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第95話 狙われた勇者

 私の足を掴んできた敵の正体を確認すると、それは倒したはずの兵士だった。



 背中からは血が流れ出ており、顔色は悪く、まるで死人のようだが私の足を握る力は強い。



 死体を操る能力であるとするならば、魔族のうちの一体の能力だろう。



 私は地面に手を当て、能力を使って地面を動かし、盛り上がった地面が兵士の死体を跳ね退けた。



 続いて白く長い髪の男が銃で撃ってきたタイミングで他の兵士が襲ってきたので、私はその兵士を捕まえて盾にした。



 兵士の死体に銃弾が何発も当たり、その衝撃が走るとともに死体の力は抜けていく。



 どうやら死体に攻撃するというのも有効らしい。



 その後男はまた爆発物を投げてきたが、私は死体を使って身を守ろうとする。



 しかし、死体に当たる瞬間を狙って男は爆発物を撃ち抜いた。



 死体を通してではあるが、爆発物は私に近いところで爆発する。



 爆発の衝撃が手まで走り、私は仰け反ってしまう。



 その瞬間に、魔族と共に洞窟に入ってきたローブを被った人間が淡い紫色の鎖を飛ばしてきた。



 鎖はその人間の両手から一本ずつ伸びてきて、私の両腕に巻きつく。



 なおも銃の射撃は続いており、私は移動して別の兵士の死体を捕まえ、盾にして銃弾を受けた。



 すると白髪の男は再び爆発物を投げてきたので、今度は死体を少し飛ばして爆発物に当てる。



 爆発物は銃弾が当たって爆発するが、私には衝撃が走らない。



 しかし、今度は敵の魔法で足元の地面が沈み込んだ。



 どうやらローブを羽織った小さい方の魔族が使った魔法らしい。



 私は変化した地面に触れて私の能力を使おうとするが、両腕に巻きつけられた鎖がそれを許さない。



 手も足も身動きが取れなくなってしまった私に、人間の背丈ほどの青い肌をした魔族が近寄ってくる。



 その魔族はある程度の距離まで私に近づいたところで手に持っていた槍を私に向けて投げつけた。



 私は体の動くギリギリの範囲で上体を反らし、投げられた槍を避けた。



 私が鎖を解く方法を考えていると、私の背中に衝撃が走った。



 私の胸の辺りから、槍の先端が飛び出してきた。



 どうやらさっきの槍は、私を背中から貫いたようだ。



 槍に追尾する能力があったのだろうか。



 もはや私にはそんなことを考えることすら無駄かもしれない。



 小さい方の魔族は、この時を待っていたかのように杖を振るい、次の魔法を使った。



 私の周りの地面から、何本か石柱が生えてきた。



 その石柱には、奇妙な模様が描かれている。



 石柱が生え終わると、その先端から私に向かって黒い煙が出てくる。



 煙は私の周囲に停滞し、私を飲み込んだ。



 その後、私の全身に痺れるような感覚が流れ、私の背筋に悪寒が走った。



 そこで私の意識は途絶えてしまうのだった。

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