⭕ 些細な依頼 3
オレは《 冒険者ギルド 》の裏口から出ると、寄り道せずに真っ直ぐと自宅へ走った。
──*──*──*── 自宅
マオ
「 マオキノぉ~~! 」
マオキノ
「 マオ様ぁ!(/////)
お帰りなさいませエリ♥
どうなさいましたエリ? 」
マオキノは麦藁帽子を被り、てぬぐいを首に巻いた姿で自宅の中庭で花壇の世話をしていた。
キノコンが被れる麦藁帽子が有るなんて吃驚だ。
てぬぐいもだけど、態々作ったのか??
未だ1日しか経ってないのに随分と花壇が賑やかになっている。
流石はキノコンが管理しているだけは有るな。
マオ
「 マオキノ、花が増えてるな 」
マオキノ
「 はいですエリ。
全て、食用花ですエリ。
この花を摘んで紅茶葉を作りますエリ 」
マオ
「 紅茶かぁ~~。
マオキノが作ってくれる紅茶は絶品だもんな!
あっそうだ!
マオキノに用意して欲しい薬が有るんだ 」
マオキノ
「 薬ですかエリ? 」
マオ
「 そうなんだ。
実はな斑点病に効果の有る薬って持ってないかな? 」
マオキノ
「 斑点病ですかエリ?
あの身体中の黶が出来る病ですエリね 」
マオ
「 うん、そうなんだ。
未だ依頼人じゃないんだけど、『 パンテルの花を煎じて飲ませたい 』とか言っててさ──。
でも、時期的にパンテルの花は咲いてないだろ?
それに飲める様にするには面倒な手順がてんこ盛りだ。
仮に飲めても効果が出るとは── 」
マオキノ
「 パンテルを煎じて飲んでも斑点病の黶は取れませんエリ。
斑点病の黶は体内に溜まった不純物ですエリ。
斑点病の黶には── 」
マオキノは自分の笠隙間に “ みょぉ~~~~ん ” と伸ばした手を入れると、ゴソゴソと何かを探し始めた。
何時も思うけど、器用だな……。
マオキノ
「 有りましたエリ!
マオ様、此方の薬を使ってくださいませエリ。
此方の薬を飲めば、斑点病の黶はポロポロと取れて落ちますエリ。
人間の脆い身体にジワジワと馴染みますエリ。
薬を飲んだら最低でも1ヵ月は様子見で安静にする必要が有りますエリ 」
マオ
「 1ヵ月か──。
直ぐには効かないんだな…… 」
マオキノ
「 薬の濃度を高めると飲んだ人間が死んじゃいますエリ~~。
キノコン汁は人間の身体には良薬より有害率が高いですエリ 」
マオ
「 マオキノ、有り難な。
直ぐに持って行くよ! 」
マオキノ
「 マオ様、此方も持って行ってくださいませエリ 」
マオ
「 マオキノ、これって 」
マオキノ
「 はいですエリ。
これは紅茶葉ですエリ。
食事をする時、一緒に飲んでもらってくださいませエリ。
体内に溜まっている毒素を身体から出す手助けをする効果が有りますエリ。
後は足裏シートですエリ。
就寝時に足裏に貼ってもらってくださいませエリ。
12時間毎にシートを取り替えてもらってくださいませエリ。
このシートは体内の毒素を吸収してくれるシートですエリ。
このシートを貼っていれば、身体に黶が出来るのが防げますエリ。
使用済みシートは土の中へ埋めてしまえば自然に溶けて分解されますエリ 」
マオ
「 マオキノ、紅茶葉だけじゃなくて、足裏シートの用意までしてくれて有り難な! 」
マオキノ
「 マオ様の御役に立てれ嬉しいですエリ♥ 」
マオ
「 じゃあ、《 冒険者ギルド 》に戻るよ 」
マオキノ
「 行ってらっしゃいませエリ 」
オレはマオキノから受け取った薬,紅茶葉,足裏シートをポーチの中に入れる。
マオキノにハグをして感謝の気持ちを伝える。
見送りをしてくれるマオキノに向かって右手を振ったら、《 冒険者ギルド 》を目指して走った。
──*──*──*── 冒険者ギルド
──*──*──*── 応接室
裏口から《 冒険者ギルド 》の中へ入ったら、廊下を歩いて《 応接室 》へ向かう。
ドアノブを掴んだら回して開ける。
マオ
「 待たせちゃったな。
マオキノから薬を預かって来たよ 」
惷麗
「 転移陣を使えば良かったな。
気が利かなくて悪かった… 」
マオ
「 良いよ。
シュンシュンにはリコズの話し相手をしていてほしかったんだ。
少しは緊張も解れたかな? 」
惷麗
「 ギルド長が居るのに緊張が解れる奴なんて、セロフィートとマオぐらいだろ。
それで、どんな薬なんだよ? 」
マオ
「 今から出すよ 」
オレはポーチの中へ手を入れる。
マオキノから受け取った薬,紅茶葉,足裏シートをテーブルの上に出した。
マオ
「 先ずは薬から説明するな。
この薬を飲んでも直ぐには良くならない。
身体に負担が掛からない様、ジワジワと効いて来るから1ヵ月は様子見をする事。
身体に出ている黶がポロポロと落ちて来るけど、薬が効いている証拠だから心配しなくて良いよ。
分かったかな? 」
リコズ
「 …………この黒い液体を飲ませるの?
本当に大丈夫なの? 」
マオ
「 信じられないなら渡さないよ。
手ぶらで帰るんだな 」
惷麗
「 マオ、ガキにキレるなよ~~ 」
マオ
「 別にキレてないから! 」
惷麗
「 リコズ、マオキノは僕も世話になってる腕の良い調合薬師なんだ。
騙されたと思って飲ませてみろよ。
損はしないさ 」
リコズ
「 ………………分かりました…… 」
マオ
「 次は紅茶葉だ。
これは食事をする時に一緒に飲む紅茶だよ。
体内に溜まっている毒素を身体から出す手助けをする効果が有るんだ。
次は足裏シート。
就寝時に足の裏に貼って寝るらしいよ。
12時間毎にシートを取り替えるんだ。
このシートは体内の毒素を吸収してくれるシートで、身体に黶が出来るのを防げる効果もある。
使用済みシートは土の中へ埋めてしまえば自然に溶けて分解される様になってるんだ 」
惷麗
「 大奮発の大安売りだな。
マオにはトコトン甘い奴── 」
マオ
「 忘れない様に説明を書いて手渡すよ。
呉々も使い方を間違えない様にな?
正しく使わないと効果の期待は出来ないからな 」
惷麗
「 然し、1ヵ月分は多いな 」
マオ
「 魔法の袋に入れるから荷物にはならないよ。
家に着く迄、誰にも襲われなきゃ良いんだけど…… 」
惷麗
「 僕の転移陣でパッと行って、パッと帰って来れば良いだろ 」
マオ
「 じゃあ、地図が要るな。
リコズ、地図を出すから、何処に行けば良いか教えてくれるかな 」
リコズ
「 ……………………えと…………《 修道院 》で御世話に………… 」
マオ
「 《 修道院 》?
えぇと──、《 マグトリ修道院 》かな? 」
リコズ
「 うぅん…………《 ミケラト修道院 》です…… 」
マオ
「 《 ミケラト修道院 》か。
《 ミケラト修道院 》なら──此処だな。
シュンシュン、行けそうか? 」
惷麗
「 任せろ。
良し、転移するぞ 」
シュンシュンが陰陽術を発動させると、足元に陰陽陣が現れる。
古代魔法や元素魔法の魔法陣は、〈 ノマ 〉には見えないけど、陰陽陣は〈 ノマ 〉にもちゃんと見えてるみたいだ。
明確な理由はオレにも分からない。
惷麗
「 ほら、リコズ。
この円の中に入るんだ。
《 ミケラト修道院 》に送ってやるよ 」
リコズ
「 …………お姉ちゃんはマギタなの? 」
惷麗
「 フッ!
僕は召喚術士さ★ 」
マオ
「 転移陣を使える召喚術士なんて居ないけどな!
伊達に〈 S・G 〉のメンバーしてないだろ? 」
シュンシュンが陰陽術を発動させると、転移陣が黄色く光って、壁に囲まれた様になり、《 応接室 》が見えなくなった。
◎ 訂正しました。
良()し、転移するぞ 」─→ 良し、転移するぞ 」




