第一章 09 フラストレーション
「はあ。疲れた。とりあえず、十時にモーニング食べに行くか。今日はもう寝るわ」
「何言ってるの。ツリト君?」
「そうだよ。ツリト。昨日はどれほどキララをこき使ったか。忘れたとは言わせないよ」
「へ?いや、今日は疲れたから」
「だから、カナが癒して上げるって言ってるんだよ」
「キララはツリトに構ってもらわないと。昨日の分が不足してるから」
「キララ、お風呂沸かして来て頂戴」
「カナさんが行きなよ」
「キララ、忘れてるのかしら?二番目の女だってことを。カナが優先されるのは当然なのよ。この数日、楽しんでいたみたいだけどあんまり調子に乗ったらダメよ」
カナが冷たい声でキララを諭した。キララは当然震えていたがツリトも鳥肌が立った。キララはお風呂を沸かしに行った。
「ちゅっ。ツリト君、どうかした?」
「んや。何にも」
「ちゅっ。ちゅっ。っレロ。ちゅぱっ……」
ベロを入れられ唾の糸を引き情熱的に煽情的にカナは今までのフラストレーションが溜まっているのか歯止めが効かなかった。キララが間に入って止めようとしても思いのほか力が強くてツリトを放さなかった。風呂が沸いた音が聞こえるとようやく少しだけ落ち着いた。
「続きはお風呂でね。ちゅっ」
カナはツリトの腕を引いて風呂場に向かった。するとここまでカナに怯えて本気で割って入れなかったキララがせめてもの抵抗として爆弾発言を投下した。
「カナさん。実はツリトさあ、昨日、可愛いウサギの亜人目的で店に行ってました」
そう。説明が足りないのだ。
ショッピングで疲れてワッフルと可愛いウサギの亜人の従業員目的で店に一緒に行きました。が正解だろっ!それじゃあ店を勘違いされるっ。
ツリトは後ろを振り返ってキララを睨んで抗議をしようと思ったが握られている左腕がとても強くカナは足を止めてツリトを笑顔で見た。その笑顔で全身が震えた。
「そっか。やっぱりキララじゃ満足できないってことだったんだ。良かった。安心して。カナが今日は気持ちよくしてあげるから」
再びカナは足を進めて風呂場に向かった。お互いに自分の服を脱ぎ浴室に入るといきなりディープキスをして来た。キララはその間にシャワーを浴びてぱっぱと体を洗い先に風呂に入っていた。それを横目で確認したカナはディープキスを止めてツリトを椅子に座らした。
「ゆっくり念入りに洗ってあげるね。ウサギの子よりきっと上手くヤッてあげるから」
「ちょっと待って…」
「ちゅっ。いいよ。言い訳は。カナとのあの気持ち良さを求めちゃったんでしょ?」
「だから、違くて。ワッフル屋の従業員!」
「キララ。あなた、カナを騙して嬉しい?」
「え?騙してないよっ。ホントにツリトはその子目的ぽかったもん。自分の分のワッフルは頼まなかったんだよっ」
「まあ、ツリト君。今日は寝れないかもね」
「キララはもう上がって寝るね」
キララはカナの冷たい怖い雰囲気に耐えかねてそそくさと逃げた。
「やっと二人きりになった。ツリト君の行動はスマホをハッキングして分かってたから全然気にしてなかったよっ。もちろん、キララとのことも」
「じゃあ、何であんな身が震えるような雰囲気を作ったのさ」
「キララが二番目の女であることを忘れているような気がしたからよ。でも、後で、感謝を伝えないといけないわ。ウサギの亜人のことは知らなかったから」
カナは一瞬、あの冷たくて怖くて身が震えそうな雰囲気を醸し出したがすぐに笑顔になり優しくて温かい雰囲気を醸し出した。
これだ。俺が惚れたカナは。
など思いながらカナの為すがままに誘導されるがままにいちゃつき結局風呂の中で眠ってしまった。カナもツリトを抱きしめて座ったままそのまま眠った。
先に目が覚めたのはやはりカナだ。風呂の湯は温度は一定に保たれるように調節されているので風邪をひくことはない。ただ、当然、喉は渇く。時刻は七時をちょっと過ぎたぐらいだった。二時間ぐらい眠っていたようだ。
喉渇いた。さて、どうしよっかな。起きるまでは待てないし。悪戯しよっかな。
カナはツリトのアレを触りながらほっぺたを突いたり乳首を揉んだり色々したが起きてくれなかった。アレは確実に反応しているのだが。よっぽど疲れているのだろう。
「むう。困ったなあ。どうしてこんなにやって起きないんだろう」
尚もほっぺたを突っつきながら起こそうとしている。すると浴室のドアが開かれた。
「喉乾いていませんか?」
キララがペットボトルのお茶を一本持って裸で入って来た。
「あっ、ありがとう。もしかして、寝てなかった?」
「いえ、キララもかなり疲れてたので寝てましたよ。でも、ツリトが横にいなかったのでさっき起きちゃいました。そしたら、いないからもしかしてって思ったら案の定、お風呂にいたからペットボトルを持って来たんですよ。それで、カナさん。キララが遠慮するのはここまでにするねっ。これからはツリトが一人になったら遠慮なく奪うから覚悟しててね。こんなに寂しかったのはキララも分かったけど、これからずっといるんだからもう遠慮しないっ」
「うん。ホントはツリト君の気持ちを優先しないといけないのに今日は我がまま通しちゃった。昨日はごめんね」
「じゃあ、ホントに遠慮しないよっ」
「うん。カナも負けないから」
カナは宙に浮いて風呂場に飛び込むとツリトの顔を両手で持ち上げて眠っているツリトにディープキスをした。カナに体を押されて邪魔されているがそんなものは気にならないほど体は強靭である。ツリトはさすがに起きているだろうが目を瞑ったままでいる。
「カナさん、好きにしていいって。目瞑ってるから」
「ホント⁉じゃあ、キララやっちゃいなよ」
「えっ⁉いいの?」
「ダメだ。飲み物くれ」
「ヘタレ」
「はい。ツリト君。どうして寝てた振りをしてたのかな?」
「ホントはカナので起きてたけどキララが来て話してたから起きるタイミングがなくなってしまった」
ツリトはペットボトルを受け取ろうとしたがカナは素直に渡してくれず後ろからゆっくりお茶を飲ませた。キララはそれを待ち構えていて飲み終わるとすかさずキスをディープキスをして来た。時刻は七時半と表示されているがこのままだとかなり拘束されそうだ。しかも、二人相手だ。カナは後ろからがっしりツリトを抱きしめていてキララもツリトの首に手を回して足も腰に回していた。
逃げ切れない。はあ。
ツリトは交互に遊ばれてお風呂に上がれたのは九時半になった。不思議なことに記憶がなくボーとしていたが。ペットボトルが長引かせた原因になった。
「くぅ、ふー」
ようやく自由になった体を大きく伸びをして解してベッドで寝転んだ。カナとキララは今、脱衣所で着替え中だ。ツリトが先に体を洗って出たためだ。キララは洗濯していたみたいでカナの替えの服は困ることはなかった。
「やべえ。寝そう」
ツリトは慌てて体を起こしソファーに移動して座った。
「はあ。どんな化け物が来るんだろうか」
考えても分からないため考えるのは止めた方が良いのだが、どうしても考えてしまう。あの大量のエージソン施設はそれだけ不安にさせるのに十分だった。今回、たまたま、エージソン六人が作ったであろう黒シリーズを全部回収したが、新たなエージソンがもたらした情報、それと事実であろう推測で不安が尽きないのである。その推測は、今回、たまたま見たのが六人組だった。これがもし、もっと大人数で作っているグループがあったとすると、それも色々と分野や専門性を分けて。考えるだけで恐ろしい。他にも多分に想像できるが底なし沼に嵌ってしまうため止めておく。とにかく一人になるとそんな想像ばかりしてしまう。
ツリトにとって幸運だったのは黒が六人いること。大量のエージソン六人分の黒シリーズを手に入れたこと。そして、空間を斬ることができるようになったこと。この三つぐらいだろう。三つの幸運を持ってしても不安が勝ってしまうのは仕方ないのだろうか。
「お待たせ。ツリト君」
「待ったよね。ツリト」
ツリトは念のためソファーの端に座っていたためカナが先に座ってツリトの左肩にくっつくとキララは悔しそうにしていた。が、すぐに何か閃いたのか手のひらにグーを乗せると、ピコンとは言っていないがそう言ったように見えた、体を浮かしてツリトの膝上に座った。そして、カナの方をニッと見た。カナは悔しがってツリトを引き寄せようと腕を引っ張った。いちゃついていると綺麗な服に着替え直した三人、サルシア、ライ、ウールフが瞬間移動で現れた。時刻は十時ピッタリだった。
「ツリト、なんかより疲れてない?」
「一人だけ寝れなかったんですか?」
「モテモテだなあ」
「そう見えるか?どうする?モーニング食べに行くか?」
「そうしたいんだけど、外が騒がしくてね。誰のせいだろう?」
「びっくりですよ。貧民街の人間が次々にバウバウ家に行って正しい知識を聞きに行っているんですから。ホントに王都側に危害を加えることなく」
「意外なことに王都側から貧民街の亜人に危害をお加えてない」
「やったね。ツリト」
「さすがキララとツリト君ね」
「じゃあ、お前らは王様に挨拶しに行ったのか?」
「うん。昨日、ツリトの功績は報告したんだけど今日はエージソンの報告を。そしたら王様は日が沈んでからと東西南北に気を付けろって」
「それはいい情報だな。とりあえずホテルのモーニングを部屋に運ばせるか?」
「それが良いと思う」
「それじゃあ、それぞれ予定を立てるか」
ツリトとキララとカナはサンドウィッチでサルシアはご飯と焼き魚と味噌汁、ライはうどん、ウールフは冷やし中華だ。ちなみにツリトはサルシアと同じで焼き魚が良かったのだが半強制的にキララとカナによりサンドウィッチにされた。ツリトは両腕の自由が今ない。料理はホテルの初日の老紳士が運んで来たがさすがにたじろいでいた。
「まず、俺の考えを言うね。キララは王都の全員の避難誘導をお願いしたい。王様の護衛は近衛騎士と騎士がする。東西南北は俺とサルシアとライとウールフ。カナは王城の上空から助太刀。ざっくりこれでどう?」
「はい。ツリト君あーん。カナは嫌だけど妥当だと思うよ」
「キララは避難誘導終わったらツリトの助太刀に行くよっ」
「いい御身分だね。ツリト。僕も基本的にはそれで賛成だ。少し工夫を入れる余地はあるけどね」
「僕もサルシアさんとおんなじです」
「俺もお、そうだな。工夫の入れようが結構あるが」
「はむはむ。だから、ザックリって言ったじゃ…がはっ。はむはむ…」
キララがカナに負けじとツリトのサンドウィッチをすかさずツリトの口に突っ込んだ。
「ちょっキララ。これじゃあツリト君の口の中の水分が全部なくなっちゃうじゃない。仕方ないなあ。ほらっ。ツリト君。アイスコーヒー飲もうね」
「あっ、ズルい」
二人がツリトのことなど見ずに言い争っている。ツリトも何の抵抗もしていない。
「はあ。仕方ない。食べ終わってからしっかり作戦を立てよう」
「ですね」
「うぉーん」
三人の呆れ声が甘い声に搔き消された。
停電が次々に起こった。目の前が真っ暗になり眼鏡を光らせて視界を明るくした。同様の光があちらこちらで光っている。一斉に胸ポケットに刺しているペンも光らせた。次の瞬間、血潮を噴出して倒れる自分たちの音が聞こえた。全員が呟いた。
「「「侵入者か」」」
停電はよく起こることではない。だが、自分が何かを試すためにこれだけの停電は起こす可能性があるかと言うと間違いなく肯定する。追撃が起こらなかったため自分の様子を確かめに行く。電気が点いた。自分が点けたのだろう。血が壁や床にまで飛んでいる。しかし、死ぬことはない。自分たちは立っていた。
「「「あちゃ。侵入者を許しちゃったか。セキュリティーシステムを作るか」」」
自分たちは急速に肉体を再生していたみたいだ。やはり、愛の注射の効果は恐ろしい。自分ではない自分が作り出したことが誇らしい。
自分たちを死に陥れるには何回体を裂かないと行かないか。さすがに真っ二つに斬られると死ぬが。自分は経験していないため分からないが最高傑作で百回だ。ああ、自分ではないが自分の才能が恐ろしい。今回の損失はどれほどあるのかまだ分からないがきっと自分なら対策を取れるだろう。
「「「俺たちも作るから俺たちの分は構わんよ」」」
「「「そうか。俺たちの研究が長いこと止まらなくて良かったよ。では、頑張ってくれ」」」
「「「では頑張ってくれ」」」
自分はセキュリティーシステムをさっさと作ってまた人体実験を行おう。尽きることのないアイデアを形にするために。
別の部屋では。自分ではない自分が、自然と触れてアイデアを練る自分たちが目の前に現れた。
「「「いやあ、すまない。俺たちのせいで一度大けがを負ってしまったね」」」
「「「構わないさ。寧ろ良かったよ。これを一番下っ端の自分たちが傷を負って」」」
「「「そう言ってくれると助かるよ。被害は?」」」
「「「俺たちの黒シリーズが盗られた。【俺たち】のイキシチ王様のシックスセンスを盗む作戦がバレたんじゃないか?」」」
「「「そうだな。既存の黒シリーズを盗み、バレないように親愛の指輪を置いたんだが。俺たちのミスだな。俺たちがミスを帳消しにしよう」」」
「「「実験しなくて宜しいのか?」」」
「「「構わん。黒シリーズ12アルファーで対応しよう。黒シリーズ6アルファーの丁度二倍の威力で十分なはずだ」」」
「「「では、新たなデータを楽しみに待っているぞ」」」
「「「任せておけ。俺たちがおまけを連れて来よう。前から欲しいと思っていたのだ。あのツリトのシックスセンスは。では」」」
自分でない自分が続々と部屋から出て行く。
「「「はあ。俺たちの作品が…。一から作り直すぞ。今ならもっと改良して良いものが作れるはずだ」」」
自分たちは落ち込みながらも前を向いた。
「「「作戦を立てるぞ」」」
自然と触れ合ってアイデアを練る自分たちは部隊が分かれている。視覚系、聴覚系、臭覚系、触覚系、味覚系、動物や虫が持っている特殊感覚系の六グループと大きく分かれている。そこから更に枝分かれするのだが大きく括るとこのグループである。今はそれぞれ各一人ずつ集まっている。先ほど現場を確認したのもこの六人である。丁度六対六で話していた。
「「「はあ。何で外れを引いちゃうかな」」」
自分たちはじゃんけんをして決めると一生決まらないためくじを引いて決める。だが、二種類引く。一つ目は順番を決めるくじ。次は順番通りに引いて外れを決めるくじ。どうして各隊一人ずつかと言うと専門の知識の深さがやはり変わって来るからだ。もちろんデータで知識としては知っている。だが、感覚では知らない。そのため各隊一人ずつ呼んでいる。
「「「よしっ。司会進行を決めるか」」」
そして、同様にしてくじを引く流れとなった。今回は視覚系となった。
「俺たちの計画の邪魔をした相手はツリトだ。おそらくバックにサルシアとジン王がついているだろう。作戦を一緒に立てようじゃないか。まず、俺の作戦から伝えよう。大まかだが明日の夜、透明になって忍び込み、第一優先はジン王の誘拐、第二はツリト、第三はサルシアでいいんじゃないかと考える。次は聴覚系にしよう」
「俺は音波で全員気絶させてから視覚系の【俺】が誘拐したらいいんじゃないかと考える」
「なるほど。万が一のためか。次は臭覚系にしよう」
「俺は匂いで眠らせたほうがいいんじゃないかと考える」
「確かに音波だと美しい街の景観が台無しだからな。しかし、それも見てみたいが。次は触覚系だ」
「俺は迷路を作って王都の人たちの逃げ道を誘導した方が良いと思う。王様誘拐の確率が上がるだろう。」
「なるほど。その考えも大事だ。次は味覚系だ」
「俺は俺たちに料理を振舞おう」
「そうだな。宜しく頼む。次は特殊感覚系だ」
「俺は危険を察知したら報告する役割に回ろう」
「そうだな。本来味覚系と特殊感覚系は研究の手助けの要素が強いから仕方ない。全員の案を採用する。実戦部隊に我々のサポートの内容を伝えに行こう」
「「「ああ」」」
「「「ということだ。どうだろうか?」」」
「「「やはり、実践を経験していない俺たちの考えは甘いな」」」
「「「俺たちは【俺たち】の感覚は分からん。知識としてはあるが。だからこそ見通しが甘い。俺たちは敵は二人ではない可能性も考慮しないといけないと考えている。そのケースでまた、【俺たち】の考えを聞きたい」」」
「「「なるほど。俺たちは知識として常に次善策を考えないといけないことは知っていたが俺たちには次善策を考えた方が良いと言う【俺たち】の感覚が分かっていなかった」」」
「「「早く研究したい気持ちは分かるが嘘は吐くな」」」
「「「はははははは」」」
「「「では席に着いてくれ」」」
「「「はあ。俺たちは皆黙っていたのに」」」
自分たちは今、円状に机と椅子を並べた空間にいる。その数は数えると億劫になるため止めている。いや、数えなくとも知っているからため息が出た。自分たちは机の引き出しを開けた。いつもここで会議するときは自分たちがいない時に自分たちではない自分がくじ引きを三回引いて一つの席に特別なノートを置くようにしている。
「「「ふう」」」
自分たちはリーダーになることは嫌なのだ。自分たちは一斉にため息を吐いた。
「本日二度目。運がない」
「俺が司会と書記を務める視覚系の俺だ。宜しく頼む」
「では、今回、出動するのは、視覚系四人、触覚系四人、死神、悪魔の手袋、運命の赤い糸、封印の壺、ルービックキューブ、神速のライフルこの十四人で行きます。黒シリーズはエージソン12アルファー。場所は王都。時間は今日の十九時。これより解散とする」
時刻は七時だ。十二時間近く経っている。ツリトからの襲撃を受けてから。
「「「はあ」」」
自分たちは疲れ果てていた。中でも一番疲れたのは自分だろう。
今日はつくづく運がない。だが、今から最後の望みを掛けてくじ引きだ。おそらくどの自分たちもくじ引きをして安心して睡眠を取りたいと思っているだろう。
「「「俺は絶対当たりくじを引いて見せる!」」」
「ってことで俺たちは今からくじを引く。当たりが六本、出動が四本だ」
十人は知識の石に手を触れて情報を共有していた。
「「「悪いが今日は俺たちは負ける気がしない」」」
「俺も負けんさ」
「「「順番どうする?」」」
「「「俺が引く」」」
「「「やっぱりか」」」
「あのな、俺が運悪いからと言って黙って待って勝利を待つなんてできないさ」
「「「そうか」」」
「「「いつも通りくじは二回だな」」」
運のない自分は十番目、一番最後に引くことになった。
「「「フン。俺たちが先に引くのは運命で決まっていたのだな」」」
「くう」
この十二時間で運がついていない自分は六回目で勝負が決して出動することになった。