第106話 連携して戦う時
シュウは落下してくる雷を確認すると、刀を使って地面に対して平行に一回転した。
霊眼解放により増強された全身の妖力は、シュウの体を移動させるのに十分だった。
それによりシュウは、魔王の発生させた黒い雷を回避することに成功する。
さらに落下するシュウの元にレッカーは向かい、シュウはレッカーの背中に無事着地した。
「まさか空中でもあの能力が使えるとは思わなかった。今の状況はかなり厄介だな」
「あの能力はおそらく連続で使えないんだよな。その隙をつくくらいしかないか?」
俺たちが悩む中、レッカーは魔王の雷の攻撃を回避し続ける。
そんな拮抗した状況の中、新たな展開が訪れる。
魔王の足元に魔法陣が現れ、そこから発生した光の杭が次々と魔王に突き刺さる。
光の杭は主に魔王の足に刺さり、魔王の動きを封じているようだ。
この光の杭は、ひょっとして。
「ミア、魔王に近づいてくれ。今度は俺たち二人で攻撃しよう」
ミアは頷き、直後にレッカーが魔王に向けて急発進した。
魔王の元に近づいた時、俺とシュウは同時に魔王に向かって飛んだ。
魔王は身動きがとれないようだが、能力も使えないということにかけるしかない。
俺とシュウの攻撃を受け止めるために、魔王は剣を構えた。
やはりあの光の杭は魔王の能力すら防いでしまうようだ。
そこから魔王と激突する寸前で、シュウは刀を振りながら右に移動した。
俺もシュウの意思を受け取り、同じように刀の勢いを使って左に移動する。
そして、シュウは魔王の左の翼を、俺は妖炎斬を使って右の翼を攻撃した。
光の杭は消え、魔王の両翼は炎と氷に包まれて魔王は俺たちと共に落下する。
俺たちは妖力を使って安全に着地した。
魔王は、翼を炎と氷ごと消してしまった。
俺の妖火刀とシュウの刀の能力の効果も無くなってしまったようだ。
だが、魔王が翼を失ったのは大きい。
あとは、魔王の移動する能力さえなんとかすれば。
「おい、魔王の能力だがパターンがある。おそらくは使える範囲に限りがあってだな」
「俺もそれについて考えていたよ。空を飛んでる時以外は、あまり長距離は移動しないよな」
「ああ。俺には推測があるんだが、もう一度左右から斬りかかって、確かめるぞ」
俺たちは、再び左右から魔王に近づいて斬りかかった。
さっきから能力を使って俺の左に移動していたが、今度はどうなるのか。
俺の刀を魔王は剣で受け、シュウの攻撃があったその時、魔王の姿が消えた。
俺は、左に移動されることを警戒して身構えていたが、魔王は俺の横には現れなかった。
魔王はシュウの横に現れ、シュウに向かって剣を振るった。