第55話 蛇影鎌、嵐舞剣
-シューネ視点-
あたしはダザンも含めて三人に囲まれ、一進一退の攻防を繰り広げていた。
ダザンの部下をあたしが追い詰めるとダザンが横槍を突いてくる、その繰り返しだった。
あたしの武器、蛇影鎌の能力を使えば瞬殺なんだから。
でも、まだ早い。
部下たちが敵を制圧するのをもう少し待ってから、一気に片をつけてやる。
それまではちょっとばかり遊ばれてるフリをしてあげる。
あたしがそう思っていると、ダザンに向かって水の斬撃が飛んできた。
あたしは、それを見てすぐに蛇影鎌の能力を使った。
二人のダザンの部下の内の片方を鎌の刃が這うようにして囲み、抜け殻のように刃だけを残して鎌が離脱する。
蛇影鎌には刃を動かす能力と抜け殻のようにして刃を残す能力の二つがある。
敵は鎌の刃に拘束された状態となって身動きがとれなくなる。
ダザンの方を見ると、水の斬撃はうまく防いだようだ。
ダザンは霊視をしているので予め攻撃を察知できたのだろう。
でも、あの水の斬撃はアカリの刺突剣、嵐舞剣の能力、水刃だ。
それがダザンに向かって飛んできたということは。
横を見るとアカリがあたしのすぐ傍まで駆け付けてくれていた。
シンも今こちらに向かってきており、敵を制圧してきたようだった。
これでこちらの方が数は優勢だ。
「おい、テッシ。念のため積荷の移動をしておけ、高級な物から順番にな」
「へい、団長。直ちに」
残る一人の部下をダザンはどこかへ向かわせた。
「シンくん、今の敵を追ってくれ」
「分かりました。では隊長、ご武運を」
シンもダザンの部下の後を追っていった。
「シューネ隊長、私が援護します!」
アカリがダザンに向かって水刃を連続で飛ばす。
ダザンは両手に持った二本の刀で迎撃する。
あたしはその隙に蛇影鎌をダザンに向けて伸ばし腕を切りつけながら抜け殻を作って拘束した。
「めんどくせえ!これでも食らいやがれ」
ダザンは大きく息を吸い、口から紫色の気体を吐き出した。
気体が建物の中に充満し、それを吸うと体が痺れ始めた。
ダザンは建物の奥へと向かっていくが、このままだとこちらの隊員たちが毒ガスにやられてしまう。
「みんな、一度外へ出るぞ!」
逃げるダザンに向かってアカリが水刃を飛ばし、ダザンの足に傷をつけることができた。
あたしたちは一度建物の外に出た。