第2話-陰湿-
「痛い痛い痛い!やめて!やめてよ!」
「オラ!オラ!お前ら二人も殴ってみろ!気持ちいいぞ!」
「「おう!」」
「オラ!」
「オラ!」
「痛い痛い死んじゃうよ死んじゃうよ!」
「「「ギャハハハ!」」」
「うわああ!ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・夢か・・・」
真琴は先程登校中、高瀬に殴られた痛みが夢にまで出てきたことで大量の汗が溢れ出ていた。大きな声を出した事によって、それを聞いた母親は急いで真琴の所へ来た。
「どうしたの真琴!?怖い夢でも見た?」
「う・・・うん。怖い夢見たんだ・・・大丈夫だからママは家の事してていいよ」
「・・・そう?わかったわ・・・無理しないでね?お母さんに何か出来ることあったら言ってね?」
「うん。わかった」
そういって母親を自分の部屋から出させた真琴はすぐにお腹を抑えた。先程高瀬にボディブローを何発も食らったのが相当効いていたのだ。
『痛いよ・・・こんなの幼稚園の頃よりひどいよ・・・助けて・・・』
翌日
「いってきます・・・」
「いってらっしゃい真琴!」
「気を付けて行くんだぞ~」
真琴は小さい声で学校に行ってくると言って家を出た。しかしそれを見逃さなかったのが父親の孝則だった。
「なあ、美沙・・・真琴のやつなんか元気無かったんじゃないか?何かあったのか?」
「真琴は何もないって言ってたから大丈夫なんじゃないかしら・・・?」
「「うーん・・・」」
学校に到着し、教室に入った真琴はクラスの友達に詰め寄られた。
「大丈夫、真琴君?」
「何か辛い事でもあった?」
「この俺様に相談するといいぜベイベェ!」
上から順に紹介すると、クラスのマドンナ的存在であり、女王気質の友達の遠島莉愛と、身長160もあり、ちょっと目つきの悪い友達の野山憲明と、丸坊主でクラスのムードメーカである友達の生島吾郎が真琴を心配して詰め寄ってきたのだ。
「う・・・うん。少し頭が痛かっただけで大丈夫だよ。有難う」
「真琴君は私の彼氏なんだから、しっかりしてよね!怠けてる姿の真琴君も好きだけど・・・」
「うわでた遠島のデレデレきっもちわりぃ!」
「なんですってー!生島ァ!待ちなさい!」
驚きな事に真琴は彼女が居たのだ。遠島とは幼稚園からの仲で幼稚園の頃、遠島が真琴に告白しておkをもらい今も絶賛ラブラブ中なのだ。
「なあ真琴。もし何かあったら、俺に相談しろよ?俺の親父ヤクザの組長だし、俺も古武術をしてる身だからもし・・・もし!イジメでも受けてるなら俺に・・・相談しろよ?」
真琴は寒気がした。
『あ・・・野山君もしかしてテレビであった。いわゆるホモ・・・かな?僕はそういうの気にしないけど・・・・』
それを見ていた高瀬はイライラしていた。学校来て早々イチャイチャしている所を見せられ、番長的存在の野山をバックにして、クラスで一番人気の生島も真琴の味方なことに腸が煮えくり返る程イラ立っていた。そこで高瀬は思いついて真琴の近くに来て耳元でこう言った。
「放課後男子トイレに来い。逃げてみろ?どうなるかお前にはわかるよな?」
「う・・・うん」
キーンコーンカーンコーン
「はーい!宮本先生だよ~!出席取るから皆座って座って~!じゃあ、最初は稲辺さん!」
「はい!」
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「はい、全員出席いいね~!このまま誰一人欠けずに2年生にあがりましょうね~!じゃあ国語の授業だから国語の教科書出して~!」
「「「はーい!」」」
『・・・・あれ?ない・・・僕の国語の教科書』
「せんせ~!長谷川のやつ国語の教科書忘れたみたいっすよ~!」
『え!?それ僕の教科書!ッハここで高瀬君に僕の教科書って言ったらまた殴られる・・・ここは抑えとこう・・・・』
高瀬は先程、真琴に話しかけた時こっそり机の中に入っていた国語の教科書と盗み、自分が忘れたことを無しにして、真琴を犠牲にしたのだ。
「はい・・・忘れました・・・ごめんなさい」
「ん~忘れちゃったか~しょうがないしょうがない!うんうん!じゃあ遠島さん!長谷川君と机くっ付けて長谷川君に教科書見せてあげて!」
「っしゃぁ!わかりましたぁ!」
「げ、元気だね遠島さん」
「フフン!見せてあげる真琴君!」
「ッチ」
小学生1年生とは思えない程の主犯・・・・ですが世の中こういう人もいるんです。皆さんはイジメは絶対にしないようにしましょう。