第57話 海賊団の最期
-ダザン視点-
オレはアジトの地下にある隠し通路を通って島の沿岸部へ向かっていた。
和合隊の隊員までもが妖武器を持っているとは思わなかった。
オレの部下たちがやられていたことを考えると奴らはおそらく全員が妖力を覚えてやがる。
まさかただの孤島にいる海賊団をそんな精鋭で狙いにくるなんてな。
和合隊の小娘に足を怪我させられたせいで走れねえ。
あまり遅くなると奴らにこの隠し通路のことがバレてしまう。
だからその前に隠してある小舟で島を出ねえとな。
おそらく海賊団の船は取り押さえられているだろう。
くそう、テッシの奴は何してんだ。
階段を壊したところまでは見たが、この隠し通路を通ったサインがねえ。
二階にはあれだけの罠も仕掛けていたんだから、追いつかれたってことはねえだろう。
あいつが宝を持ってこねえと、後味が悪すぎる。
このままだとオレ一人で舟を出すことになるぞ。
オレは隠し通路を出て、島の沿岸部に到着した。
海賊団の小舟の周辺には誰もいないようだった。
オレは一人で黙々と舟を出す準備を始めた。
すると、誰かが小舟の近くに姿を現した。
テッシかと思ったが、仮面を被り、金の模様の入った黒いローブをしているところを見ると、別人である可能性が高い。
「誰だ?お前」
「貴様は海賊団のボスの妖怪だな。ちょうどいい機会だ。エネルギー源となってもらう」
「生憎今はお前みたいな訳の分からねえ奴の相手をしている暇はないんだ。他を当たれ」
「建物の二階ではお前の部下も倒させてもらったぞ。最も、ただの人間だからエネルギー源にはならなかったがな」
「お前がテッシを!いいだろう、一瞬で片を付けてやる!」
オレは小舟から降りて腰に差していた二本の刀を抜いた。
ローブの男がオレに右手をかざすと、突然オレに黒い火がついた。
「鬱陶しいぞ!この野郎」
オレはローブの男に斬りかかった。
ローブの男は剣を抜きながらオレに黒い斬撃を飛ばしてきた。
オレは刀で攻撃を受けたが、ローブの男はすでにオレの近くまできており、オレの胸に剣を突き刺した。
オレが刀を振るうと今度は距離をとり、左手をオレにかざした。
ローブの男の左手から淡い紫色の鎖のようなものが出現し、オレは回避しようとするが、追尾してきてオレの胸の傷口に刺さった。
するとオレは体中の力が一気に抜け、妖力も込められなくなってしまった。
オレは鎖を切ろうとするが、刀は当たることなく素通りしてしまう。
「さらばだ、海賊の妖怪よ」
黒い炎に包まれながらオレの意識は遠のいていくのだった。