✒ 惷麗の秘め事 1
マオ,アノスベルド,プディ,ベレティナは《 ユーグナル宅 》へ向かう事になったが、惷麗だけは《 ユーグナル宅 》へ戻らず、《 宿屋 》に宿泊する事になった。
惷麗はマオから《 宿屋 》に宿泊する為に必要な資金──金貨50枚を受け取る。
資金には食事代も含まれていた。
マオ
「 ちゃんと防犯設備が整ってる《 宿屋 》を選んで泊まるんだぞ。
ケチって防犯設備が緩くて安い《 宿屋 》や防犯設備が無い《 宿屋 》は駄目だからな! 」
惷麗
「 分かった分かった。
お前は僕の母親かよ…。
過保護発言ばっかするなって──。
こちとら親を経験してる身だぞ 」
マオ
「 そうだよな……。
御免なシュンシュン。
オレ、完全にシュンシュンの容姿に騙されてるよな(////)」
惷麗
「 ………………。
言い方に棘が有るぞ 」
マオの言い方に少しだけムスッとした惷麗は、マオ達と別れると《 宿屋街 》へ向か────わずに《 ギルド街 》を目指して歩き出した。
先程迄、惷麗だった容姿が背の高い成年男性の容姿に変わっていた。
男性も面食いな女性も振り向いて2度見する程のイケメンである。
──*──*──*── ギルド街
一体どうやって冒険者の装備を一式揃えたのか、冒険者の出で立ちで《 ギルド街 》へ入って行く。
暫く歩いていると《 冒険者ギルド 》の前に到着した。
成年男性の容姿をした霄囹は、《 冒険者ギルド 》の中へ入った。
──*──*──*── 冒険者ギルド
成年男性の容姿をした霄囹── 以下、ショウレイ ──は、受け付けカウンターへ向かう。
受け付けカウンターに立っている受付嬢に声を掛けると、用事の有る人物の名前を伝えた。
受付嬢は暫くショウレイの容姿に見惚れていたが、我に返ると名前を呼ぶ為に席を立った。
ソファーへ移動し、腰を下ろして座ってから暫く待っていると、用事の有る人物がショウレイの前に現れた。
ショウレイに逢えて嬉しそうな顔をしている。
ショウレイは人物の顔を見て笑い掛ける。
???
「 久し振りだね(////)
ちっとも顔を見せてくれないから心配してたんだよ。
元気そうで良かった! 」
ショウレイ
「 悪かったな。
厄介な依頼が漸く片付いたのさ。
貴族の依頼は安易に受けるもんじゃないな。
今回の依頼で学ばされたよ 」
???
「 冒険者を見下してる貴族は多いからね…。
大抵の冒険者は余程の事情が無い限りは自分から貴族の依頼を受けたりしないよ 」
ショウレイ
「 他にも冒険者や傭兵も居てな、揉めた揉めた。
続き、聞きたいか? 」
???
「 勿論っ!! 」
ショウレイ
「 此処で待ってるから仕事、終わらせて来いよ。
今日は意地でも定時で上がらせてもらえよ 」
???
「 ははは!
ブラックじゃないんだから、毎日定時で上がらせてもらえてるよ。
待ってて! 」
そう言った人物は意気揚々とショウレイに手を振ると受け付けカウンターの裏に在るバックルームへ戻って行った。
人物を待っている間、ショウレイは女性冒険者達に声を掛けられては、笑顔で話し相手を繰り返す。
思わず女性冒険者達が声を掛けずには居られない程に、ショウレイの容姿の魅力的に映っていた。
約束通り定時に仕事を終わらせてもらえた人物は、待ってくれていたショウレイの前に私服姿で現れた。
???
「 お待たせ、━━━━。
待たせちゃったね… 」
ショウレイ
「 じゃあ、行くか。
夕食してから聞かせてやるよ 」
???
「 うん(////)
━━━━と夕食なんて久し振りだから、緊張しちゃうな(////)
何時もの《 飲食店 》で── 」
ショウレイ
「 いや、今夜の夕食は奮発しよう。
報酬のお蔭で懐が潤ってるからな! 」
???
「 良いのかな?
そんな贅沢しても…… 」
ショウレイ
「 偶には良いだろ。
久々の再会なんだ。
ワンランク上の料理で喜びを分かち合おうじゃないか 」
???
「 ━━━━は太っ腹だね。
今夜は朝まで━━━━に付き合うよ! 」
ショウレイ
「 おぃおぃ、明日も仕事だろ。
付き合ってくれるのは嬉しいが、羽目は外すなよ 」
???
「 そ…そうだよね……(////)
明日も仕事だった……………………ははは……(////)」
心無しか残念そうに笑う人物を見て、ショウレイは悪戯っ子の様な顔をしてニヤッと笑う。
それを見た人物は、顔を赤らめながら右手で自分の口元を隠す。
ショウレイ
「 時間が勿体無い。
出ようか 」
???
「 う…うん。
そうだね(////)」
ショウレイは親し気に話す人物を促しながら《 冒険者ギルド 》を出た。
ショウレイの目的地は、多くの平民が日常的に利用するアットホームな《 飲食店 》が建ち並ぶ《 飲食街 》ではなく、何時もよりワンランク上のリッチな食事が楽しめる《 飲食街 》である。
ショウレイは自分の左横を歩く人物と他愛無い会話を楽しみながら《 飲食街 》を目指して歩く。
人物が “ 何か ” を期待している素振りをしている事に気付いているショウレイだったが、敢えて気付かない振りをして会話を続けるのだった。




