第28話 和合隊本部
俺とガルクは、王都ネスピアの中央辺りまで来ていた。
そこには、ドーム型の球体のように見える巨大な白い建物が建っていた。
「着いたぞ、シン。ここが和合隊本部だ」
どうやらこの建物が和合隊の本部らしい。
俺たちは、建物の正面のドアを開けて、中に入った。
中には意外と人が多く、受付に人が並んでいた。
「最近は結構和合隊に相談に来る人が多いんだ。ま、オレたちは向こうに行こうぜ」
俺たちは外れた場所にあるドアを通って廊下に出た。
建物の中央部には中庭があるようで、廊下からガラス越しに見ることができた。
和合隊の人員らしき人たちがくつろいでいるのが窺える。
ガルクは、三番隊と書かれた表札の前で止まった。
「妖力を使える者は少ないが、くれぐれも霊視は使うなよ。それと、テンミョウ・シュウの名前は出さないようにしてくれ」
「和合隊に入れば、テンミョウ・シュウに会えますか?」
「訳あってすぐには会えないが、いつかは必ず会える。焦らないことだな」
そう言うとガルクはドアを開けて中に入ったので、俺も続けて中に入る。
入ってすぐのところに三番隊隊舎の地図があった。
稽古場や読書室、武器庫などがあるみたいだ。
ガルクが受付の人に話しかけるとすぐにこちらに戻ってきた。
「オレは報告があるからちょっと離れなきゃなならねんだ。このレルフっていうお姉さんに案内してもらっといてくれ」
「初めまして、シンくん。和合隊は初めてなのよね。案内するからついておいで」
「分かりました。ガルクさんまた後で」
俺は、レルフに案内されて和合隊本部を見て回ることになった。
基本的に隊舎には隊員以外入ることができないらしい。
それでも、俺が隊舎を見て回るときにはいくつかの隊は中に入れてくれた。
和合隊の隊にはそれぞれ役割分担があり、それぞれが協力し合って成り立っているようだ。
一番隊と二番隊は別だが、三番隊からはそれぞれに専門分野がある。
三番隊は戦闘、四番隊は情報収集、五番隊は鍛冶、六番隊は馬の管理、七番隊は船と航海術、八番隊は狩り、九番隊は救護、十番隊は新人の育成、といった具合だ。
もちろん、どの隊もある程度の戦闘訓練は受けているようで、大体の隊員は一度は三番隊に回されて鍛えられるらしい。
和合隊に直接所属するのは二百人程度しかいないが、和合隊と共に活動する組織がいくつかあるらしい。
俺がレルフと一緒に三番隊の隊舎に戻ってくる頃には、ガルクが誰かと一緒に戻ってきていた。
「シン、紹介するぜ。十番隊隊長のジェスタだ」
「アマノ・シンです、よろしくお願いします」
「君が和合隊に入りたいというシンくんだね。初めまして、僕はプロキネスト・ジェスタ。十番隊の隊長だ」
黒く長い髪を後ろで括ったその男が、十番隊の隊長らしい。