第61話 互いの戦略と実力
青い髪の男の攻撃は素早く、俺も足に妖力を込めて対応せざるを得なかった。
男の連撃を防ぎ、俺は距離をとった。
「お前が誰だか知らないけど、勘違いしてるぞ。俺は妖怪なんて手にかけていない」
「そこに倒れているのが妖怪ではないと保証できないだろう。それに、さっき使ったのは魔族の技だな?お前は魔族の仲間なのか」
ハクアにあれだけ念を押されたのに、妖炎斬を使ったところを見られてしまったようだ。
これはハクアに合わせる顔がないな。
「黙っていても無駄だぞ。本部に使いをよこした。いずれお前は必ず捕まることになる」
「お前も和合隊の隊員なのか?」
「答える義理はない」
男は再度俺に斬りかかってきた。
どうやらここは戦って切り抜けるしかないようだ。
俺は、敵の刀を妖火刀で受け止めた。
刀と刀の間に、煙が出る。
敵の猛攻は段々と強まり、徐々に俺が押され始める。
もう魔法のことはバレている。
出し惜しみをしている場合ではなさそうだな。
俺は、妖火刀の周りに魔力を込め、妖炎斬を使った。
妖火刀から敵の刀を通り過ぎて敵まで到達する。
敵は咄嗟に後ろに下がって距離をとった。
俺は続けてヘルファイアを使った。
しかし男は冷静で、俺の攻撃を避けられる。
この様子だと魔法だけで決着をつけるのは難しそうだ。
魔力が切れてしまっても困る。
俺は、呼吸を整え、魂の記憶を発動させた。
男は額の辺りに妖力を集中させる。
俺が足に妖力を込めて距離を詰めると、男が額の妖力を全身に巡らせた。
これは、ジーネストが使っていた霊眼解放か。
こいつは妖怪だということなのか。
増強された妖力によって、男のフットワークも俊敏になった。
俺の魂の記憶による連撃が防がれ、お互いに少しのかすり傷ができたところで距離をとった。
これで妖火刀の能力が発動する。
あとはじわじわと傷をつければ勝てるだろう。
しかし、俺の左腕にできた傷に違和感を感じる。
見ると、俺の左腕の傷には氷ができていた。