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8話 『破滅と終焉の都市に眠る女神たちに祝福を』

王都エルグラシア。

そこは、女神様の加護の元で造られた聖域とも言える大きなエンデュミオン都市。

最古からの竜神様から授かったとされる三種の神器によって女神の試練が課せられる。

一つの神器に対して一つの試練。


「私達、女神の試練は、過酷となる幾度となる修練を得て初めて女神と名乗れるのです。」


意気揚々と話を続ける女神様は、海洋神ことネプチューン。

水のドレスを着ているかのように水しぶきがウェーブかかっているので虹が若干見える。

とてもキラやかなファッションセンスだなと思うほどの綺麗なお姿だった。


「…エルグラシア…最大都市…王都……ブティック店、ある?」


遊美奈は、こんな大きな王都にならばカードを扱っているお店があるんじゃないかと興味深々。

まるで子供みたいなはしゃぎようで落ち着きのないような興奮がすでに出ていた。


「…マスターよ。その前に、行くところがあるのではないか?」


ノスフェラトゥスが言うように依頼を受けていたことを済ませようと申し出る。

もちろん、遊美奈に宣得された上に絆されて今では、女神の象徴とされる白羽を出すノスちゃん。

元々は、魔王神ともあるので黒い羽があるのだがさすがに王都と言うことで仕方なく。


「そうだった…ブティックは、後で。」


「ふふふ。可愛い少女の姿が見れて魔王神様もご機嫌が良いようで。」


ネプチューンは、魔王神の顔が赤くなっているのを見てほくそ笑んでいる。

当の本人はというと、言われて恥ずかしくなったのか遊美奈とネプチューンから背を向ける。


「ふんっ!!我は、少し寄るところがあるのでな。此処で、失礼する。用件済み次第で広場で待ってる。」


そう言いながらも、場所まで教える魔王神は何階層ともなっている輪っかの街並みへ飛んで行く。

さすが、女神の街ともいえる場所だ。

ところどころに羽を広げている女神さまたちと天使たちが空中を飛び交っている。

大きくて丸い温かな光となるスフィアが、この王都を覆いつくしているのが空を見ると分かる。


「…色んなエリア、あるんだ…真ん中にある大きな樹木、何なの?」


遊美奈がふと王都の中心部にある建物化している大きな樹木が神々しく見えてきたのを聞いてみた。

光りの玉というべきなのか、オーブみたいなふわふわした飛び方をしているのを指で触ろうとした。


「ユグドラシルの門番と言うのですよ。そして、あの樹木の上には、神々の神域が存在します。」


ネプチューンは、遊美奈に簡単な説明をすると案内をするかのように声を掛ける。


「中に入ってみますか?今の時間帯でしたら、最高神の方々がいらっしゃるかと思います。」


誘われるかのように遊美奈は、ネプチューンの案内の元でユグドラシルの門番の中へと入っていく。

中心部の周囲には、出店や神々のそれぞれの宗派の集いで選挙みたいな演説をしているのも見えた。

憩いの場でもある中心部の女神達や天使達は、平和な世界でのんびりと暮らしているのが見て分かる。


「ネプチューン…ラグナロクのクロノスから生まれし三神の一人。もう二人は、何処に?」


遊美奈は、最初から気になっていた。

ネプチューンという名を持つ女神が居るのなら他の神の名を持つ冥王の神ハデスと全知全能の神オーディン。

この三神がユグドラシルという鍵の門番が居るのだとしたら考えられる答えは一つ。


「ハデス様は、冥界の地獄にいらっしゃいます。オーディン様は、此処の最上階に居りますよ。」


ネプチューンの言葉通りだったらしく、魔法陣の上に立ち一瞬で最上階のオーディンの居る場所へ着いた。

目の前に神々しく玉座なのか、座椅子に居座っているのか、鋭い目つきで遊美奈を見やる。


「ネプチューンよ。そやつが、人間の子か。」


「はい、名を遊美奈様と。ソー様、ロキ様…こちらに居られたのですね。」


オーディンの近くにいるハンマーを肩に担いでいる少女が見えたのが、雷神のソー。

そして、半分の仮面で顔を隠して錫杖を持っている少女こそが、知将神のロキ。

二人の衣装もまた、オーディンのご息女かと思えるようにたわわに揺れている胸が目につく。


「遊美奈様、ソー=エルバドール=トールと申します。」


「私は、ロキ=エルバドール=グレイソンです。以後、お見知りおきを。」


二人の少女が会釈をするとその大きな胸がたゆんと揺れている。

少し、イラっと来る胸のたゆませ方が気に食わない遊美奈。


「胸が大きいからって…揺らさないで、欲しいかも。」


別に、羨ましいからと言って妬んでいるわけでもない。

むしろ、育ち盛りな少女がこれ以上に胸を大きくさせて何をさせたいのか考えてしまう。

複雑な気持ちであると遊美奈は、頼まれていた書類をオーディンに渡すことにした。


「ふむ。遊美奈と言った少女よ、届けに来てくれて助かる。褒美が欲しければ伺うが?」


遊美奈は、オーディンの気さくな言葉に遠慮という言葉を無くしたのかこう告げる。


「…一つの国を頂戴したい。」


遊美奈の言葉に静まりかえる空気。

無理もない話だろうかと思うが、女神達や天使達でさえも集まるこの王都。

この世界を統べる神様でさえも一国を簡単に差し出すような真似はしないだろう。


「…面白い少女よ。何故、と聞くのは野暮というものかな?」


「いいえ、それはありません…今後、此方の世界での生活を踏まえた…生活資源を整えるため。」


遊美奈の目は、至って正常でした。

むしろ、オーディンもまた嘘か誠かを確かめるような詮索もしなかった。

意図した目的、全知全能の神ともあられる存在、広大な世界の中での一国、答えは直ぐに出ている。


「ふむ。良いだろう…希望の場所は、あるかな?その国を任せられる力量を今後とも見せて貰おう。」


「…生産ラインを考えているため、山から海が近い立地を所望…利子、献上料含め…1000万程用意出来る。」


驚愕の破格値段を提示し出す遊美奈の言葉にその場にいる女神達は、唖然としていた。

こんなうまい話は、もとより存在しない。

むしろ、国一つを遊美奈に託すということは、将来の国家予算以上の億万長者へと一変する案件。

全知全能の神様であろうオーディンもまた、言葉が出ないのも頷ける。


「…伊吹遊美奈、此処に宣言…従兄弟の姉を助けるための冒険、投げ捨てる覚悟。」


結の願いが儚く此処にて、消失することになったのだった。

遊美奈は、いとも簡単に結の姉である舞を助ける旅は、これにて終末へと進むのだった。


「……いやいやいや、待って待って待って!!君の従兄弟のお姉ちゃんは、どうするつもりなんじゃ!?」


其処にオーディンの間が抜けるような言葉に遊美奈は、在ることを話した。

むしろ、こっちが本題とも云えるようなことだった。


「従兄弟である姉の救出について、せっぱ詰まっている状況は皆無…戦況整い次第、国の総出にて救出。」


つまりは、今は戦いの時ではなく準備も無くしては相手もそれ程に阿呆ではないということ。

戦況を理解するにも、情報がまず少ないのが現状としてどう戦略を立てるかが鍵となる。

遊美奈の思考を読み取ろうと考えるオーディンとネプチューンは、意外にも遊美奈に期待している。


「…ならば、ネプチューンの力も借りるはずだろう。手を貸してあげなさい。」


「はっ!!オーディン様の命であるならば、遊美奈様にお力をお貸しいたしましょう。」


遊美奈の意外なる交渉術もまた、その場にいないノスフェラトゥスにも動きがあった。

其れは、新たな仲間を迎え入れる準備としてノスフェラトゥスも王都の酒場に足を運んでいた。

その仲間達は、破滅神ルイディーンと終焉神デミウルオスが酒場で飲み交わしている噂を耳にした。


『破滅と終焉が交わる時、神々の世界に祝福が来たれし、深き眠る救世の美神と破滅の魔王が目覚める。』


『闇と光、時間と空間、相反する魔王と女神、幾度と闘ってきた戦争に、眠れ、眠れ、愚かな戦神達よ。』


真っ昼間からお酒を飲んで出来上がっているルイディーンとデミウルオスを見つけたノスフェラトゥスの行方は如何に。

お酒の飲酒をする際は、二十歳になってからにしましょう。

十人十色のキャラクターが出て来るかと思いますが、これからの物語の展開を考えてみました。大雑把になのですが、キャラクターの一人称について。これは、今後の展開にでも考えているのですがこの先に出て来るキャラクターでボクっ子や俺様な一人称の話し方をする子が増えてきます。なので、この先の話はネタバレになるかと思います。むしろ、知っておいて欲しいことなのですが。キャラクターの話している吹き出しとなる部分に自身の呼称に違和感のない話し方を考えております。これからも、こんな注意文章として後書きに記載するかもしれませんがご理解のほどをお願いします。また、次の話を書いておりますが女神や悪魔、魔族、獣等の名前も出てくると思います。この作品は、転生している話ではありませんのでもちろん、最終回には再び元の世界に戻るという話になっていきますのでそのこともご理解のほどお願いします。それでは、これにて失礼します。

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