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海上浮遊都市

 とうとうこの都市周辺も沈み始めた。地球温暖化の影響で年々水面が上がってきた。流石海上都市というだけあった。大陸の都市は5年前に沈んでしまった。残っているのは海に浮かんでいるこの都市だけである。そしてこの都市で生き残っているのは50人弱。しかも、子供は長柄山強(ながらやまつよし)夢洲優(ゆめしまゆう)の2人しかいない。

「ねえ、強。このまま地球温暖化が進んだらここも沈んじゃうのかな?」

「どうだろう。一応、海に浮いてるんだし沈まないんじゃない?」

「そうだといいんだけど…。」

「心配するなよ。」

「でも、残されたこの島だって大きな津波が来たら4分の1水没しちゃうんだよ。」

「だったら、津波が来ても沈まない都市を作ったらいいんじゃないか?そうすれば、もしこの都市が全部沈んでももう1個の方に避難すれば助かるだろ。」

「都市をもう1個作るって。どんなに大変かわかってるの?」

「わかってるさ。実際この目で作ってるところを見てるんだから。しかも、当時よりも建設能力は格段に今の方がいい。ねえ親父さん。今だったらどのくらいで創造できる?」

 そう呼びかけたのは、2人の後ろに立っていた今年で45歳になるここの市長である。みんなからは親父さんで親しんでいる。

「そうだな。この規模の都市であれば1年半あればできると思う。ただ、沈まない都市となれば設計を1から見直さなければならないから2年はかかると思うよ。まあ、まだ創らなくても大丈夫だから心配はしなくてもいいよ。それよりもスイカ切ったから食べなさい。今年は出来がいいから甘いぞ。」

 親父さんに誘われて僕たちはスイカを食べに行った。言ってた通りスイカは甘かった。この都市ではコンビニやスーパーマーケットなどが無いため、自給自足をしなければならない。また、自給自足ができないお年寄りなどは周りの人たちから野菜や果物を分けてもらっている。僕たち子供も畑仕事を手伝ったりしなければならないため、遊ぶという行為をしたことがあまりない。しかも両方とも親がいないので親父さんのところに引き取られている。

「強って創造とかって詳しかったっけ。」

「親父さんからいろいろ教えてもらっているからまあまあ詳しい方じゃないかな。」

「へえ。強にも取り柄があったんだ。でも、この都市の創造家って強なしで10人じゃなかったっけ。その人数で2年で都市を創造できるの?」

「やってみなきゃわからないけど、親父さんがいれば普通の3倍で進むんだよ。考え方や創造方法が他の人より優れてるから。」

「へえ。知らなかった。でも、みんな創る機会があまりないから腕とか落ちてるんじゃないの?」

「腕が落ちないようにするために農作物を作ったりしてるんだよ。畑を耕したりして力が衰えないようにするために。」

「だから農作物作るのって男ばっかだったんだ。納得した。」

「この都市がまだ沈んでないのだって創造家たちのおかげなんだよ。1か月に1回この島の周辺と核の点検してるんだから。」

「核ってどんな形してるの?一般の人には全く見せてもらえないものだからどんな形してるのか興味があるんだよね。」

「実は俺も知らないんだ。核はこの都市の中心にあるらしいんだけど、前に中心に行って探したけど見つからなかった。」

「地下にあるとかじゃなくて?」

「地下への入口も探したけど見つからなかった。」

「そういえば、都市創造の時見てたんでしょ?」

「見てたって言っても真ん中らへんからだからそのときはもう核は出来てたんだと思う。」

「そうなんだ。だけど今度創るんだったら核見れるんじゃない?」

「そうなんだけど、その前に1回この目で見ておきたいんだよ。」

「じゃあ、今度一緒に行かない?私も見てみたいし。2人で探せば見落としもすくなくなるでしょ。」

 そうして、次の日僕たちは核を探しに都市の中心に行った。しかし、何時間も探しても見つからなかった。

「優、もういいよ。もう日が暮れてきたし、おやじさんが心配する。」

「まだ探すの。まだ探してないところが1ヶ所あるから。多分強も探してないところ。」

そういって優はその場所へ向かった。そこは森と言えば森なのだがすべて石でできていた。

「こんな場所があったんだ。」

「うん。都市の周りの東側の一角からちょこっとしか見えないし逆にそこからしか見えないから知ってる人はほとんどいないと思うよ。私だって3ヶ月前に初めて知ったからね。」

「へえ。ねえ優、これなんだろう。なんかの文字かな?」

「さあ。だけどここには何かあるね。」

「うん。探すのは明日にしよう。」

 次の日、親父さんに悟られないように家を出て、昨日見た石の森に行った。そして核を捜し歩いた。そして優が、

「強、見てみて。これなんだろう。」

 そこにあったのは扉であった。しかも石英でできた扉だった。

「ねえ強、これって核への扉かな?」

「さあ。だけどここにスイッチがあるから中へは入れるよ。」

 そうして2人は中へ入った。

 2人が中で見たものは、石英でできた階段や壁であった。そこにある階段を10分ほど降りるとそこには8面体の水晶が部屋のど真ん中に浮いていた。

「ねえ、強。これが核かな。」

「たぶんそうじゃないかな。ここらへんでこんなもの見たことないし。」

 そう話していると、後ろから声がした。

「お前ら、ここで何してるんだ。」

 振り返ると親父さんがいた。

「親父さん、これって……」

「お前らが言ってた通り核だよ。」

「こんなものこの都市で見たことないよ。」

「当たり前さ。ここら辺には無いものだからな。」

「じゃあ、どうやって……」

「海の底に沈んだ都市の壁から石英を取ってきて水晶を精製するんだ。まあ、浮かすようにするにはあと1つ工程を踏まなければいけないけれども教える必要はないだろう。」

「なんで今まで教えてくれなかったんですか?」

 「教えられるはずないだろう。この都市の核を知ってる人間は私含めて5人なのだから。しかし知ってしまったからにはお前たちも創造家にならねばなるまいな。」

「「……わかりました。」」

2人が同時に創造家になることを決意した。

「くれぐれも核の在り処を教えるようなことはしないでくれ。あと、ここに来るのもやめてくれ。誰かに見られたら元も子もない。」

「わかりました。」

 そうして核探しは終わり、僕たちは創造家のなるために勉強をした。そして1年後には創造家デビューをした。デビュー作品はどんな津波でも沈まない都市だった。創るのに2年半かかった。みんなその都市に移動した半年後に前居た都市が津波にのまれた。沈まない都市を創らなかったらと思うとぞっとした。

この海上都市は海から一定距離に感覚で浮いていて津波が来るとその分高く浮くように創られていた。いつ地球温暖化が終わるのだろうと思っていた時期もあったが、今では地球温暖化を楽しんでいるみたいだった。津波が来るたびに他の忌むのが恒例になっていた。あの2人も同様に楽しんでいた。この都市を温暖化の影響から守りながら。


 この作品は、高校生の時、私が所属していた文芸同好会で書いた作品です。

 環境を題材とした小説を書きたいな~と思っていろいろ検索すると、今現在話題となっている「地球温暖化」がいいのではないかという結論に達しこれを書き上げました。

 もしよければ、感想などを書いていただけると嬉しいです。

 また、この作品は「pixiv」にも掲載されておりますので、そちらでも見て感想をもらえると嬉しいです。

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