第26話 三番隊隊長
-シン視点-
ウェミナとの戦いがあった翌朝、俺は宿屋のロビーでガルクを待っていた。
「悪い!待たせたな、シン。ちょいとタギシから話があったみたいでな」
「もう終わったんですか?」
「ああ、大体は終わった。残りの始末は、他の隊員に任せようと思ってな。それじゃあ、出発するか!」
「はい、行きましょう」
俺たちは宿を出て、村の出口の門のところまで行った。
門の近くには二頭の馬が繋いである。
「シン、馬には乗れるか?」
「はい、大丈夫です」
以前にグロス卿の屋敷で馬に乗ったことがある。
その時は、魂の記憶のおかげかわりとすぐに乗り方を覚えることができた。
俺たちは馬に乗って、王都ネスピアを目指した。
最初に森を抜けて、そこからは平原に入った。
平原の途中で、俺たちは休憩をとった。
その時に俺はガルクに和合隊について聞いてみた、
和合隊には、一番隊から十番隊までの隊があるらしい。
ガルクはどこに属しているのか聞いてみたところ、ガルクの正体が分かった。
「オレが何番隊に属するかって?聞いて驚け、オレはこれでも三番隊の隊長なんだぜ」
ボス系統の魔物を一撃で倒したことから、相当な実力を持っているとは思っていたが、隊長クラスだったようだ。
魔族と戦える程の実力者が他に9人もいるのであれば、和合隊というのは侮れないなと思った。
特に一番隊の隊長は、ずば抜けて強いらしい。
他の隊は役割分担もあり、戦力に差があるとか。
ガルクの本気を見たことがないから分からないが、俺が魔法と魂の記憶なしで戦えばおそらくは負けるだろう。
ガルクの戦いぶりからして和合隊は妖力についてかなり研究している。
妖力を身に付けるとするなら、和合隊に入るのがいいかもしれない。
幸い、魔族とも戦っているようだし、妖怪の味方に立ってくれているようだから、目的とは一致しているだろう。
どのみち、和合隊についてもう少し知ってからどうするかは決めることとする。
テンミョウ・シュウについても調べなければならない。
俺たちは昼食を終えると、再び馬に乗って王都ネスピアを目指した。
アイルスでの帝都アルディムへの道中とは違い、今回は何事もなく王都ネスピアにたどり着くことができた。
俺たちは、検問所を通り、王都ネスピアへ入った。
王都ネスピアには、白い壁に黒い屋根の建物が建ち並んでいて、綺麗な街並みがあった。
建物の高さは様々で、大きい建物もあるところを見ると人口が多いことが見受けられる。