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六話:え、何が悪いんだ?
ここまで見ると、何が悪いのかイマイチわからないかもしれない。
実は、手法によってはあまり悪くない。
・シャンパン入れる
・労いの言葉をかける
・よく足を運ぶ
純粋に相手が喜ぶ事。
もとい、自分の財布と時間以外何も傷まないならそれは是とされる。
問題はその"手法"による。
"人を食うゆえの妖怪"
「私はバーテンダーさんの味方です。その証拠にこいつが敵です」
集団の中で、一人"生贄役"を用意する。
そいつを吊し上げ、間違った男気を見せる事で店員様への忠誠を示す。
生贄は妖怪に食われる。
猿轡をされ、声を上げる事は許されない。
猿轡とは、じゃあ具体的に?
――それが被害者ポジションだ。
お前は加害者。私は被害者。
有無を言わさず牙城を築く。
そうやって卑怯な妖怪君は場を巻き込む事で正当化する。
生贄が叫ぼうものなら場を壊された私"達"と仲間の確保ができる。
黙っているならそのまま貪る。
心に深い傷を負って、悔しそうで、それでも食べる。
食べ終わったあと「良い事をした」と満足そうに承認欲求が満たされた妖怪は翌日にはこの事を忘れる。




