサクラから、八重、山桜に、山と桜…

サクラの花を蝶に見立てたユニークなデザインなど、それらを装飾した美しいIDは、確かに、春のイベントにふさわしく感じた。

「ええ。皆にサクラを見てもらおうって。とても、熱心にしていたわ。」

女主人の言葉に、明智は、少し、思案する。


「しかし…中に、梅が(まぎ)れています。」

「梅?」

女主人がしばらく、フリーズする。


「あら、本当。蝶や、月に惑わされて気がつかなかったわ。でも…それがどうしたの?」

女主人は不思議そうに明智にきく。

家紋も種類に限りもあるだろうし、梅が混ざったところで、それほど問題とも思えない。



「サクラの家紋を貰った人物です。」

明智は、サクラの家紋のリストを女主人に見せ、話を続けた。

「彼らは、ネットであまり良い噂の絶えない人達です。」

「まあ……。」

「桜…サクラは、水増し要員の隠語でもあります。


昔、芝居小屋などで、場の雰囲気を盛り上げるためにタダで観劇できる代わりに、掛け声などで盛り上げた人物をさして言ったそうですよ。

なにしろ…花見は『無料(タダ)』ですから。」

「あなた、相変わらず、トリビア上手ね。でも、考えすぎではないの?サクラの祭典ですもの。」

女主人の言葉に明智は、梅の紋章のリストを突きつける。


「こちらのリストも偶然でしょうか?」


梅の紋章の人物は、盗作や順位工作などで被害を受けた事のある人物が集まっていた。


「梅の紋章は、菅原道真とゆかりがあります。」

「道真…無実の罪で怨霊と化した人物。

でも、このリストの人たちは、復讐なんてするようなメンバーではないわ。」

女主人の言葉に明智も同意する。


「確かに、これは、家紋を使った意味付けを表しているんだと思います。

本命は…これ。」

と、中心の丸を囲むように6つの丸で作られた家紋を指差す。


「6弁…確かに、これは桜ではないわ。もちろん、梅でも…

でも、それがどうしたと言うの?」

女主人の言葉に、明智は、不敵に笑う。

「ええ、これだけが…仲間はずれなのです。」


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