うさたん と くまたん
©︎遥彼方氏
くまたんのおうちにお呼ばれした うさたん。
今日もうきうきでやって来ました。
「やあ うさたん。よく来てくれたね。」
「やあ くまたん。いつも呼んでくれてありがとう。今日のご馳走は君の左手かな?」
「違うよぉ! 熊掌じゃないよ! 普通に君の好きなアップルパイだよぉ!」
「えー? そうなの? 聞くところによると君の左手ってすごく美味しいそうじゃないか。蜂蜜がたっぷり染み込んでいて、それはそれは身も心も蕩けるような甘さだって聞いたよ?」
「し、知らないよぉ! 誰が言ったんだい? そんなこと言うならアップルパイあげないよぉ!」
「うそうそ。冗談に決まってるじゃないか。もぉ くまたんったら。わあ、美味しそうなアップルパイだね。」
「でしょ? 昨日採ってきたばかりの蜂蜜をたっぷり使ってあるからね。あ、こっちの紅茶にも蜂蜜が入ってるんだぁ。飲んで飲んで。」
アップルパイに甘い紅茶、うさたんの好物です。
「うわぁ美味しいね。やっぱりくまたんはすごいなぁ。で、昨日蜂蜜を採ってきたってことは……くまたんの左手には……」
「ないから! きちんと舐め、じゃなくて洗ったから! 僕の左手を食べても美味しくないって! だからそんな獲物を狙う目をしないでよぉ!」
うさたんはいつもこうやって くまたんをからかいます。本当に仲良しの二人です。
「はぁー美味しかった。ゆうたんは本当に料理の名人だね。」
「ぼくは くまたんだよ? ゆうたんって誰だい?」
「おっといっけなーい。あまりにも美味しかったから間違えちゃった。ゆうたん、じゃなくて くまたん。」
「もー うさたんはおっちょこちょいだなぁ。ところで僕、最近どうにもついてないんだよね。昨日も蜂蜜を採ったのはいいけど帰りに落とし穴にはまって蜂蜜を半分落としたり、その前はトラバサミを踏んじゃってさ。少し痛かったよ。」
「それはついてなかったね。ここら辺は全て くまたんの山なのに酷いことをする奴もいるんだね。僕も最近体の調子が悪いんだよね。どうも体の中が重いって感じかなぁ。こんな時は漢方薬がいいって聞いたけど、ゆうた……くまたんは何か知らない?」
「えー? 漢方薬かい? うーん龍肝とかかな。でも りゅうたんに肝をちょうだいなんて言ったら怒られるよ?」
「だよねー。りゅうたんって怒ると怖いもんね。あ、そうだ。じゃあ くまたんの肝がいいな。ほら、くまたんの肝って熊肝って言って健康にいいらしいし。」
「いやだよ! 絶対だめだよ! もお! そんな目をしてもだめなんだから! うさたんの猟奇殺熊犯ーー!」
「あはは、もう くまたんったら。冗談に決まってるじゃないか。僕たちは親友なんだから。ね?」
「もー! うさたんったら! それにしても僕は最近ついてないなー。あ、そうだ。幸運のお守りがあればいいんだ。うさたん、足をちょーだい。」