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第93話 カルダン連邦にて

 ここは五大陸の中央に位置するカルダン大陸。



-テルメル視点-



「テルメル様、北のコウェール村に押し寄せてきた集団は、テルメルという者に会わせろと主張しています。いかがなさいますか」



「そうか。北より謎の勢力が上陸したのは感知していたが、私を知っているとは。滝つぼの洞窟まで案内するのだ」



 世界に起きた変化のことを考えると、別の大陸に向かうというのは必然的な流れだろう。



 私のことを知っていることには驚いたが、私の知らない情報伝達手段を持っているのかもしれない。



「テルメルや、奴らの目的が分からぬ。こちらから出向くのは危険ではないか」



「北の大陸より来た者たちです。今後の我々の協力は必要不可欠でしょう」



「お主の実力は認めるが、くれぐれも気を付けるのじゃ」



「ええ、分かっています。それでは行って参ります」



 私は入り組んだ洞窟を抜けて、開けた空間である滝つぼの洞窟に向かった。



 私が洞窟に着いた時にはまだ誰もいなかったが、程なくして伝令兵が見知らぬ武器を持った者たちを案内してきた。



「まずはこのカルダン連邦まではるばるお越しいただき感謝している。と言っても、あなたがたに話し合う気があるのかは分からないが」



 集団の中からおそらくリーダーであろう一人の老人が出てきた。



「儂はダルゾンだ。ここより北のギンガル帝国よりやってきた。お主がテルメルじゃな?」



「如何にも。ですが、私のことをどうしてご存知なのですか?」



 ダルゾンは私の質問を無視して部下に何やら命令している。



「いや、お主がテルメル、カルダンの勇者であるならば問題ない。儂らはお主を探しにきたのじゃ」



 勇者と聞いて、私は一つの伝承を思い出した。



 それは勇者が魔王を倒すために生まれてくる存在であるというもの。



 しかし、私はダルゾンの思考を読み取り、それとは違うイメージを受け取った。



 それは、勇者の発見が、魔王復活への条件であるというもの。



 ダルゾンの指示で二つの石柱が地面に立てられ、残りの兵士は私を円形に囲んだ。



 さらに、手に持っていた武器を構える。



 私は、一人の兵士の思考を読み取った。



 銃という名の武器からは弾丸が放たれるというイメージが私に届く。



 この者たちの狙いは何なのか。



 それを考えようとした矢先、立てられた二本の石柱に空間の歪みが生じ、そこから人の腰くらいの大きさの生き物が出てきた。



 あれは、魔族ではないか。



 ということは、この者たちは魔族と繋がっている。



 私は一瞬でも早く危険を回避するために動き出した。



 私が動いた瞬間、兵士たちは銃弾を撃ち始めた。



 まずは、あの石柱をなんとかしなければならない。



 そのためには、能力を見せずにあの石柱に近づかなければ。

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