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第80話 人魚姫の居場所

 トビウオの霊は高級市街を宮殿の方へ向かって進んだ。



 高級市街は平民街に比べて建物が整然と並んでおり、建物は高く、内装の整った店が多かった。



 その雰囲気は落ち着いていて、物騒なことなど起きそうもないが、あの老人が言ったように本当にアンダールートの上層部がいるのだろうか。



 だとするならば、アンダールートがわざわざ富裕層のいない平民街で暴れているというのはどういうことか。



 おそらくアンダールートの上層部は帝国と結託しており、この格差社会を維持することに関しては協力しているのだろう。



 この国の在り方に、思うことは多いが俺はあくまで部外者だ。



 できることなら、深入りすることなく立ち去ることが望ましいだろう。



 そのためにも、人魚姫を早く救い出さなければならない。



 俺は、トビウオの霊を使う妖怪に期待しながら歩を進めていた。



 トビウオの霊は、ある路地裏のところで止まる。



 すると、突然上から誰かが降ってきた。



「ビトリの兄貴!合流できて良かったッス!よくオイラが近くにいるって分かったッスね」



「高級市街の入り口をトビウオの霊に見張らせていたのだ。コッジの方も何かあったみたいだな。そちらの二人は?」



「人間のシンに妖怪のハクアで、二人は人魚姫様を救い出すのを協力してくれることになったんス。でも、オイラは手がかりを掴むことはできなかったッス……」



「そうか。だが安心しろ、オレのトビウオの霊が人魚姫様を見つけたようだ。ついさっきのことなんだが」



「そうなんスか!?こんなに早く見つけるなんて、さすがビトリの兄貴ッス」



「して、人魚姫はどこにいるのじゃ?早く向かった方がいいじゃろう」



「そうだな。しかし、少し厄介な場所かもしれない。オレについてきてくれ」



 俺たちはビトリの後についていき、路地裏を抜けた。



 その後、少し細い道を真っ直ぐに進み続ける。



 向かっている先をすぐに推測できる、なぜならこの先にあるのは一つ。



「あそこだ。あの中に人魚姫様囚われている」



「えっ!あれは宮殿じゃないッスか!?なんで人魚姫様がそんなところに」



「それはオレも疑問に思っているのだ。しかし、人魚姫様は擬態なしでは稀有なお姿故、この国の中枢の者の目に留まったのかもしれない」



「わしらの推測ではアンダールートという組織が人魚姫を誘拐しておる。それに加えてアンダールートと国との繋がりがあることも分かった」



「確かに、それならあの宮殿に人魚姫様がいても不思議じゃないッスね」



「しかし、これは厄介かもしれんな。わしらがどうやってあの宮殿に入るか」



「この際手段は関係ない。まずは宮殿の中に入ることを優先するべきだ」



 俺たちが話をしているうちに、宮殿の敷地の門の前まで着いてしまった。



 俺たちが門の前で立ち尽くしていると、門番とみられる兵士が俺たちに話しかけてきた。



「お前たち、そこで何をしている。何か用か?」



「オレたちは旅をしているのだが、宮殿の中に入ってみたい。入れてもらうことはできないか」



 門番がもう一人の兵士の元まで戻って確認している。



「問題ない。ただし武器は預からせてもらう」



 予想に反して、俺たちは宮殿の中に入れることになった。

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