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天地の落とし穴~異世界たちが覚醒し、人類は激動の時代へ~  作者: 天地新生
アイルス・インベル編
19/109

第18話 ナラクの橋で再び

 俺はハクアに妖力で作ってもらった狐の仮面を被り、妖力を額の辺りに集中させた。



 ナラクの橋を渡るための下準備、普通の人間では渡ることができないと言われる所以だ。



 これ以外に、ハクアに言われたことは二つ。



 何があっても橋を渡り切るまで決して振り返らないことと、できるだけ真っ直ぐに一定の速度で進むこと。



 俺は駆け足で進むことにして、橋を渡り始めた。



 しばらく進むと完全に霧に覆われて周囲が見えづらくなるが、平坦な道が続く。



 このまま簡単に渡ることができそうだな、と思っていると、突然特殊な声がした。



『お前、人間か?』



 頭まで響き渡る声で、少し驚いたが、俺はスピードを変えずに進み続ける。



 しばらく進むと、少女が座り込んで泣いていた。



 それでも俺は、気にせず進む。



 さらに、大きな像が立っていたり、いろんな色の火の玉が浮かんでいたり、突然地面が揺れたりしたが、俺は気にせず進み続けた。



 確かに普通の人間ならかなり渡りづらいだろう。



 しかし、振り返らなければこれ以上のことは起こらないようで、俺はナラクの橋の感覚が掴めてきた。



 その時、聞き覚えのある声が、目の前からした。



「よう、待ってたぜ、人間」



 武器を持った、巨大な影二つ。



 ベニカガとアオカガが待ち伏せていたようだ。



 一か月間もここで待っていたのだろうか。



 ナラクの橋という場所は不利だろうが、ここは意を決するしかない。



 俺は同じ速度のまま進み続けた。



「無視してんじゃねえ!」



 ベニカガが右手で棍棒を振り下ろす。



 俺が左に避けそのまま通過しようとした時、ベニカガは棍棒を能力で左手に持ち替えた。



 しかし、俺は霊視しているので、その能力の発動を予知できていた。



 霊視は、妖力による特殊な気配、妖術の発動を事前に察知することができる。



 俺は横に振られた棍棒の上に足を乗せ、二段ジャンプして飛び越えた。



 アオカガが空中にいる俺を狙って斧を投げてきた。



 俺は腰に差していた剣を抜き、後ろを向いたまま剣で斧を弾いた。



 アオカガは続けて斧を投げてくるが、妖力を纏った武器であるために、すべて霊視で気配を察知できる。



 俺はスピードを落とさないように、極力少ない動きで斧を避け、無理であれば剣で弾いた。



「待ちやがれ!」



 ベニカガが追ってくるが俺の駆け足の方が速いようだ。



 俺は、無視して駆け抜けた。



 いつか、鬼たちと分かり合える日が来るだろうか。

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