⭕ 些細な依頼 1
──*──*──*── マオSide
シュンシュンと分かれて壁の前に来たオレは、伝言板に貼られている依頼書を物色中だ。
Dランク冒険者が受けれる伝言板に貼られている依頼書には、大した依頼内容は書かれていない。
オレはSランク冒険者だから、全ての依頼書から依頼を選ぶ事が出来るんだけど──。
マオ
「 う~~ん……。
シュンシュンには薬草採集の依頼も体験させてやりたいんだよなぁ~~。
遠出の依頼ばっかだな 」
セロみたいに便利な転移魔法が使えないから、近場での依頼しか受けられないのが残念だ。
マオ
「 近場で薬草の採集の依頼が有ればなぁ…… 」
伝言板に貼られている依頼書を相手ににらめっこをしていると、誰かと誰かが揉めてる様な声が聞こえて来た。
???
「 お願いします!
依頼を受けてください!!
誰か──、誰か私の依頼を受けてください!!
お願いします! 」
若い声からして1人は女の子らしい。
冒険者:男A
「 あっちへ行ってろ、ガキが!
ウロチョロするんじゃねぇよ! 」
冒険者:男B
「 邪魔なんだよ!
あっちへ行きな! 」
冒険者:男C
「 目障りだ、失せろ 」
女の子
「 お願いします…………どうか、依頼を── 」
うわぁ~~、拒否されてるなぁ~~。
どうやら若い声の主は、どうしても受けてほしい依頼が有って、手当たり次第に冒険者達へ声を掛けてるみたいだ。
本来なら冒険者への依頼は《 冒険者ギルド 》を通して、依頼書を作成してもらうのが一般的だ。
従業員に依頼書の作成をしてもらう為には、発行手続き料ってのが掛かる。
鯔のつまり、依頼書はタダじゃないって事だ。
どうして態々《 冒険者ギルド 》を通すのかと言うと、依頼者と冒険者に揉め事を “ 起こさせない為 ” に仲裁役も兼ねて《 冒険者ギルド 》が間に入る事が義務付けられているからだ。
依頼者は《 冒険者ギルド 》に依頼内容を相談して、共に依頼書を作成する事が義務となっているのに──、直に冒険者達へ依頼を直談判しているみたいだ。
若いから《 冒険者ギルド 》に依頼する事を知らないのか?
若い女の子
「 ──お願いですっ!!
依頼を──、依頼を──、受けてください!! 」
冒険者:男D
「 お嬢ちゃん、一体どんな依頼なんだい?
報酬額に依っては、《 冒険者ギルド 》を通さずに引き受けてやっても良いぞ 」
若い女の子
「 本当ですか!? 」
冒険者:男E
「 あぁ、本当だとも。
ほら、報酬額を言ってごらん 」
若い女の子
「 有り難う御座います!!
私が支払える報酬は── 」
冒険者が自分から《 冒険者ギルド 》を通さないで、直に依頼者から依頼を受けるなんて──、「 依頼は受けてやるけど、自分達は最初から依頼を達成させる気なんて微塵も無くて、依頼人を騙して報酬だけを頂こうとする不届き千万な質の悪い輩なんだぜ! 」って大々的に宣伝してる大馬鹿者だ──って事になるんだけど、自覚してないのか??
若い女の子
「 ──Qです!
私に支払える報酬は──、100Qです!
どうか依頼を── 」
冒険者:男F
「 ふぁい??
たったの100Qだってぇ? 」
若い女の子
「 はい、そうです!
私の全財産なんです(////)
どうか、これで依頼を── 」
冒険者:男E
「 おぃおぃおぃおぃ~~~~。
ふざけるなよ、嬢ちゃんよ。
大人を──冒険者様をからかうもんじゃないぜ! 」
冒険者:男D
「 今時、ガキの小遣いだって1.000Q以上は有るぜ!
報酬額が、ガキの小遣い以下って、何の冗談だよ? 」
冒険者:男E
「 子供の分際で大人を謀ってんのかぁ?!
クソガキがぁ!! 」
若い女の子
「 お願いします!!
私が出せる報酬は100Qが精一杯なんです…… 」
冒険者:男F
「 子供だと思って優しくしてやれば、調子に乗りやがって!
とんでもねぇ、詐欺師じゃねぇかよ!
恐れ入るぜ、なぁ? 」
冒険者:男G
「 黙って聞いてりゃ、クソガキがっ!!
冒険者様を馬鹿にしやがるのも大概にしやがれっ!!
肥溜めに放り込むぞぉ!! 」
冒険者:男A
「 そりゃ、良い案だ!
その前にだ──、優しい冒険者様の俺等を楽しませてからにしてくれよ? 」
冒険者:男C
「 お前、無抵抗な幼女をいたぶるのが趣味だったよな 」
冒険者:男A
「 いたぶらねぇよ。
可愛がってやるんだよ。
初めて男ってもんを知った顔と声が堪んねぇのよ 」
コイツ等、冒険者の風上にも置けないクズの集まりだな。
報酬額を聞いたのは冒険者達の方なのに、勝手に怒って勝手に若い女の子を責め立てている。
阿呆かよ──。
何処迄も御粗末なオツムをした冒険者なんだか……。
あまつさえ困惑して震えている女の子に奉仕させようとしてるしぃ!!
一連のやり取りを聞いてて頭痛がして来た……。
キレ易い性格なのか、勝手に短気を出して若い女の子を一方的に責めて文句を言っている冒険者の1人が、丸腰で無抵抗な若い女の子に拳を振り上げて暴力を振るおうとしていた。
マオ
「 止めるか── 」
オレが動いた矢先──、今にも若い女の子に暴力を振るおうとした冒険者の男が床に倒れた。
マオ
「 へぇ──。
多勢に無勢な不利過ぎる状況にも関わらず、冒険者の暴挙を止めに入るなんて、随分と勇気の有る冒険者も居たんだな。
誰だろう? 」
騒ぎが起きている場所に近付いたオレが見た光景は────。
???
「 ──おい、糞野郎!
今、自分よりも明らかに弱い子供を殴ろうとしただろう!
糞野郎は糞野郎らしく、肥溜めにダイブでもして糞にキスしてろよ、ゲスクズ野郎めがっ!!
冒険者が聞いて呆れるぜ!
今時の冒険者の美学ってのは、弱い者いじめをして粋がる事なのかぁ~~~~? 」
…………………………………めっちゃ聞き覚えの有る声だったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
あっちで回復薬を見てたんじゃなかったかよぉぉぉぉぉぉ!!??
惷麗
「 おい、コラ!
柄が悪くて人相も悪い冒険者に声を掛けられて嬉しそうな顔をするんじゃな!!
連れ去られて悪戯される所だったんだぞ!!
こういうナリをしてる冒険者はな、世間知らずな女,子供を裏路地にでも連れ込んで薬物漬けにした後、数人の仲間と仲良く盥回しに●●●●●するヤバい性癖を趣味にした糞野郎なんだよ!!
もっと自分を大事にして、警戒しろぉ!! 」
シュンシュンは床に俯せの状態で倒れている冒険者の尻に自分の足を乗せながら──、杖の先を差し込んでグリグリと動かしながら──、有りもしない事実を若い女の子に吹き込んでいる。
いや、杖の扱い方ぁ~~~~!!
若い女の子
「 あ…………お姉ちゃんは…………誰……ですか?? 」
惷麗
「 僕も冒険者だ!
こんなゲスいクズ野郎共みたいな性根の腐った冒険者をブチのめす側の冒険者な!
覚えとけ! 」
若い女の子
「 ………………… 」
惷麗
「 抑だ、子供が1人で《 冒険者ギルド 》に来るなんて物騒だろが。
せめて大人と一緒に来るんだな 」
若い女の子
「 …………………お姉ちゃんも子供…………だよね? 」
惷麗
「 はぁあ゛?!
僕の何処が子供だって言うんだ?!
僕は冒険者なんだぞ!
冒険者って事はだ、既に “ 成人してる ” って事だ!
僕はS級冒険者パーティ〈 S・G 〉のメンバーなんだぞ!! 」
若い女の子
「 ……………………………………S級冒険者パーティのメンバー??
…………………………本当に?? 」
惷麗
「 嘘を吐いてどうする!!
僕は弱い者に暴力を振るおうとするコイツとは違うぞ!! 」
シュンシュンは冒険者の尻に差し込んでいる杖を更に激しく動かしながら、若い女の子に喋っている。
冒険者の男が「 限界だぁっ!! 」って顔をしている。
シュンシュン、容赦無いなぁ~~。
仕方無いから助け船を出してやるか。
マオ
「 シュンシュン──、その辺にしといてやれよ。
ソイツの顔がヤバそうだぞ?
変な性癖に目覚めて新しい扉をオープンしちゃったら、責任取れるのか? 」
惷麗
「 マオ!
聞いてくれよ!
このガキ、僕の事を子供呼ばわりしたんだぞ!!
マオからも何か言ってやってくれよ!! 」
マオ
「 シュンシュン……。
兎に角、先ずは尻から足を退けて、差し込んでる杖を抜いてやれって。
抜いたら直ぐ、受け付けカウンターへ走るんだぞ! 」
惷麗
「 受け付けカウンターに走る?
何でだ?? 」
マオ
「 あのなぁ──。
尻穴を散々刺激しといて何言ってんだ……。
良いか、抜いたら直ぐに此方に走って来るんだぞ!!
君もオレと一緒に受け付けカウンターへ走るんだ! 」
オレは若い女の子の手首を掴むと直ぐに受け付けカウンターへ走った。
惷麗
「 マオの奴、何だってんだよ?
もっと分かり易く言ってくれたら良いのにな! 」
僕は胸糞野郎の尻の上から足を退ける。
マオに連れて行かれた失礼な子供に対して何故か苛々するから、杖を抜く前に杖をグリグリグリグリグリグリと抉る様に強目に回すみたいに動かしてやった!!
それから尻穴に差し込んでいた杖の先を抜いてやる。
良く分からないが、僕も直ぐ様受け付けカウンターへ走った。
走ってる間、後ろから大勢の悲鳴が聞こえて来た。
惷麗
「 一体何の悲鳴だよ?! 」
受け付けカウンターの前に着くと、マオが受付嬢と話していた。
──*──*──*── 受付カウンター
マオ
「 シュンシュン、来たな。
全く、どえらい大惨事を引き起こしたよな!
ほら、《 応接室 》へ行くぞ 」
惷麗
「 《 応接室 》だって?
何でだよ? 」
マオ
「 落ち着いて話せる場所で、この子の話を聞く為にだよ。
冒険者達の悲鳴が煩い場所で、落ち着いて話しなんて出来ないだろ? 」
そんな訳で──、オレはシュンシュンと若い女の子を促して、ギルド内に在る《 応接室 》へ移動する事にした。
因みに冒険者達の悲鳴は、尻穴を激しく刺激された冒険者の尻から、腸に溜まっていた糞が勢い良く噴出して、ギルド内に飛び散ったからだ。
腸を刺激された冒険者の糞被害のとばっちりを受けて、冒険者達の悲痛な叫びと悲鳴がギルド内に響いて、糞の悪臭が漂う大惨事となった訳だ。
床だけじゃなくて、壁にも天井にも飛び散った糞が悲惨さを物語っている事だろう。
…………………………ギルド長をしている〈 器人形 〉に上手く逃がしてもらえないかな??
こっそり駄目元で頼んでみようと思う。
掲示板も貼られてる依頼書も全滅だろうから難しいかな…………。
◎ 訂正しました。
体験させてやりたいだよなぁ~~。─→ 体験させてやりたいんだよなぁ~~。
近場で薬草の(ハーブ)採集 ─→ 近場で薬草の採集
義務となっているに──、─→ 義務となっているのに──、
鯔つまり、─→ 鯔のつまり、
揉め事を ─→ 揉め事を
冒険者様をからかうもんじゃないぜ! ─→ 冒険者様をからかうもんじゃないぜ!
優しい冒険者様達の俺等を ─→ 優しい冒険者様の俺等を
勝手に怒って、勝手に若い女の子を ─→ 勝手に怒って勝手に若い女の子を
僕も直ぐ様 ─→ 僕も直ぐ様
悲鳴がギルド内()に ─→ 悲鳴がギルド内に




