✒ 合流 3
マオ
「 そうだ──。
今日はマオキノがシュンシュンの弁当も作ってくれたんだ 」
惷麗
「 何だって?!
おぃおぃ、寝言はベッドの中だけにしてくれよ 」
マオ
「 本当だよ。
シュンシュンじゃないんだから、嘘なんて吐かないって 」
惷麗
「 お前さぁ、然り気無く僕をディスるなよ 」
マオ
「 ディスてないだろ。
シュンシュンの弁当箱は使い捨てパックだけさ…。
でもな、マオキノも葛藤しながらも頑張ってくれたと思うんだ 」
惷麗
「 一体何と葛藤したってんだよ。
入れ物は兎も角、中身の信用は出来ないねぇ 」
マオ
「 何でだよ? 」
惷麗
「 キノコンは可憐な美少女の僕に対して、唾を吐きながらパンの耳を出して『 おめぇにはコレでも十分過ぎる御馳走エリ 』って言う奴だぞ。
期待なんか出来るかよ 」
マオ
「 惷麗のシュンシュンは餌認定されてないもんな……。
“ 惷麗 ” も餌認定してもらえないかセロに頼んでみようか? 」
惷麗
「 絶対に止めろ!!
この姿で居る時迄、涎垂らしながらギンギンの目で見られて堪るかよ! 」
マオ
「 そ…そうなんだ……。
──弁当は足りなければ、オレの分を一緒に食べれば良いよ。
オレの弁当は重箱の4段重ねだからさ 」
惷麗
「 キノコンの差別が極端だよな。
マオには豪華な重箱で、僕には使い捨てパックなんて、あからさまじゃないかよ 」
マオ
「 それを言うなら、餌認定されてるシュンシュンと餌認定されてないシュンシュンとの差だろ。
キノコンが忖度するのは創造主のセロに対してだけだし 」
惷麗
「 はぁ?
お前はセロフィートの “ お気に入り ” なんだから、忖度してもらえてるだろ 」
マオ
「 それは無いって。
オレはあくまでもセロの所有物だしさ。
壊れ難くて長持ちする玩具に過ぎないんだから……。
キノコン達からは “ 救世主様 ” って言われてはいるけど、キノコンって結構シビアだしな 」
惷麗
「 自分で言ってて虚しくないか? 」
マオ
「 何したってセロの1番には “ なれない ” って分かった時から、オレの心はとっくの昔にバッキリ折れてるよ。
オレがセロに対してラブでも、セロはオレに対してライクだからな。
人形はライクの理解は出来てもラブの理解は出来ない様に作られてるみたいなんだ。
オレは一生涯、セロに対して “ 叶わない片想い ” をし続けるって事さ 」
惷麗
「 叶わない片想いか──。
何だよ、マオは僕と同志じゃないか。
僕は玄武にラブだが、玄武は僕を全身全霊で拒否ってやがるからな 」
マオ
「 同志って言うのかな?
シュンシュンの場合は完全に自業自得だろ。
オレはセロに好かれてるんだから、同志とは違う気がするな~~ 」
惷麗
「 “ 叶わない片想い ” をしてるんだから、同志だろ。
もっと喜べよ 」
マオ
「 素直に喜べないんだよな…… 」
惷麗
「 よし!
また僕の勝ちだな! 」
マオ
「 えぇ~~~~。
嘘だろぉ~~。
シュンシュン、何時からオセロが強くなったんだよ…… 」
惷麗
「 ネットで出来るからな。
オセロの大会に出場しようと思ってな、鍛えてるのさ 」
マオ
「 陰陽師アイドルで? 」
惷麗
「 陰陽師アイドルは囲碁を推してるからな。
成人した姿で出ても良いが負けるとカッコ悪いからな、惷麗の姿で出ようと思ってるんだ 」
マオ
「 へぇ。
まぁ、可愛い美少女が勝負に負けても誰も責めないもんな 」
惷麗
「 そうだろ。
マオも大会に出てみるか?
女装して 」
マオ
「 何でだよ…… 」
惷麗
「 マオは髪を伸ばすだけで、少女に見えるんだ。
どうだよ 」
マオ
「 誘うなぁ~~。
もう1勝負!
次は勝つからな! 」
惷麗
「 ふははははっ!
笑止千万だぞ、マオ!
オセロを御無沙汰な奴が、僕に勝てる筈ないのさ! 」
マオ
「 くぅ~~~~!
本当の事だから言い返せないのが悔しいぃ~~!! 」
何度もシュンシュンに挑んだけど、ブランクの有るオレはシュンシュンには勝てなかった。
こっそりマオキノに特訓してもらおうと思った事は、シュンシュンには内緒だ。
絶っ対にシュンシュンを負かせてやるんだからなっ!!




