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1話 『異世界の女神の名はウェルスカー』

8月の最中。

伊吹遊美奈は、小説を書いていた。


「魔剣…うーん、覇剣…聖剣エクスカリバーン!!…うん、無い。」


部屋に引きこもってからは、それほど長くはなかった。

まだ、学校に通うべき年頃なのだから。


「…もう、こんな時間…早い。」


夜中の2時に回って眠気のせいか眼が疲れてきていた。

まだ、眠るにしては締め切りが来るまでは眠る気になれなかった少女。

あどけなくて幼い少女の眼の下にはクマができているのも可愛さらしさが残っている。


「…そういえば、今日…舞お姉ちゃんと結お姉ちゃん…来る日、だっけ?しんどい。」


遊美奈は、ふと手元にあるゲーム機とカードデッキを眺めることにした。

遊ぶ相手に不足がないようにカードデッキの調整をすることにした。


「…小説の2話分が完成、編集担当者…メール送信…うん、大丈夫。」


確認をするようにパソコン画面を眺めてから別の作業をしている。

そう、カードデッキに入れていなかったカードを入れようとカードケースを棚から取り出す。

独り言を呟きながらカードデッキにあるカードを入れ始めた。


「…エルスティア…ヒルメルガー…レアスティン…ガルメキア…ルミエスキース…。」


何かの呪文らしき言葉に聞こえるが、遊美奈の独り言は、今手がけている小説のキャラクター名。

小説のキャラクターの名前には、何かの由縁があるのだけど遊美奈の小説に登場するキャラには理由があった。

実は、小説のネタとして編集担当者にあることを頼んだことでなんと、グッズとしてカードにすることになった。

そのカードというのが、トレーディングカードゲームでもあり戦略的なカードゲームを作ることにしたのが大きな理由。

当然、遊美奈の手がけたカードゲームは、瞬く間に子供達の遊びに浸透していったのだ。

彼女もまたそのカードゲームの生みの親なため、試作カードとしてそのカードイラストも遊美奈の手によって生まれた。

今現在、カードの種類は2500枚だと言われているのだが、遊美奈の手元にはそれら全てのカードが手元にある。

棚にはそんなカード専用置き場として保管されているのだが、小説のネタが増えればカードもまた増えてくるのだ。


「…ルースキアム…フルベルトート…ウェルトストゥム…グランバル…ヴァルパティ…計50枚デッキ構成…5セット、終了。」


そして、かれこれ45分ぐらいでカードデッキの構築も終わり、マグカップに入っているコーヒーを飲む少女。

どこかのお疲れな大人びた作家みたいな眠いのにイラ立つ目つきで前から出来上がっていた5つのカードデッキを眼にする。

不満があるのか解らないが、カードデッキをいちいち並べて見るより両手を使ってマジシャンが使う扇型表示をすることに。


「…これ抜いて…あのカードを入れる……うん、これ…楽。」


そんなことをやっていながら更に1時間が過ぎると…パソコンの方に向いてあることに気付いた。

時間が夜中から早朝に変わる瞬間を見た。

4時になるまで残り10分という時間帯に気付いて仮眠を取ろうと考えた。


「…やば…起きれなくなる…ま、いっか。」


遊美奈は、あれから更に目つきが酷くなっていることに気付かずに椅子の背もたれに寄りかかる。

ギシッと軋む音がすると3話分の小説を書いている途中に保存をすることにした。


「…続き…お昼頃、かな。」


肘をついた状態で小説のタイトルを人差し指でカチカチとゆっくりと叩く音が眠気を更に増している。

それでも、つまらないとは感じなくなっている遊美奈は、少し笑顔が画面越しで魅せていた。


「…舞お姉ちゃん…結お姉ちゃん……元気、してるかな。」


楽しそうな少女の微笑み。

それは、まるで無垢な天使を想像を付かせる感じに見えた。


「…舞お姉ちゃん…どうしている、だろう。」


ふと、水上舞の想像をすると涙が溢れてきた。

自分に何が起こっているのか解らない状態で、遊美奈は、涙を拭う。

違和感を通り越してしまうような感覚が正面から受けて背中を抜けていく。

一瞬のことに遊美奈は、カードデッキ10個をケースにしまう。


「…きっと…また、メール…来るはず。」


遊美奈は、そう考えることにした。

きっと元気でいるに違いない…そう考えることにしてパソコンの電源を落とす。

そして、スマホと財布、ゲーム機にカードデッキをショルダーポーチに入れた。

ベッドのある方へ行こうとすると、何かの起動音が聞こえた。

遊美奈は、メールが届いていることに気付き近づいて椅子に座りメールの内容を見ることにした。


「宛先 un known

 件名 異世界神の女王より

 本文 伊吹遊美奈様。如何お過ごしでしょうか?

    其方の生活で不満が在りましたら此方に来てはどうでしょうか?

    現代社会の息苦しさを覚える若い人達の殆どは、ストレスを抱えているでしょう。

    そんな生活から脱却したいと思う方々のために、此方の生活をしてみてはと思った次第です。


    つきましては、返信の際にYESと記載してこちらに送りください。

    NOと答える場合は、返信をしなくても大丈夫です。


    それでは、お待ちしております。」


起動したパソコンのメールを眺める遊美奈。

宛先不明の意味不明なメール内容。

遊美奈は、それから5分ぐらい悩む。


『あれこれ考察…何も始まらない。』


パソコンを凝視して思わずYESをして返信をしてしまった。

『面白み』に欠けているこの世界には、小説のネタになるんじゃないかと感じていた。

だから、ついついその気持ちに駆られてしまったのがいけなかった。

そう思いながら、椅子から立ち上がりカードデッキを5つほどを追加するようにショルダーポーチにしまい肩に掛けた。

パソコンのメールを閉じて電源を落として、部屋から出ようと扉に手を掛けた時だった。

またパソコンが勝手に起動する音が聞こえて振り向くと、その画面には、黒い液晶に白くある言葉が浮かび上がっていた。


「了承しました。」


すると、パソコンだけを残してその周囲の背景だけが変わった。

そこはまるで、異世界に迷い込んだかのような真っ白なお城と城下町、湖畔と木造の家、のどかな豊かな恵みのある自然。


『伊吹遊美奈こと此の私は、紛れもない…異世界に突然と足を踏み入れてしまっている。』


現在の時刻、4時。


「あ、寝る時間…もう、いいや。」


伊吹遊美奈の災難は、続く。

伊吹遊美奈 少女 10歳 小説作家 CGマスター 戦略ゲームに強い カードマスターの職業


「…人は生きる…それが、人生と読む。」

「…見えるモノに頼るな…見えないモノにこそ…信じられる力、存在する。」

「…従姉(あね)たちを返せ…生きては帰らせない、神であろうとも。」


単語口調(時々長語) 水上姉妹の従妹 負けん気が強い カードを魔法のように扱える 魔導少女『ユミナ』

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