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天地の落とし穴~異世界たちが覚醒し、人類は激動の時代へ~  作者: 天地新生
アイルス・インベル編
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第51話 地下街の派閥

-ゼン視点-



 俺の連続蹴りがジーネストに入り、ジーネストは立ち上がることができなかった。



 やはり決定打は蹴りの前の正拳突きだろう。



 何といっても同じ場所に三回も攻撃を入れられることを許したジーネストの傲慢が敗因となったと言える。



 霊眼解放が使えるからといって妖力任せにしすぎていた。



 俺の攻撃は、うまく入ればその振動が相手の内臓にまで届く。



 いくら妖力でガードしているからと言っても、同じ場所から三度内臓への負荷が与えられれば身体は立っていられないだろう。



 ともあれ、これで目的は達成された。



 俺は、闘技場を後にして次の目的地へと向かう。



 地下街にある高級市街地の一角。



 ここに、今回の依頼者、レンズナー・ジュコウがいる。



 彼は地下街で一、二を争う資産家で、彼の敵対勢力であるメラージ・テンザンとはいつも小競り合いをしている。



 その戦力を見せつけるために闘技大会が利用されているとも言える。



 さらに俺が決勝で戦ったジーネストはテンザン派である。



 今回俺はジュコウに傭兵として雇われたようなものだ。



「ジュコウに招かれてきた、ハクキューだ」



 俺は警備員に選手証を見せて門を通り、建物の中に入った。



 召使いに案内され、ジュコウの待つ部屋へと通る。



 俺が部屋に入ると、ジュコウは召使いを部屋から追い出した。



「これはこれは、ハクキュー選手。いや、和合隊総隊長、ゼン殿と言った方が良いか」



「呼び名はなんでもいい」



 俺は闘技大会からずっとつけていた仮面を外した。



「報酬はこの引換証を使って受け取ってくれたまえ」



「分かった。それで、行方不明となっている隊員のことは?」



「ああ、全力を挙げて調べているが、足取りが全く掴めない。これからも引き続き調べさせてもらうよ」



「何か変わった動きは?」



「我々が地方から運んでいた積荷が海賊に奪われてしまったのだ。奪い返してくれるなら、その一部を報酬として支払おう」



「分かった。その話はまた隊員を送って聞かせてもらう」



 ジュコウは茶を飲み、湯呑を置いてから重たい口調で言う。



「それと、和合隊の内部のことにあまり口出ししたくはないのだが、良からぬ噂を聞いてな。隊員の中に、和合隊にあまり良い印象を持っていない者がいるようだ。そやつらが何もしなければいいのだが」



 和合隊からは気になる報告がいくつか来ている。



 しかし、基本は各隊長に対処を任せている、想定外の事態が起きた場合を除いて。



「組織である以上様々な思惑が生まれるのは仕方がない。なるべく事が大きくならないうちに対処する」



 それからいくつかの意見交換を行い、俺はジュコウ邸を後にした。

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