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第74話 組織の船を探して

-アキラ視点-



 僕はアカリとシュウと共に港に停泊している船を調べていた。



 港は思っていたよりも広く、数多くの漁船や貿易船が出入りしていて入り乱れていた。



 コッジの話によれば、アンダールートという組織が使う船はどれも同じ形状をしており、複数あるはずだ。



 しかし、港に停泊している船はどれも僕たちが見た船とは異なる。



 しばらくの間アンダールートの船を探し続けても一隻も見つけられないでいると、アカリが意外なことを言った。



「実は、船でこの港に向かっている際に、この港へと向かう海流が二手に分かれていたんです。奇妙なことに、その海流は時間が経つと一つになってしまいましたが」



「どういうことなの?二つあった海流が一つになるって」



「絶対とは言い切れませんが、あの切り替わり方からして人為的につくられた流れだと思います。タイミング的には、私たちの前にアンダールートの船が一隻帰ってきていたはずですから、怪しいかもしれません」



「それで、その海流というのはどこへ向かっていたのだ。そこへ行って調べるのがいいだろう」



「はい、私もそう思います。海流が向かっていたのは向こうの崖の方です」



 アカリは港から少し離れた崖の方を指した。



「高いな。港を出て高台へ上がっていくか?」



「そうしましょう。見晴らしがいいでしょうから何か見えるかもしれませんし」



 僕たちは港でアンダールートの船を探すことを諦めて、崖の上に登ることにした。



 港から外れて崖の上へと向かう道は、港と打って変わって人通りが全くなかった。



 崖の方には何もないと思わせるような雰囲気があり、それが逆に怪しいようにも思える。



 崖の上へと着いた僕たちは辺りを見回し、すぐにそれを見つけることができた。



 崖下の海との境目の部分に、鉄でできた門がある。



 その大きさからして船が出入りするのではないかと予想できる。



「あの門には何かマークが描かれていますよね。あれって私たちが追い払った連中が乗っていた船にもあった物では?」



 アカリがアンダールートの証とみられるマークを見つけた。



「もう少し近くへ行って様子を見たい。このまま崖下へ降りるぞ」



 シュウはそう言うと素早く崖の足場となる部分へと飛び移っていった。



 僕とアカリもシュウが通った箇所を伝って崖を下りていく。



 シュウは、崖下の門までかなり近い位置の安定した足場がある部分で止まった。



 シュウが口に指を当て静かにするように合図を出してきた。



 すると、崖下にある門が開き始めた。



 中から僕たちが追い払った船と同じ形の船が出てくる。



 シュウは僕とアカリについてくるように合図を出して、崖の下へと下りていく。



 門の中と船からは見えない位置の岩陰に隠れたシュウは、そこで僕たちにもう一度ついてくるように合図を出した。



 ここからどうするのかと僕が疑問に思っていると、シュウはなんと静かに海の中に入ったのだった。



 僕がアカリの方を見ると、アカリは静かに決意するように頷いた。



 僕はシュウの後に続いて海の中へと潜った。

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