表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/109

第99話 分かれ道

 アキラが袖の中から刀を抜いたところで、私は彼を止めた。



「アキラさん、ちょっと待ってください」



「どうかしたの?早くシュウくんたちに加勢しないと」



「いえ、この魔族の様子からして何かおかしいと思いませんか?これはあくまで私の予想なのですが」



 私たちは、洞窟の下側にいる人たちを見ながら屈んだ。



「ギンガル帝国の銃騎士長が関わっているのは不可解なのですが。おそらくあれは、魔王復活の儀式ではないかと」



「だったら尚更、早く止めに入った方がいいんじゃないの?」



「ここにはまだ、シンさんが来ていないのです。最悪のケースは魔王が復活してもなお、シンさんがその事実を知らないこと」



「それはシンくんにこだわりすぎなんじゃないの?確かにシンくんは強いけど、僕らだけでも戦った方がいいんじゃないかな」



「嫌な予感がするんです。それに、私たちは約束したじゃないですか、みんなで一緒に戦うって」



 アキラは一度、手に持っていた刀をしまった。



「分かったよ。それなら魔王にみんなで挑もう。だけど、今戦ってる二人がやられそうになったら、僕はすぐに戦うよ」



「そうしてください。私がシンさんを呼んできますから、アキラさんは妖刀の能力で姿を消しておいてください。そして、絶好のタイミングがやってくるまで隠れておいてください」



 アキラは納得したようだったので、私は速やかに来た道を戻った。



 シンの位置は未だに動いていない。



 やはり、交戦中なのだろうか。



 私だけが魔族たちとの戦いに加勢するよりも、シンと合流し、ここまで案内した方がいいと私は判断したが。



 それに、ゼスタのことが気になる。



 彼が敵だとするなら苦戦するかもしれないが、ギンガル帝国の帝都アデスティアでの歓迎を考えると、それは少し違う気がしている。



 けれどゼスタに関しては期待しない方がいいだろう。



 私が一番勇者としての強さを持っていると信じるのはシンなのだから。



 一度通った道ということもあり、私は走ったので意外と時間がかからずに洞窟を抜けることができた。



 そこからも私は先を急いだが、シンの居場所に近くなると、私は慎重に進んだ。



 森の木々から少し離れた花畑に、シンの姿はあった。



 その近くには、巨大な生き物が丸まって寝ている。



 戦っていないのだろうか、私はさらに近寄って様子を見た。



 どうやら、シンの近くに一人の少女がいるようだ。



 しかし、二人の姿を見て私は呆気にとられた。



 二人は額を密着させ、少女は手をシンの胸に当てている。



 少女はさらに嬉しそうに口を開いた。



「こんなに澄んだ心を持った人は初めて。やっぱりあなたが」



 近づく私に傍で寝ていた巨大な生き物は気づいたようだ。



 それを感じ取ったのか、少女もこちらを向いた。



「シンさん、もう!何してるんですか!こんな時に」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ