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第77話 見えてきた闇

 動き出した小部屋の壁は、人が通れるくらいの空間を作り出したところで止まった。



 シュウは周囲を警戒しながらその通路を通り、繋がった場所へと出る。



 僕とアカリも壁が止まっているうちに通路を通った。



 やはりここは、アジトとは違う場所のようだった。



 壁は白色をしており、一面綺麗に整っている。



 床も整備してあるようで、アジトとは違い手の込んだ造りの建物だと分かる。



 僕たちがどちらに進もうか迷っていると、僕たちが出てきた小部屋の壁が再び動き始めた。



 どうやら時間が経過すると自動的に閉じる仕組みのようだ。



 じっとしていても仕方がないので、僕たちは左の方向に進むことにした。



 アジトを進んだ時と同じように、誰かに見つからないように警戒しながら進む。



 ところが、アジトの時に比べてほとんど人の気配がなかった。



 僕たちとしては見つかる心配が少ないので楽ではあるのだが。



 見たのは警備兵らしき見た目の男と数人の使用人のみだった。



 ここがどこかの屋敷ではないかと推測される。



 そんな時、大きな音を立てて何かを移動させている現場に出くわした。



 先頭でそれを覗き見るシュウは、なぜかすぐにこちらを振り返って話し始めた。



「おい、刀の能力で姿を消してあれを追いかけろ。俺たちも後を追うが、見つかるかもしれない」



「何が見えたんですか?」



「檻に子どもが入れられている。分からないがどう考えても怪しいだろう」



「分かったよ。日没の船での集合を目指そう」



 僕は左手の袖の中から小さめの妖刀、身隠(みかくし)を抜き、即座に自分の姿を消した。



 その後僕は一人で通路を曲がり、奥へと進む。



 シュウが言ったように、そこでは車輪のついた檻に入れられた子どもが運ばれていた。



 確かに誘拐した妖怪を連れていく場所はこんな子どもを連れていく場所と関連していそうな気がする。



 僕はできるだけ音を立てないようにその檻について行った。



 檻が運ばれる音はかなり大きいので、僕の存在に気づかれることはないだろう。



 途中で警備兵のいる門を通ったため、ここからはシュウたちがついてこれそうにないだろう。



 さらに進むと、そこからはすれ違う警備兵の数が段違いに増えた。



 人魚姫を見つけたとして、連れて帰るのは難しいかもしれない。



 その場合でも、人魚姫の居場所だけは特定しておきたい。



 僕はそう判断し、尾行を続けた。



 かなり進んだ先で、檻は大広間に出た。



 ここにはほとんど何もなく、奥に大きめの椅子が一つ置いてあるだけだった。



 その椅子には白髪の長い髪をした一人の男が座っていた。

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