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鏡に映った表(ペルソナ)&裏(シャドウ)  作者: もっさん(デスヨ。P)
1/1

零 「噂話」

初執筆。正直まだ高校生なもんで、右も左もわからないまま、当たればよし感覚でやっていきます。拙い点はご容赦ください。アドバイスもお願いします。


今回の作品のタイトルに「ペルソナ」や「シャドウ」という単語を使っておりますが、某ゲームとは一切関係ありません。あしからず。

 今から三日ほど前、俺は帰り道に奇妙な手鏡を拾った。


 いつもならあまり気にしないような物のはずなのだが、なぜか気になったのだ。


「なんだこれ、変な形してんなぁ」


 真っ黒な淵や、特に装飾が施されてないところを見ると、女性用であるということはまずありえないと言ってもいい。しかし、サイズは駅のホームで化粧直しに使うような物と似ている。


 まだ新品なのか、もしくは、持ち主がよほど大切に管理していたのだろうか。持ち手にも背面にも、傷は一切見られない。


(誰の物か知らんが、これも何かの縁。貰っていきますか)


 手鏡を学校のサブバックに入れようとして、俺はある異変に気づく。


 鏡に映るはずの自分が映っておらず、まるで火の玉な物体が浮かんでいる。


「なっ・・・・!?」


 あまりのことに驚き、何度も目をこする。恐る恐る、もう一度鏡を見ると、そこには自分の――比良里京弥の姿がしっかりと映っていた。


「・・・・やっぱ気のせいか」


 大きな溜め息と同時に、緊張感が一気に抜ける。京弥は改めて鏡をカバンに仕舞うと、足早に帰路についた。




 そして今日、七月七日。時刻は午後一時を過ぎたところ。


 世間はやれ七夕だ、やれ今年の天の川は彼女と見るんだとか、いつも通り退屈だ。


 あれ以降、手鏡は触っていない。気味が悪いし、かといって捨てようとは思わない。何故捨てようと思わないのか、おれ自身もわからない、実に不思議な話だ。


「きょーうーやっ!」


 机に突っ伏して寝ていた俺の背中に、名前を呼ばれると同時に痺れるような痛みが走る。どうやら叩かれたようだ。


「やっぱり千里か。てゆーか、お前クラス違ーしいちいち背中叩くのやめてくんない?普通に痛いんだけど」


 痺れの残る背中を押さえながら振り向くと、幼馴染の友人――村上千恵が無い胸を張って仁王立ちをしている。


「おっす京弥、また昼寝してんの?」


「そーだよ、悪いか?」


 まだ少し眠気の残る目をこすり、安眠妨害への謝罪を求める。しかし、当の本人は意にも介せず


「別に悪くはないけどさー・・・・って違う違う!京弥は聞いたあのウワサ?」


 あのウワサってどのウワサだよ。てか謝罪無しなの?と考えるも、そもそも彼女は幼いときから本能の赴くままに行動していたので、仕方ないと割り切った。一度大きな溜め息をつき、向き直る。


「ウワサ?なんの?」


「あ、やっぱ知らないんだ」


 やっぱって想定済みなのかよ!この野生動物に「やっぱ」って言われたよチクショウ!


「いやさ、出所はわかんないんだけど妙な噂が流行っててさ。なんていうか怪談寄りの話なんだよね」


「怪談?学校の七不思議的なのが、この学校で流行ってんの?」


「七不思議じゃないっぽいんだけど、どうやら最近、この学校から何人か行方不明者が出てるんだって」


 千恵の声のトーンが少し下がる。


「確かに他のクラスから、何人か行方がわかってない生徒が居るって担任から聞いたけど・・・・それがどうかしたのか?」


「うん、ここからが噂ね」


 千恵が呼吸を整える。気持ちは本気のようで、俺も唾を飲み込む。


「どうやら行方不明者全員、失踪する三日前に何かしら拾ってるらしいんだよ」


「何かって・・・・何?」


「それはあたしも知らん」


 大事なところがわからないのかよ。緊張の糸が切れ、全身から力が抜ける。


 深い溜め息をついていると、天井のスピーカーから、昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴る。


「あ、予鈴なちゃった。でもでも!この噂は本当だからね!わたし嘘ついてないからね!」


 そう言い残し、足早に千恵は教室を去っていった。残された俺は、カバンの中にある手鏡に視線をむける。


(あれを拾ったのも三日前だったっけ・・・・じゃあ今度は俺が行方不明に・・・・?)


 いや、単なる噂話だ、そう思い今は考えるのをやめた。


 午後の授業開始のベルが鳴り響く。

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