第98話 集結する勢力
-アカリ視点-
宿屋で天地の落とし穴に落ちてから、私たちは別の大陸に降りた。
私たちが同じ大陸に降りたと予想したのは、私のすぐ近くにアキラも同時に出現したからだ。
私は、地上に着地してからすぐに探知魔法で他の仲間の居場所を探した。
「アキラさん、私たちはどうやらまた天地の落とし穴に落ちたみたいですね。おそらくここは、中央の大陸だと思いますけど」
「そうだね。どうしていきなりこんなことになったのかはよく分からないけど、他のみんなもこの大陸に来ているのかな」
私は早速、シュウとハクアの位置を見つけ出した。
探知魔法のことはあまり知られたくはないが、なんだか嫌な予感がする。
付き合いが長いこともあり、私はアキラを信用しているので、包み隠さず話すことにした。
「実は私、探知魔法が使えるんです。それで、シュウさんとハクアさんの位置が分かったので、まずはそちらに向かいませんか?」
「探知魔法?よくそんな難しいのを習得できたね。でもおかげで今は助かるよ。すぐに向かおう」
私たちは、シュウとハクアのいる方向へ向かった。
距離はそんなに遠くないのだけど、少し気になることがある。
その方向には、断崖絶壁があるだけで、もしもその上に二人がいるのであれば、こちらから向かうことはできない。
しかし私の心配とは全く違う展開となった。
私たちが壁のある地点に達した時、そこには洞窟の入り口があったのだ。
「この中なのかな?ここは人が通った痕跡があるね」
「私の探知魔法では対象のいる高さは分からないんです。とりあえず入ってみるしかないですね」
私の話を聞くとアキラはすぐさま洞窟の中へと入っていった。
アキラは入り口で光魔法を使って照らしたが、少し奥まで進むと未知の両脇にランタンがあり、火が灯してあった。
アキラは光魔法を消し、私たちは奥へと進む。
私たちが二人の位置に近づくにつれ、私の探知魔法で新たなことが分かった。
「アキラさん、どうやらこの先には複数の人間がいるようです。それに、高い魔力を持った反応があります。これはもしかすると」
「魔族かもしれないってこと?なら急ごう。でも、できるだけ見つからないようにしたい」
私たちは音を立てないように先を急いだ。
途中で、私はさらにシンの居場所を特定する。
しかし、そこにも他の生命反応が二つあり、動かない様子から戦闘状態なのではないかと私は予想した。
宿屋にいた時からは想像もつかなかった切迫した状態。
私がどうすべきかを考えながら進んでいると、開けた場所に出た。
私たちは洞窟の上部の道におり、下の方には複数の人影があった。
「魔族と、シュウとハクアだ。それに、ギンガル帝国のゼスタもいるよ。僕は姿を消して近づくから、アカリは少し後から来て」
魔族と人間が二人ずつ、でも様子がおかしい。
シュウとハクアが戦っているのをよそに、ゼスタは魔族の横に立っているだけ。
そして、何やら大袈裟な石柱と棺桶を見ている。
私はアキラを引き留め、一つの決断を下すことにした。