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第７５話　敵地潜入

　僕たちは海の中を、船が通り過ぎていったすぐ後に門の方へと進んでいく。

　アカリまでが門を通って中に入ったところで門は閉まり始めた。

　シュウはそこで止まり、しばらくの間じっと待った。

　その後シュウは陸地に寄ったところで海面から静かに顔を出した。

　僕とアカリも息が限界に達しようとしていたので息をするために海面から顔を出した。

　遠くで話し声が聞こえる。

　話し声は段々と遠ざかっていくようで、しばらくすると聞こえなくなった。

　僕たちは海面から出て陸地へと上がった。

　このアンダールートのアジトは洞窟のような造りになっているようだ。

　壁には灯りがかけてあり、通路の明るさが保たれている。

　その雰囲気は開拓されたばかりのダンジョンのようで、魔物でも出てきそうだ。

「ここからはいつ敵に見つかるか分からない。戦う準備をしておけ」

「シュウさん、敵に見つからない努力は最大限してくださいね。暴れても人魚姫を見つけることはできませんから」

「できるだけ人魚姫が連れていかれそうな場所を探してみよう。まずはこのアジトの広さを把握しないと」

　シュウはすぐに通路を通って先に進んでいったので、僕たちも彼についていった。

　僕たちが入った場所とは別に、船がある部屋がいくつかあった。

　船の数からしてこのアジトはかなり広いのではないのだろうか。

　通路を進んでいくといくつか部屋があり、人が行き交っているため僕たちはかなり慎重に進んだ。

　人気のない部屋に入ってみるが、大体の部屋は倉庫で、あるのは食料品や工具などの物資だった。

　他の部屋ではアンダールートのメンバーが騒いでいる声が聞こえてくる。

　シュウは臆することなくそんな部屋も少しドアを開けて覗いていった。

　僕は敵に見つかるのではないかとヒヤリとしたが、アカリは冷静に周囲を見張っていた。

　そんな僕たちの行動も空しく、人魚姫の手がかりは見つからなかった。

「妖怪の気配すらないな。一人捕まえて脅して聞き出した方が早いのではないか」

「この施設はメンバーの生活用という面が大きいように思えますね。いずれにせよ、アンダールートのアジトであることは確かです。もう少し手がかりを探してみましょう」

　僕たちは、さらに奥へと進み始めた。

　奥の方へ行くほど人の出入りは少ないようだったが、反対側からアンダールートのメンバーたちが来てしまった。

　僕たちは急いで引き返す。

　しかし、どうやら後ろからも別の部屋を出たメンバーたちが来ているようだった。

　僕たちは、アンダールートのメンバーたちに挟まれてしまった。

　シュウは刀に手をかけ、今にも強行突破しそうだ。

　その時、たまたま僕が壁に寄りかかって手で押した部分が、壁の奥へと食い込んだ。

　すると、何かのスイッチが入ったように壁の一部分が後ろに下がる。

　僕がその部分を押すと、壁は回転して中に入れるようになった。