⭕ 冒険者デビュー 1
──*──*──*── エルゼシア大陸
──*──*──*── ゼシュカノ村
マオ
「 此処だな。
よし、入ろう、シュンシュン 」
春舂霄囹
「 此処で冒険者になれるのか? 」
マオ
「 そうだよ。
受け付けで冒険者登録をするんだ 」
春舂霄囹
「 異世界映画の世界観と似てるな 」
マオ
「 ははは……。
映画の異世界世界は想像力を具現化した世界観だからな~~。
大体の的は射てるから、想像力も馬鹿には出来ないよな 」
──*──*──*── 冒険者ギルド
目の前の立派な扉を開けて、シュンシュンと一緒に中へ入る。
ギルド内は冒険者達で賑わっている様だ。
マオ
「 へぇ、繁盛してるんだな。
閑古鳥が鳴いてる《 冒険者ギルド 》も在るってのに随分と差が出てるな 」
春舂霄囹
「 此処に居るのは全員、冒険者なのか?
冒険者ってのは本当に武装してるんだな! 」
マオ
「 怪物相手だからな。
強敵で厄介だから、確り武装しないと攻撃から身を守れないんだ。
鎧を引き裂く鋭い爪を持つ怪物も居るから、装備品をケチッたり、怠ったりは出来ないよ 」
春舂霄囹
「 装備品を揃えるだけでも一苦労しそうだな。
何処でも金が無いと大変か 」
マオ
「 最初は無理せず地道にコツコツと──だな。
身の丈に合った依頼を受けて、経験と実力,実績と信頼を高める事を優先するんだ。
努力して培った経験は自分を裏切らないかな 」
春舂霄囹
「 武装してない冒険者も居るな。
何でだ? 」
マオ
「 戦闘での補佐や後方支援をする冒険者は軽装が多いかな。
武装してるマギタなんて見た事ないだろ?
格闘士,武闘士,拳闘士なんかは動き易くて身軽な軽装が多いかな 」
春舂霄囹
「 異世界映画の世界に入り込んだみたいだ! 」
マオ
「 現実だからな。
ほら、受け付けが空いた。
登録を済ませよう 」
春舂霄囹
「 あぁ──。
これで僕も冒険者の仲間入り出来るんだな! 」
──*──*──*── 受付カウンター
受付嬢
「 いらっしゃいませ。
本日はどの様な御用ですか? 」
マオ
「 こんにちは!
今日は冒険者登録とメンバーの追加登録をしたいんだ。
お願いします 」
受付嬢
「 冒険者登録とパーティメンバーの追加登録ですね。
でも、冒険者登録の手続きを始めますね。
此方に冒険者希望の方の情報を記入してください 」
マオ
「 有り難う──。
シュンシュン、この書類にシュンシュンの情報を書くんだ。
シュンシュンはエルゼシア語を書けないから、オレが代わりに書くよ 」
春舂霄囹
「 マオ、ちゃんと読める字で書いてくれよ…… 」
マオ
「 書けるよ!
セロに監視されながら練習しまくったんだから! 」
受付嬢さんから出された書類にシュンシュンの事を記入する。
マオ
「 名前は── “ シュンシュン ” で良いかな? 」
春舂霄囹
「 馬鹿か!
それはお前が勝手に呼んでる渾名だろうが!
“ 惷麗 ” に決まってるだろ!
性別反転してるんだから、性別は “ 女 ” にしろよ。
年齢は── 」
マオ
「 名前は──シュンレイ・ユーグナル。
性別は──女。
年齢は──15歳で良いんじゃないか?
成人が15歳だからな。
≪ エルゼシア大陸 ≫では〈 成人の儀 〉を終えると《 冒険者ギルド 》へ直行する若者が多いんだ。
如何にも “ 駆け出し冒険者 ” って感じで初々しいだろ。
冒険者デビューする可愛いシュンシュンにピッタリじゃないか? 」
惷麗
「 ………………お前、言う様になったな~~。
セロフィートに聞かれたら外出禁止の即監禁だな! 」
マオ
「 何で監禁されるんだよ……。
年齢は──15歳。
家族構成は──マオ・ユーグナルの実妹。
保護者は──セロフィート・シンミン。
職業は──何にするんだ?
マギタにしとくか? 」
惷麗
「 召喚術師だろ…… 」
マオ
「 召喚術だな。
“ し ” には、“ 師 ” と “ 士 ” の二通りが有るんだけど、どっちにするんだ? 」
惷麗
「 召喚術師と召喚術士って違うのか? 」
マオ
「 えぇと──。
どんな違いが有ったんだっけ?? 」
受付嬢
「 説明させて頂きますね。
術師の方は、術を教える立場の者を表します。
弟子を連れている方は “ 師 ” で登録されますよ 」
惷麗
「 僕は弟子を取るつもりは無いな。
僕の術を他者へ教える気は微塵も無い 」
マオ
「 なら、職業は──召喚術士。
冒険者パーティは──S・G。
記入するのは以上かな? 」
受付嬢
「 はい、大丈夫ですよ。
では冒険者登録をさせて頂きます。
──続いてパーティ追加登録を行います。
マイバイ証は御持ちですか? 」
マオ
「 うん。
オレのマイバイ証と──、セロのマイバイ証も預かってるよ 」
オレはポーチの中から自分のマイバイ証とセロのマイバイ証を取り出して、受け付けカウンターの上に置く。
受付嬢
「 有り難う御座います。
マイバイ証を御預り致します。
登録の書き換えをさせて頂きますので、暫く《 待ち合い室 》の方で御待ちください。
登録の書き換えが済み次第、御呼び致します 」
マオ
「 うん、有り難う 」
惷麗
「 何で《 待ち合い室 》なんだ?
其処にベンチが有るじゃないか 」
受付嬢
「 冒険者パーティ〈 S・G 〉はS級冒険者なので──。
A級冒険者,S級冒険者の方には《 待ち合い室 》で御待ち頂く決まりとなっています。
此方で紅茶と茶菓子を御用意させて頂きますので《 待ち合い室 》で御待ちください 」
マオ
「 ほら、シュンシュン──。
《 待ち合い室 》に行こう 」
オレはシュンシュンの右手首を掴んで《 待ち合い室 》へ向かった。
──*──*──*── 待ち合い室
室内に入ると、シュンシュンとオレ以外にも冒険者達が居た。
受付嬢から呼び出しを “ 待っている ” って事は皆A級冒険者かS級冒険者なんだろう。
う~~ん………………当然っちゃあ当然だけど、オレより弱いな。
出来る限り目立たない様にしないとだな!
惷麗
「 何だ──、他にも居るんだな。
紅茶と茶菓子は何処に有るんだ? 」
マオ
「 シュンシュン、紅茶と茶菓子は運ばれて来るよ。
『 御用意させて頂きます 』って言ってたから、空いてるソファーに座って待ってよう 」
惷麗
「 そうだな 」
オレはシュンシュンを促して空いているソファーに腰を下ろして座った。