──*──*──*── 露店街
惷麗
「 へぇ──、数が多いな。
色んな露店が出てるんだな! 」
マオ
「 夕暮れが近付いてるのに賑やかだな。
早速、調味料や食材を見て回ろう 」
惷麗
「 あぁ── 」
《 露店街 》は人々の往来が多くて賑わっている。
家族連れは少ないけど、商人っぽい人が多く見られる。
素材,食材,調味料なんかを買い付けに来る人が殆どだと思う。
生肉を販売している露店,干し肉を販売している露店,塩漬け肉を販売している露店,オイル漬け肉を販売している露店,燻製肉を販売している露店──、肉だけでも露店の種類が豊富だ。
生肉以外の長期保存可能な肉類を一通り購入したら、加工されている肉類──ハム,ウインナー,ソーセージ類も購入する。
生魚以外の長期保存可能な魚類も一通り購入した。
天日干しされた乾燥野菜と乾燥果物,塩漬けされた野菜や果物,甘漬けされた野菜や果物なんかも購入した。
食用の木の実類やナッツ類も購入したし、調味料だけじゃなく香辛料,食用の薬草や香草も購入した。
マオ
「 後は── 」
惷麗
「 おぃおぃ、未だ買うのかよ?! 」
マオ
「 明日は予約した新鮮な生肉,生魚,野菜,果物を購入するからな。
生じゃないのは今日中に買っときたいんだよ。
粉も必要だし、食用油も買わないとな!
卵は割れちゃうから明日だな。
卵の予約しとかないと!
牛乳も買わないとだ 」
惷麗
「 主婦かよっ!
マオ、チーズも忘れるなよ 」
露店での買い物と明日買う食材の予約を済ませる。
結構な種類と量を買い込んじゃった。
帰ったらマオキノに手伝ってもらって仕分けと整頓をしようと思う。
マオ
「 こうやって買い物してると〈 テフ 〉で構成したり、〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換したりする能力ちからって便利で良いいよな~~ 」
惷麗
「 何なんだよ、今更── 」
マオ
「 だってそうだろ。
手ぶらの丸まる腰ごしで旅が出来るんだぞ。
必要な物が有れば〈 テ原質フの源みなもと 〉で構成すれば良いいしさ、要いらなくなれば〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換しちゃえば荷物にならないしな!
ゴミが出ても〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換すれば良いいし、財布を持ち歩く必要も無くなる。
働かなくたって必要な時ときに必要な分ぶんの硬貨や紙幣を〈 テ原質フの源みなもと 〉で構成すれば良いいんだしさ!
動物だって態わざ々わざ狩からなくても死体を〈 テ原質フの源みなもと 〉で構成して解体すれば良いいし、失敗しても〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換しちゃえば済むしな! 」
惷麗
「 気に入いらない奴も〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換して消せるよな!
確たしかに〈 テ原質フの源みなもと 〉で構成したり、〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換したりするセロフィートの能力ちからはチートだな! 」
マオ
「 〈 久宇宙を遠運営する実大いなる成主宰者 〉に作られた〈 お人形様ゴデッセルロドール 〉にしか使えない特権なんだよな 」
惷麗
「 1万年も永ながい時間、世界中じゅうの≪ 大陸 ≫や≪ 島しま国ぐに ≫を往いき来きして旅をしないといけないんだろ?
時代や立ち寄る≪ 国 ≫に依って硬貨も紙幣も変わるから、対応するには必要な能力ちからなんじゃないのか?
羨ましいねぇ 」
マオ
「 オレも使いたいよ。
まぁ、金銭に関しては魔法のマジカル銭ぜに袋ぶくろが有るから困らないけどな 」
惷麗
「 マオにしか “ 使えない ” ってのが余計だがな!
気に入いらない! 」
マオ
「 でもさ、オレにしか使えない銭ぜに袋ぶくだから、盗まれても悪用される事は無いぞ。
無くしたり盗まれたりしても、オレから半径1mメートル離れると自動的にポーチの中へ戻る様ように防犯魔法が掛けられてるんだ。
オレの私し物ぶつは全部な──。
セロが居いてくれたら、シュンシュンの私物にも防犯魔法を掛けてもらえるんだけどな 」
惷麗
「 盗まれたらアウトか。
よし、それなら呪じゅ術じゅつでも掛けとくか。
僕から私物を盗んだ奴は、即効性の呪のろいに蝕むしばまれて死に至いたる──ってな! 」
マオ
「 盗まれた荷物はど・う・や・っ・て・取り返すんだ? 」
惷麗
「 式しき隷れいに回収させるさ。
≪ エルゼシア大陸 ≫にも呪じゅ術じゅつは有るんだろ? 」
マオ
「 確たしかに呪じゅ術じゅつ士し,呪じゅ術じゅつ師しって職業が有るから居いるとは思うけど、陰陽師の使う呪じゅ術じゅつとは違うんじゃないか?
それにしても、死に至いたらしめる即効性の呪のろいって物騒だよな 」
惷麗
「 盗人ぬすっとに明日あしたを生いきる権利なんて有るわけ無いだろ。
盗みを犯おかした時点で、明日あしたを生いきる権利を自みずから捨てたって事さ。
盗とったら取られるんだ。
盗とって良いいのは、命いのちを取られる覚悟の出来てる奴だけにしてほしいね! 」
マオ
「 う~~ん……どっかで聞いた事の有る言葉だな~~ 」
惷麗
「 フフン、とあるキャラクターの有名な名言だぞ!
アニメ好ずきなら、ピピンと来くる台詞セリフさ! 」
マオ
「 そ…そうなんだ?? 」
惷麗
「 兎に角だ!
僕の私し物ぶつを盗ぬすんだ奴はも・れ・な・く・呪のいに掛かって死んでもらう事にする。
別に良いいよな? 」
マオ
「 まぁ、良いいんじゃないかな。
セロが居いた時ときは、怪物モンスターの巣窟の最深部に転移させてたからな 」
惷麗
「 怪物モンスターの巣窟行いきかよ。
えげつない事してんな~~ 」
マオ
「 相手は盗人ぬすっとの犯罪者だからな。
テントには防犯魔法を掛けて、無断でテントの中に入はいって悪さをする泥棒をランダム転移させてたよ。
セロは人間に対して “ 容赦しない ” からな~~ 」
惷麗
「 防犯魔法にランダム転移?
そんな魔法マジック も有るのかよ? 」
マオ
「 古代エンシェント魔法マジックは閃ひらめきの結晶だからな。
未まだ々まだオレの知らない古代エンシェント魔法マジックが有る筈だよ 」
惷麗
「 ふぅん?
因ちなみにだ、どんな場所にランダム転移させてたんだ? 」
マオ
「 色いろ々いろだな。
えぇと──極ごっ寒かんの雪山,灼しゃく熱ねつの砂漠,人ひと喰くい鮫シャークの群がる海,遥か上じょう空くう,野獣の多い密林,何ど処こかの牢屋,マグマの中──。
オレの知らない場所にも転移されてるかも知れないな 」
惷麗
「 ランダム転移………………か。
なんて面白い転移魔法なんだよ!!
クソッ、僕の転移陣でも出来たら良いいのに! 」
マオ
「 シュンシュン、一応今いまは “ 女の子 ” なんだからさ、“ クソッ ” なんて言葉は使わない様ように気を付けろよ? 」
惷麗
「 あっ、そうだったな。
すっかり忘れてた 」
マオ
「 シュンシュン…… 」
オレはシュンシュンと他た愛あいの無い話はなしをしながら《 露店街がい 》を出た。
≪ ゼシュカノ村むら ≫での自宅となる家に向かってひ・た・す・ら・歩いた。