✒ 追放劇 3
──*──*──*── マオSide
──*──*──*── テーブル席
マオ
「 う~~ん…………。
コレとコレとコレとコレの4枚と──、コレとコレとコレとコレの4枚と──、後は此処から此処までの── 」
惷麗
「 マオ──。
何だよ、未だ見てるのかよ? 」
マオ
「 シュンシュン──。
随分と遅かったな。
今、受ける依頼書を選んでる最中なんだ 」
惷麗
「 依頼帳に挟んである依頼書と伝言板に貼ってある依頼書は何が違うんだよ? 」
マオ
「 依頼帳にファイルされてる依頼書は、公開期限の切れた依頼書がファイリングされてるんだ。
期限の切れた依頼書は申請者が取り消しに来る決まりになってるんだけど、取り消されず残ってる依頼はギルド側で定期的に処理される事になってるんだ 」
惷麗
「 処理って?
焼却炉にでも捨てて燃やすのか? 」
マオ
「 違うよ。
冒険者パーティにギルド長から直々に解決依頼が来るんだ。
ギルド長から依頼が入る前に──って、シュンシュン!
後ろの人は── 」
惷麗
「 セイリース・ナトバンだ。
マオが言ったんだろ。
此処に盛って群がってるゲスクズなケダモノ達から保護しようと思ってな 」
マオ
「 ふぅん?
( “ 保護 ” か──。
丁度良いかもな── )
初めまして、セイリースさん。
オレはマオ・ユーグナル。
シュンシュンの兄で、これでも20歳だからね。
シュンシュンから失礼な事を言われて嫌な思いを沢山させたかも知れないけど、寛大な心で大目に見てほしい。
シュンシュンは男兄弟に囲まれて育ったから、言葉遣いが悪いし、態度もデカくて、傍若無人気味で偉そうなんだ。
勘弁してやってほしい 」
セイリース・ナトバン
「 初めましてにも関わらず、大層失礼な事を言われましたわ……。
何故……面識の無いアタクシを保護してくれますの? 」
マオ
「 何の事かな? 」
惷麗
「 保護してくれ 」
マオ
「 はぁ? 」
惷麗
「 少しの間、僕達と行動を共にさせるだけで良いんだ 」
マオ
「 シュンシュン……。
副リーダーのオレに言わないで勝手に決めるなんて── 」
惷麗
「 “ 仲間に入れろ ” とは言わない!
狙われてるから良いだろ 」
マオ
「 しょうがないな~~。
セロが居ないからって勝手に──。
でも、確かにフリーになった複数属性の使い手が心無い冒険者達から狙われ易いのは事実だよ。
魔法力を封じられたら、〈 ノマ 〉以下だからな。
今回はシュンシュンの思いを尊重するよ。
セイリースさんも良いかな? 」
セイリース・ナトバン
「 アタクシは構いませんわ…… 」
マオ
「 じゃあ、セイリースさんには依頼帳から抜粋した依頼を受けてもらおうかな。
報酬は全額セイリースさんが受け取ってくれて良いからね 」
セイリース・ナトバン
「 アタクシが期限切れの依頼帳に纏められた依頼を受けますの? 」
マオ
「 そうだよ。
オレはシュンシュンが無茶しない様に見張ってないといけないからな。
本当なら、シュンシュンに受けさせる予定だったんだけど──、セイリースさんなら1人でも大丈夫だよね? 」
惷麗
「 おい、マオ。
『 保護する 』って言っといて、1人で行動させる気かよ? 」
マオ
「 セイリースさんの護衛をシュンシュンの式神に任せたら良いだろ 」
惷麗
「 僕の式神は護衛向きじゃ無いんだけどな 」
マオ
「 シュンシュンが使役してる式神で人間に近い容姿をした式神は居ないのか? 」
惷麗
「 居ない事も無いが……。
僕の言う事を素直に聞いてくれる式神なんて居ないぞ 」
マオ
「 ………………………………そうだったよな。
シュンシュンに使役されてる式神も式隸もシュンシュンの事が “ 大っ嫌い ” だったもんな…… 」
惷麗
「 少しはオブラートに包んで言えよ 」
マオ
「 ………………仕方無いけどマオキノに頼んで、分身体に護衛を頼んでみよう 」
惷麗
「 それが無難だな。
マオキノの分身体なら何か予期せぬ事態が起きたとしても臨機応変に対処してくれるだろ 」
マオ
「 よし、そうと決まれば──。
一旦、自宅に帰ろう。
その前に事情を受け付けに話しておこう 」
惷麗
「 それもそうだな 」
オレは依頼帳を従業員のハイデスさんに返した後、受け付けカウンターへ向かった。
──*──*──*── 受け付けカウンター
シュンシュンと一緒に受け付けカウンターの前に立って、受付嬢にセイリース・ナトバンの身の上に起きた経緯と事情を話した。
確かにセイリースさんは、以前のパーティから名前を除名されていて、フリー扱いとなっていた。
リーダーのセロが不在な為、一時的にセイリースさんを “〈 S・G 〉預かり ” って形で登録してもらった。
複数属性のマギタは稀少な存在だ。
信頼の出来る冒険者パーティに一時的でも保護してもらえる事は《 冒険者ギルド 》にとっても有り難い事らしい。
マオ
「 よし、自宅に帰ろう!
セイリースさんも着いて来てくれるかな。
セイリースさんの護衛をしてくれるマオキノの分身体を紹介したいから 」
セイリース・ナトバン
「 構いませんわ 」
一時的にセイリースさんを〈 S・G 〉の新たな仲間に加えて、シュンシュンとオレはマオキノに管理を任せている自宅に帰宅する事にした。




