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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

女の子に戦争をさせたい

作者: iona1623

Escape from Tarkovと言うゲームをしている時に何となく思いついて書いたので見切り発車です。

 古びた、かつては工業団地だったと思われる区画で、激しい銃声が鳴り響いていた。


 タダダダダダダン!!


 複数の銃声が重なり、猛烈な音を上げている。




「クソ、あとマガジンが二つしかない!!」


「こっちも!」


「私はもう一本しかない!」


 絶望的な弾薬不足――弾切れも近い。


「私が手榴弾を投げ込む、援護して!」


「無謀よ!!」


「万歳突撃しかないんだから、仕方ないでしょう!」


「リロード!! 分かった、援護する。これを持って行きなさい!」


 投げられた拳銃の弾倉を受け取る。


「援護して!」


 銃声が減った瞬間を見計らい、遮蔽物へ駆け込んだ。


「まだ届かない……いや、行けるか?」


 投げようとしたが、再び銃声が途切れたので、さらに走ってフォークリフトの影へと身を潜める。

 F‑1グレネードのピンを抜き、敵の潜む工場跡へ放り投げた。


「手榴弾だ!!」


 同時に銃だけを遮蔽物から突き出し、弾が尽きるまで撃ち続ける。

 ほどなくして、手榴弾が爆発。


 その瞬間、銃を捨て、走りながら左手に拳銃、右手にナイフを握って工場へと踊り込む。


 タンタンタン!タンタンタン!タンタン!


 拳銃を撃ち切ると、そのまま敵に投げつけた。


 弾は当たらなかったが、狼狽えている敵の首をナイフで切り裂き、地面で呻く者の首筋へ突き刺す。


 これで全員沈黙したはずだ。


 敵のAKMを拾い、周囲の死体に撃ち込んで止めを刺していく。


「クリア」


 さっきまでうるさかった戦場とは思えない静けさが訪れた。


 刺したまま放置していたナイフを抜き、懐紙で丁寧に血を拭って鞘に収める。


「もう、紗椰(さや)はまた無茶をして!」


 敵の遺品を漁っていると、楓花(ふうか)が駆け寄って来た。


「無茶じゃない。計画された突撃だった」


 そう言いながらも、コイツからはめぼしい物が見つからず、肩を落とす。

 7.62×39mmぐらいしかまともなモノを持ってない。


「はぁ……全く」


 ため息をつきながら、楓花(ふうか)も同じように探索を始めた。


 続いて摩耶(まや)も来て、黙って物色しながらぽつりと呟く。


「今は春を売る、自由を売る、すべてを売る……それよりはマシなのかな」


 摩耶はこの生き方を望んでいるわけではない。滅ぼされた村で陵辱されていたところを助けて以来、共に行動しているのだ。


「さぁね。私はこの生き方が気に入ってるけど、嫌なら荷物まとめて抜ければいい。引き留めたりはしないよ」


 別に最善だとは思っていない。他の生き方を探すなら、止める気はない。


「馬鹿を言わないで。とっとと死体を漁って、次へ行くよ」


 汚れた学生服に不釣り合いなボディーアーマーと空になったリグ。

 倒れたおじさん達に恨みはないが、私たちが生きるために死んでもらう。


 敵のAKMからダストカバーだけ外し、自分の凹んだものと交換する。

 7.62×39mmのT‑45とAP――弾もマガジンも使えそうだ。


 自分のAKMを拾い、ユーゴスラビア製トカレフをホルスターへ収める。


「見て見て、こいつMREなんて持ってたよ! コーラもあるし、煙草に酒も!」


「マジ? こいつは何か持ってるかな?」


 置かれたリュックの中には、紙包みの実包、グリーンピース缶、魚の缶詰、そして酒。


「おお! パイナップル缶だ!!」


「「おお!!」」


 久しぶりの甘味に唾が湧く。

 鞄持ちは戦利品を抱えてていい感じ。物資が集まるのは、いつだって嬉しい。


「めぼしい物はあらかた集めたし、帰ろ帰ろ。スカベンジャー共が来ちゃう」


「そうね、早く帰ろ」


 戦利品を抱え、帰路に就く。


 カチッ、カチッ。


「もう、ライターのガスが切れた……」


 煙草を吸おうとした摩耶が苛立ち気味に呟く。


「これを使いな。さっき拾ったジッポーだから、まだオイルは残ってるはず」


 シュッ。


 一発で火が付き、摩耶は満足げに煙を吐く。


「はぁ~、平和だった頃は煙草なんて吸おうと思わなかったなぁ」


 シュッ、シュッ。


 私も煙草に火をつけ、歩きながら吸う。


「体への害なんて知ったもんじゃないよね。その日暮らしで、命のやり取りの前じゃ将来のガンなんてどうでもいい」


 どうせ30まで生きれたら御の字。なのに60や80になった時の心配をするなんて、無意味に他ならない。


「ふぅ~、今日も煙草が美味しい」


 小さくなった煙草の火を消して吸い殻入れに入れておく。後で何個かまとめて、手巻き煙草にするから。


 私たちが最近拠点にしている五階建ての集合住宅を登りながら、幾つかのトラップを解除していく。


 外は夕方。今日の活動は終わりだ。あとはお楽しみのご飯を食べて寝るだけ。


「さて今日も戦利品の山分けの時間!」


「今日は食べ物も、使った分の弾も回収できたから黒字だね」


「物品の私有を否定しての共有化、実にマルクス主義的」


 また摩耶が変なことを言ってる。


「マルクス主義ってあれでしょ、万国のブルーカラーよ団結しろ!みたいな奴」


「そう、万国の労働者は筋トレをして、資本家を筋肉で打ち倒さなきゃいけない」


 たぶん摩耶のフェチが混じってる気がする。


「何それ変なの」


 そんな馬鹿話をしている時だけが、私たちに与えられた平和だ。




 今日も明日も、彼女たちは戦い続ける。

 秩序が失われた世界を、食うためだけに。

 行き着く先は、殺されるか、病死か、餓死か――それでも煙草は美味い。

 秩序を夢見ることはあっても、輝かしい未来は無い。

 最後に訪れるのは、万人に与えられる“死という祝福”だけ。

偶にはこう言う息抜きに書いてる短編小説を投稿するのもいいかもしれませんね。


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