VRハッカー
ヨーロッパのような感じの大きな広場に約3万人程度の人がいた。
その姿形は、普通とは全く違っていた。
剣や、弓、斧、中にはブーメランや鎖鎌などをもっている人もいる。
それだけではない。
そういった人は人でないものもいた。
耳の尖ったエルフや、背が小さく全体的に太めなドワーフ、鱗が生えたドラゴニアンといったようなものも多くいた。
だがここでは、それが普通だ。
「なんせゲーム中、だもんな」
ええ、そうですってなんで地の文に突っ込むですか!?
「そんなのいいじゃん。てか自分の作ったジノブンver13は、結構な出来なのかもな」
ええ、という訳で、一応私の説明を……
私の名前はジノブンです。私は、この話しかけてきた男、篠田光輝が開発した、人工知能搭載の地の文作成機能付き会話機能です。
てか、酷いんですよ、この人!
作成中は狂うから話しかけないでって言ってるのに話しかけてくるし、暇なときしかこうやって遊んでくれないし………
「まぁまぁ、仕事が忙しいからね。これから、また仕事があるしね………」
まぁ……それはわかってるんですけどね………
では、今度、もっといっぱいあそびましょうね?
「はいはい、じゃ。ジノブン、地の文作成お願いね。」
はーい。
では………
どうやら、変化が起きていたようだ。
この3万人は、ログインしたてである。
そして、どうやらログアウトボタンがないことや、緊急時のログアウト方法もできないことに気づいたのである。
そこからは、阿鼻叫喚である。
泣き叫ぶもの、まだ、自体に気づいていないもの、途方にくれているもの、ゲームマスターを探すもの大勢いる。
そう、気づいたのであるこれが『ログアウト不能なゲームである』ということに。
法律上、VR機器で、ログアウトボタンがないということは、死に近い。
大体、こういう場合、黒ずくめのマントをなびかせたやつが
「これは、遊びではない!デスゲームだ!!」
と叫びだすだろう。
てか、なんでそういうデスゲームなるものを作ろうとするのか……未だに理解不能だ。
…………まじでなんで?
まぁバッテリー上の問題で人が死ねるほどの電力を使ってたり、
感覚共有100%でショック死させたりできちゃうんだし、
思い付いたことはなんでもしたくなっちゃうのかな、人間ってのは…………
てか、殺したいなら、ログインした瞬間殺せばいいのに………
やっぱ過去の遺産である作品群から影響をうけてるんかな?
っと、篠田光輝、ユーザーネーム:しのりんを見てみよう。
隅っこでなにやらやっているぞ?
おおっと、ここで電子キーボードでなにかを打ち込んでいるぅ!
すさまじい、凄まじいスピードだぁあああ。
だが、しのりんはまだまだ、余裕そうだぁ!
まさか!?
適当にうっているのだろうか!?
中身を見てみよう!
そんなことは、無かったぁぁ!
なんと愛してるだとか…さぁ、一緒になろうぜってメールを打っているぅ!
なんて男だ、気でもくるったのかぁ!?
ピタリ
「うっさい。今のは仕事を始める前の挨拶だ。
よし、では仕事を始めようか!」
そういうとしのりんは、またカタカタ打ち出した。
だが、先ほどのを1とするとこっちは10とも言えるようなスピードだった。
しかもどんどんスピードが上がっていく。
そんな時、広場の周辺にカウントダウンが表れた。
10から始まる。
それはまるで、死の宣告のようだった。
騒いでいたやつらも、それが出たとき、ピタリと止まった。
まぁ、そんななか、しのりんは黙々と打ち込んでいるんだがな。
9
そして、また、騒ぎだした。
先ほど、冷静にしていたやつも泣いたり、喚いたり、人間、命が関わるとここまで醜くなるのか、犯罪に手を染めようとしているやつもいた。
5
ほとんどのやつは希望を失っている。
4
喚いてるやつも、泣き出してきた。
犯罪に手を染めようと品定めを始める狂ったやつもいる。
3、
3になった瞬間、ピタリと止まってしまった。
一部の人ではない、すべてだ。
いや、このしのりんはまだ止まっていない。が、速さは落ち始め、疲れが見え始めていた。
2、
しのりんの作業は終わったようだ。
1、
この広場の人、すべて生きた心地がしていないだろう。
そして、しのりんがエンターキーを押した。
0になる瞬間、どこかでピキリと音がした。
その音の正体は直ぐに分かる。
この世界の壊れる音である。
ピキリピキリとどんどん壊れていく。
そして、世界はまっしろになり、そこにプレイヤーだけが残された。
ビヨン
そんな音と共にスクリーンが写し出された。
綺麗な女の人とぐるぐる巻きにされた男が写っていた。
んっんっと咳払いを女の人はした。
「みなさん。私たちは、情報VR特別班です。今回のこのVRMMO、ラグナロクは犯罪です。よって、この主犯を現行犯で逮捕しました。そして、あなたたちは随時ログアウトしていきます。」
その言葉に、プレイヤー全員に安堵が訪れた。
スクリーンが消えたあと、どんどん人がログアウトの光を帯びていった。
どんどんログアウトしていくなか、しのりんの前にスクリーンが表れた。
「篠田君、良くやってくれた!君が情報発信し、時間を極度なスローにしてくれたお陰で、簡単に捕まえることができた。さすが、私の愛しい人でVRのホワイトハッカーだ!」
その言葉に篠田はいやぁ、と照れていた。
そう、私の開発者、篠田光輝は、VRを専門とするホワイトハッカーなのである。
あとがき
なんか、書きたくなって書いた。
後悔は、していない。
批判、間違いとうあればよろしくお願いします。
あっ、もしかしたら、次新しいのを書くのはVRMMO系になるかも。
まぁ、その前にあいつを完結させないとな……
他の作品も読んで、批判やらなんやらがほしいです。(長期休暇まで休みです。感想は返します)
では!また、お会いすることを願いってます!