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TSURITOー繋げた未来  作者: カバの牢獄
第三章 愛の紡ぐ未来
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第三章 36 サウルスを歩かせるのはいつもアシュ

「準備は必要か?」

「いらない。早速始めよう」


 二人は相対したためニケはアシュラを抱いて浮遊した。


「頑張りなよ、サウルス。死なない程度にね」


 ニケは浮遊して空からゼウスとサウルスの様子を見た。


「アシュ。ゼウスのシックスセンスは何か分かってる?」

「詠唱、合掌、俺とは違うけど刻印。あと、二つは分からない」

「そっかそっか。残りの二つはねえ。きっと今から見せてくれるよ」




「このゼウスとサウルスの攻撃は世界に影響を与えない」

「じゃあ、始めようか」


 ゼウスは全ての腕を組んだまま直立しており、サウルスは軽く何度もジャンプをしていた。


「どこからでも掛かって来い」

「アシュのおかげで発見できたシックスセンスを使っちゃおうか」


 サウルスは分身を四方八方にたくさん出現させた。そして、空に腰が入った右ストレートを放った。すると、ゼウスの頭が揺れた。


「まだまだ」


 分身のサウルスたちは体を前屈みにして竜と龍の鱗を纏った。黒と緑の鱗が半々ぐらいに纏われていた。サウルスたちが跳ぼうとした瞬間、ゼウスが動いた。


「簡易領域」


 全ての分身を含めたサウルスたちの足元まで影が広がった。そこから、腕がいくつも伸びて来た。


「のっ⁉厄介」


 サウルスは上空に飛んだ。その判断は正解だった。分身たちはサウルスのシックスセンスを使ってゼウスのたくさんの腕による攻撃を受けていなかった。だが、視界が塞がれてお互いのシックスセンスで動けなくなった。


 サウルスのシックスセンスは一定距離間の生物のスピードを極端に遅くするシックスセンスだ。分身たちがお互いに邪魔してしまったのだ。ゼウスは上から三番目の腕の右手の人差し指に左手を覆うと分身のサウルスたちはバランスを崩した。その瞬間、影から生えていたたくさんの腕が分身のサウルスたちの体を手で貫いた。


「ッとに厄介」


 サウルスは神龍の力でミストを出すと瞬間移動をしてゼウスの後頭部にジャブを放った。しかし、そのジャブはゼウスの後頭部に当たる前に上から二番目の左腕でサウルスのジャブを受け止めた。そして、左足を大きく一歩下げると体を反転させて腰の入った右ストレートを一番下の右腕で放たれた。サウルスは咄嗟に体を前屈みにしながら、シックスセンスを発動をしようとした。だが、できなかった。ゼウスを見てみると上から三番目の腕は右手の人差し指に左手が覆われていた。だから、サウルスはゼウスの上から五番目の右腕の腰の入ったストレートをガードの上から食らった。


「アァ」


 その攻撃は神龍と神竜の鱗を纏ったサウルスの腕を貫きお腹をも貫いた。血を吐いた。ゼウスはすぐにサウルスの体にハートの紋様を刻み両腕を治し、貫通して穴が空いたお腹も治した。すると、サウルスは目を覚ました。


「浅はかだ。次だ」

「この・・・」


 サウルスは精一杯睨んでからすぐに瞬間移動をした。


「どんだけ、近づくのが怖いと思ってるのよ。アシュが見てるから頑張ってるけど」


 愚痴を零してから、分身を一体出現させると、本体は土の中に潜ってオーラを一切纏わさずに気配を消した。


「フン。分かりやすい案山子だな。乗ってやろう」


 ゼウスは大きく一歩踏み出して上から二番目の右手で貫き手を放ち分身のサウルスの首を貫いた。分身は煙を出して消えた。その瞬間、サウルスはもう一体分身を作って土の中から分身を一体モグラが地面から出るように上がらせると同時に土の中で空を何度も殴ってゼウスの頭に何度も攻撃を食らわせた。ゼウスは頭が揺れて多少ふらついたもののすぐに踏ん張り、上から三番目の腕で左手の手のひらに右手の拳を合わせた。すると、分身のサウルスはもちろん、本体のサウルスも土の中から引き寄せられた。顔が土の中から出た。


「あっ、もう!」


 サウルスは咄嗟にシックスセンスを発動した。ゼウスは五本の両腕で右手の人差し指に左手を覆っていなかった。だから、


 今回はギリギリ大丈夫なはず・・・。


 サウルスはゼウスの三メートル手前で引き寄せられるのが減速した。


「よしっ」

「力づくでもできるが、ゆっくりとするか」

「何を・・・⁉」


 サウルスが尋ねようとした時に気付いた。


 あれだ!


 かつて、サウルスが初めてアシュラに会って心を溶かしてもらった日、ゼウスがサウルスの走るスピードを著しく遅くしたシックスセンス。変速。


 でも、ゼウスは変速。僕は減速特化だ。何をするつもり?


「貴様のシックスセンスを無効化しても構わんがそれでは芸がない。故に力づくだ」

「じゃあ、僕は邪魔する」


 ゼウスとサウルスの距離が時を止まったように動かなかったのが、少しずつ距離が縮まって来た。サウルスは神龍と神竜の鱗を纏っている両手に炎を纏わせた。その炎の温度を上げれるだけ上げた。


「初めてで馴れてないけど、神竜の力で神龍の力が増してる。きっと、この赫妁な炎は軽く腕を焼き切るよ」


 サウルスはゼウスとの距離が縮まり焦りを感じながらも堂々と胸を張って虚勢を張り、大きく開いた手のひらを思い切り閉じた。すると、ゼウスのサウルスを引き寄せていた原因の上から三番目の腕がサウルスの手跡を付けながら焦げて行った。


「フン」


 ゼウスはその攻撃を鼻で笑うと体にハートの紋様を刻んだ。すると、焦げて燃えてしまいどうだった腕がどんどん回復して行った。


「まだまだ、余裕ぞ。どうする?」


 サウルスは大きく深呼吸をした。


「即興。雷も追加する!」


 サウルスは雷も追加で纏った。徐々にゼウスの筋肉が緩んできて回復が追いつかないほどにゼウスの腕が焦げて焼かれて来た。しかし、尚もゼウスとサウルスの距離が縮まって来ている。


「もう一度、問おう。どうする?」


 サウルスは手が震えた。怖かった。ここから先はトラウマだから。




「サウルス。あの時と同じ轍は踏まないよ。あれは、事故。それに、ニケたちは全く気にしていないんだから」

「母さん。サウルスは鋭利なシックスセンスのイップスなの?」

「うん。でもね、もう徐々にトラウマは薄れて来ているはずなの。アシュ。サウルスをもう一歩前に歩かせるために手伝ってくれない?」

「おう」

「じゃあ、大声を出して」


 ニケはアシュラに耳打ちをした。アシュラは大きく頷いて体を膨らませた。


「サウルス。俺はインドラのことを解決する。絶対だ。だから、サウルスも決意を固めろっ!」


 サウルスとゼウスが余りの大声に顔を顰めた。ゼウスは口角を上げ、サウルスはゴクリと息を呑んだ。




 アシュ。僕は、僕もきっと解決する。トラウマに打ち勝つよ。


 サウルスは大きく深呼吸をした。ゼウスとはもう一メートルほどしかなかった。


「ゼウス。これから、僕は昔に戻る。うんうん。昔の自分を超えるっ!」


 神竜と神龍の鱗を纏ったサウルスは炎と雷も纏っている両手を硬化した。ゼウスの腕を握り潰し腕を燃やした。サウルスは瞬間移動をして距離を取った。


「見事。全てアシュラから始まっているが良き事だ。ギアを上げるぞ、サウルス」


 ゼウスの上から三番目の腕をすぐに生やして体を回復させた。傷一つ無かった。


「殺すつもりで掛かって来い。このゼウス。貴様に余裕を与えるつもりはない」

「死んでも知らないわよ」

「構わん」


 サウルスは距離を取りながら空に炎と雷を纏った手刀を放った。すると、ゼウスの上から三番目の右腕を斬り落とされた。ゼウスはすぐに腕を生やす上から三番目の両手を広げた。


「空気よ。圧縮せよ」


 ゼウスは圧縮した空気事上から三番目の手を叩いた。爆音が響いた。走りながらもう一度手刀を放とうとしていたサウルスはいきなりの轟音に平衡感覚を一瞬失って脚を踏ん張った。


「くっ」「飛べ」


 ゼウスは瞬間移動をするとサウルスの真後ろで脚を一歩力強く踏み出した。サウルスはそれを感じて自分のシックスセンスを放った。ゼウスは体の動きが著しく遅くなったため、変速で自身の動きを最速で動かした。先ほどはわざと、遅くしていたが、今回は本気だった。だから、一見サウルスは自分のシックスセンスを発動しなかったかのように思えるほど速くゼウスの上から三番目の腕でジャブが放たれた。サウルスは全身の筋肉を締めていたのと全身を硬化していたため吹き飛ばされるだけで済んだ。だが、その攻撃力は甚大でサウルスは口から血を零した。


「ゲホッ」


 ゼウスは吹き飛ばされた方向に瞬間移動をして上から五番目の両指だけを合わせていた。


「何を⁉」


 サウルスは口から炎龍と水龍の咆哮で大きな氷を放った。視界を塞いだところで地面に脚を付けて踏ん張り次の一手を打とうとした時、黒色のオーラの十本の鞭が大きな氷を壊した。


「この鞭は、このゼウスの握力が元の力だ。故に、一発でも受けると体が裂けるぞ」

「のっ⁉」


 サウルスはとりあえず、ゼウスの後ろに瞬間移動をしてゼウスの一番下の両腕、上から五番目の両腕を空で手刀を放つことで斬ろうとした。だが、その手刀はかすり傷を付けた程度で終わった。ゼウスが体を反転させて十本の鞭をサウルスに放った。サウルスは自分のシックスセンスを使って攻撃を避けようとした。だが、鞭は豪風を生み出し、地面を抉るほどの勢い(ゼウスのシックスセンスの影響により、抉れない)を出し、そして、サウルスの顔面に当たる直前までトップスピードを維持したままだった。


「のっ、化け物」


 サウルスはもう一度、ゼウスの後ろに瞬間移動をすると、空に手刀を放った。その手刀は同じように上から五番目の腕にかすり傷を付けた程度だ。だが、今度は炎と雷を乗せた圧縮した風がゼウスに向かってハイスピードで向かっていた。サウルスは何度も同じことをした。ゼウスはそれを鞭でずっと捌きながら、サウルスに残った鞭で攻撃した。幸いだったのが、やはり、手なので五本五本で纏まっていたことだ。だから、サウルスは五本の鞭を避けながら攻撃を続けれていた。


「このままじゃ、ジリ貧。だったら、最終手段」


 サウルスは神竜と神龍の鱗で作られた刀を右手に持って、思い切り踏み込んで刀を振り下ろした。ゼウスの上から五番目の右腕が斬り落とされた。


「やった」


 サウルスはゼウスの右腕を斬り落とせたのを確認するともう一度刀を振って左腕を斬り落とした。当然すぐに、ゼウスの腕は生えて来るのだが何とか、攻撃を止ませることには成功した。立ち止まってゼウスと相対した。


「温いな。まあ、善戦はしたか。終わらせよう」

「何を・・・」「動くな」


 ゼウスはゆっくりとサウルスに近づいた。サウルスは動けなかったが自分のシックスセンスを使った。だが、ゼウスは上から二番目の腕で右手の人差し指に左手を覆ったためシックスセンスの発動ができなかった。


「決まりだ。今日一歩踏み出せたことを忘れるな」


 ゼウスは上から二番目の腕を一度自由にしてから、十本の腕を組んで直立した。それを見たサウルスは大きく息を吐いてその場に座った。


「疲れた。でも、・・・アシュに背中押されちゃった。あーあ。僕の問題は解決する予定じゃなかったんだけどなあ」

「フン。遅かれ早かれ、貴様の問題はアシュラにより解決されていただろう。アシュラにぞっこんだった故な」

「かもね」


 ニケとアシュラが上空から降りて来た。


「サウルス。調子はどう?」

「うん。凄く気持ちいい。アシュを頂戴」

「はいよ」


 ニケはアシュラを放した。アシュラはサウルスの前で浮遊した。


「ねえ、アシュ。ありがと」

「俺は大したことしてないよ」

「そんなことない。ホントにありがと」


 サウルスとアシュラは暫く見つめ合った。


「うしし。アシュ。今日から僕は、もっと積極的になるかも」

「それは、・・・困る」

「ホントに愛い。愛してるよ、アシュ」


 サウルスはアシュラを抱きしめるとアシュラにベロチュウをした。その様子を視界の端に入れながらニケとゼウスは向かい合っていた。


「次はニケだね」

「このゼウスと戦うのはツリトがいなくなって以来か」

「だね」

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