だれかのにっき:8月14日
とにかく夏の匂いをかき集めた、そんな作品です。
別の新作に時間がかかったのと、しばらく浮上できないので簡単になってしまいました。
青い一枚天井を見てた。
どこかで羽音が聞こえた。
縁側に吊るされた透明のどんぐりが、
仏間に佇む、深緑の渦が、
ふと、風を乗せて来た気がした。
隣から、洗いたての匂いがする。
どしん、と重い音が聞こえた。
そして、からから笑う声が聞こえた。
青い一枚天井を見てた。
どこかで鳴き声が聞こえた。
ゆらゆらと世界が揺れて、
橙の世界に溺れて、
張り切り過ぎた光を、
気のすむまで睨んだ。
青い一枚天井を見てた。
後ろでがやがやと声が聞こえた。
騒ぐ画面の大人たちを睨んだ。
そして、ソースが焼けた匂いがした。
隣から洗いたての匂いがする。
座布団が小さく見えた。
どしどしと重い足音で歩いている。
そして、にこにことぼくの頭をなでた。
青い一枚天井を見てた。
ほんとはひとりのはずだった。
青い一枚天井を見てた。
ぼくはひとりじゃなかった。
ありがとうございました!
*細かすぎてどうでもいい設定*
両親がどうしても大事な用事があって出かけてしまい、ひとり取り残された小学六年生の男の子と、心配して大学のある地域から電車で3時間かけて駆けつけてきた体重100kgのいとこの兄ちゃん