⭕ 助っ人 1
──*──*──*── 自宅
マオ
「 ただいま、マオキノ! 」
マオキノ
「 マオ様、お帰りなさいませエリ。
セロ様が頼もしい助っ人を此方に転移されましたエリ 」
マオ
「 え?
助っ人?
誰だろう?? 」
惷麗
「 玄武か?! 」
シュンシュンは身を乗り出して玄武さんの名前を口にする。
マオキノ
「 ……………………違うエリ 」
惷麗
「 コラ、汚物を見る様な目で僕を見るんじゃない! 」
マオキノ
「 ペッ──。
霄囹ちゃまは御呼びでねぇエリ!
黙ってるエリ! 」
惷麗
「 このキノコ野郎──。
ガスバーナーで炙ってやろうか! 」
マオ
「 シュンシュン、どぅどぅ……。
マオキノも穏便にな?
今日は御客さんを連れて来たんだ 」
キノコン
「 御客様ですエリ? 」
マオ
「 そうなんだ。
複数属性を使えるマギタのセイリース・ナトバンさんだよ。
訳あって、一時的に〈 S・G 〉で保護する事になったんだ 」
マオキノ
「 存じてますエリ。
セロ様へはボクから報告させて頂きますエリ 」
マオ
「 流石マオキノ、情報が早いな。
何処で盗み聞きしてるんだ? 」
マオキノ
「 企業秘密ですエリ★ 」
企業秘密って──。
盗み聞きしてる事は認めるんだな……。
油断ならないなぁ。
惷麗
「 企業じゃないだろ 」
マオキノ
「 霄囹ちゃまは口を挟むんじゃねぇエリ! 」
惷麗
「 おい!
どんどん乱暴になって来てるぞ! 」
マオ
「 マオキノ、セイリースさんを1人にしたら身の危険が有るから護衛を御願いしたいんだ。
頼めないかな? 」
マオキノ
「 御任せくださいませエリ!
謹んで護衛の件、お受け致しますエリ★ 」
マオ
「 良かったぁ~~。
有り難な、マオキノ!
セロが居ないから、頼れるのはマオキノだけなんだ 」
マオキノ
「 マオ様(////)
マオ様に頼って頂けるのは恐悦至極の極み──、御褒美ですエリ♥
頼っていただけて嬉しいですエリ♥
全身全霊を持って分身体が護衛させて頂きますエリ! 」
マオ
「 セイリースさんにちょっかい出す悪漢から確り守ってくれな!
学ばないしつこい輩は見せしめに摘まみ喰いして良いからな! 」
マオキノ
「 はいですエリ!
有り難う御座いますエリ♥ 」
マオキノが快く引き受けてくれたから安心した。
マオキノはキノコン達に支給されている吸水性抜群のバスタオルで涎を拭き拭きしている。
涎の量で喜んでくれている事や嬉しさが分かる様になっちゃったな~~。
マオ
「 セイリースさんが信頼の出来る新しい仲間と出逢える迄は、この家で寝泊まりしてくれるかな。
フリーになったばかりだし、フィールドでキャンプして過ごすのは未だ危険だと思うんだ。
魔法力を一時的に封じる道具を悪用するけしからん冒険者だって居るだろうし。
この家ならマオキノが管理してくれてるし、手料理も絶品だよ。
マオキノの分身体が見張りもしてくれるから、敷地内なら安心,安全に暮らせるし 」
セイリース・ナトバン
「 何も其処迄して頂かなくても──。
少々過保護ではなくて? 」
マオ
「 ふぅん?
魔法力を封じられて屈強な男達に取り囲まれたら、護身術も役に立たないよ。
好き勝手に嬲られて、理不尽な性的暴行を受けて、言いなりになる地獄の様に屈辱的な人生を送りたいって事かな?
セイリースさんは自分の稀少価値を自覚した方が良いね。
今迄セイリースさんが無事だった事が不思議なくらいだよ。
パーティに恵まれてたのかな? 」
セイリース・ナトバン
「 …………………………分かりましたわ。
マオさんの御厚意に甘えて暫く、この家で生活させて頂きますわ…… 」
マオキノ
「 賢明な判断エリ。
マオ様の御厚意を断る様なら片足を引き千切ってでも頷かせていたエリ。
素直が1番エリ~~ 」
惷麗
「 キノコンならやりか兼ねないから笑えないな 」
セイリース・ナトバン
「 ……………………………………。
きょ……今日から 宜しく御願い致しますわ…… 」
マオキノ
「 マオ様の御客人として、御世話するエリ 」
マオ
「 有り難な、マオキノ。
セイリースさんの事、呉々も頼んだぞ 」
マオキノ
「 お任せくださいませエリ♥ 」
マオ
「 それで──、助っ人って誰なんだ? 」
マオキノ
「 マオ様の新しい眷属となられたアノスベルド様ですエリ 」
マオ
「 は??
えっ??
誰って??
アノスベルドぉ??
新しいオレの眷属ぅ??
それって──、玄奘さん達がオレの眷属になってくれた時以来じゃないか? 」
マオキノ
「 アノスベルド様に関しては、実はもっと早くに眷属となられていましたエリ 」
マオ
「 はぁぁぁぁ??
どゆことぉ??
オレがセロに頼んで逆刃刀の試し斬りで別の≪ 島国 ≫に行く前から、オレの眷属になってたのか??
初耳なんですけどぉ!! 」
マオキノ
「 セロ様からマオ様への口外禁止令が出されていましたエリ。
マオ様にチクれませんでしたエリ 」
マオ
「 いや、チクったら駄目だからな!
マオキノがセロに消されちゃったら、オレが困るよ!
立ち直れなくなるから、態々オレにチクらなくて良いからな! 」
マオキノ
「 マオ様は御優しいですエリ♥
ボクの心配をして頂けるなんて…………感無量ですエリぃ~~♥♥♥ 」
マオ
「 セロめぇ~~!!
眷属なんて如何にも大事な事なのに内緒にするなんて── 」
マオキノ
「 アノスベルド様にも大変な事情が御有りでしたエリ。
一族の問題を解決させ、落ち着く迄は御多忙でしたエリ 」
マオ
「 そ…そうなんだ……。
一族が絡んだ問題は大変だもんな……。
苦労が浮かんで見えそうだよ…… 」
マオキノ
「 アノスベルド様の種族は吸血鬼ですエリ。
純血種の始祖の末裔で、一族を統べる吸血鬼の王となられましたエリ 」
マオ
「 は?
吸血鬼の王ぉ?? 」
マオキノ
「 はいですエリ。
心強くも頼もしい助っ人ですエリ。
アノスベルド様は居間で御待ちですエリ 」
マオ
「 そ、そうだよな。
何時迄も玄関で立ち話してる訳にはいかないもんな 」
という訳で──、シュンシュン,セイリースさん,オレは玄関での立ち話を中断して家の中に上がった。
──*──*──*── リビング
アノスベルド
「 初めまして、マオ様(////)
御紹介を賜りましたアノスベルドと申します。
マオ様の眷属として馳せ参じました。
以後、御見知りおきを── 」
オレに対して、まるで忠実な執事の様に頭を垂れて挨拶してくれる少年に見覚えがあった。
何処で見たのか全く記憶にないんだけど──。
何処だっかかな~~。
思い出せない……。
オレの眷属になったアノスベルドは、性別反転して女の子になっているシュンシュンよりも背が低い。
銀色に光る月の様に美しいサラッサラの銀髪を赫色のリボンで1つに結んでいて、腰まで伸びている。
赫色のリボンは瞳と同じ色みたいだ。
マオ
「 オレの名前はマオ・ユーグナルだ。
{ 本名はセロから聞いてるだろうけど、マオチェリンド・シェルダーシュカ・エルゼシアだ。
本名は内緒にしてて、育ての兄貴の姓を名乗らせてもらってる }
アノスベルドも気軽に “ マオ ” で良いよ 」
アノスベルド
「 そんな!
主人の名前を呼び捨てるなんて、畏れ多いですっ!!
“ マオ様 ” と呼ばせてください!
僕の事は “ アベル ” と御呼び下さい 」
マオ
「 そんなに畏まらなくても良いよ。
オレは未だ〈 皇 〉になってないんだからさ。
オレからしたら、アベルは弟みたいなもんだし、シュンシュンみたいに馴れ馴れしく接してくれたら良いんだぞ 」
アノスベルド
「 そ…そんな……弟だなんて(////)
畏れ多いです(////)」
惷麗
「 コイツ、一致ょ前にモジモジしてるぞ! 」
マオ
「 シュンシュン、アベルをからかうなよ。
シュンシュンにとっても弟みたいなもんだろ 」
惷麗
「 そうなのか。
弟か──。
フフン、用は下僕だろ? 」
マオ
「 シュンシュン!
自分から敵を作る様な事を言うなよ。
アベルは皆の弟なんだからさ 」
アノスベルド
「 あの──、シュンシュンさんって僕と同じおと── 」
マオ
「 よし!
自己紹介は済んだな!
オレ達は《 キャンプ地 》へ戻ろう!
アベルも一緒にな! 」
アノスベルド
「 僕も一緒に良いんですか?
嬉しいです!(////)」
マオ
「 助っ人に来てくれたんだもんな。
今日から頼むよ 」
アノスベルド
「 はい♪
お役に立ってみせます!
マオ様♥ 」
惷麗
「 帰って来たのに泊まらないのかよ? 」
マオ
「{ セイリースさんの前で性別反転を解く訳にもいかないだろ?
セイリースさんには此処で暮らしてもらうから暫くは帰れないからな! }」
惷麗
「{ それもそうだな。
マオが≪ エルゼシア大陸 ≫を統治する皇子様って事がバレても困るしな! }」
マオ
「{ 未だ統治してないって!
オレは皇子として生きる来も無いんだからな! }
マオキノ、呉々もセイリースさんの事は頼んだぞ 」
マオキノ
「 御任せくださいませエリ!
行ってらっしゃいませエリ 」
マオ
「 うん、行って来ます。
セイリースさん、自分の家だと思って寛いでくれて良いからね 」
セイリース
「 有り難う…ですわ……。
( 此処を実家の様に思って暮らすなんて絶対に無理ですわ~~!! )」
オレはシュンシュンとアノスベルドを連れて、自宅から出た。
マオキノが手を振って見送ってくれるから、オレも笑顔で手を振って応えた。
マオ
「 《 キャンプ地 》に戻ろう 」
惷麗
「 マオ、その前に飯でも食わないか?
僕はスイーツを食べたい! 」
マオ
「 シュンシュン、スイーツは飯には入らないからな。
折角だし、屋台で何か買おう。
《 セロッタ商会 》が屋台を出して飲食の販売をしてるから 」
アノスベルド
「 はい! 」
惷麗
「 気合入り過ぎだろ。
もっと肩の力を抜けよ。
吸血鬼の王は肩の力の抜き方も知らない訳じゃないだろ? 」
アノスベルド
「 それぐらい知ってます!
処でシュンシュンさんはマオ様の何ですか?
マオ様にはセロフィート様が居るんです! 」
マオ
「 詳しい話は歩きながらしよう 」
オレ達は屋台が出店されている公園を目指して歩いた。
◎ 訂正しました。
身の危険も有るから ─→ 身の危険が有るから
御受け致しますエリ 」─→ お受け致しますエリ★ 」




