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TSURITOー繋げた未来  作者: カバの牢獄
第三章 愛の紡ぐ未来
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第三章 28 アシュはモテモテ

「アシュ、おかえり」


 フロンティアの河童の村に瞬間移動をしてニケとアシュラとインドラは一番最初にサウルスに出迎えられた。サウルスはアシュラと出会ってから約一年後から河童の村に住み始めた。一年の間、どうして、河童の村に住まなかったのかというと、瞬間移動のシックスセンスを手に入れるためだった。サウルスが瞬間移動のシックスセンスを手に入れるためにモグラのを大量に捕獲して神竜に食わせていた。モグラは地面から地上に這い上がる瞬間、瞬間移動をすることで獲物を捕らえる習性があるのだ。それに、モグラは近接戦闘を得意とする動物だったからだ。大量に食わせる必要があったのは単純に量の問題で神竜の血からモグラの瞬間移動のシックスセンスを簡単に見つけるためだ。そして、とうとう、ゲットすることができた、サウルスは晴れて河童の村で生活を送ることとなったのだ。そして、この一年、天空に行かなかった理由は単純だった。


「それにしても、瞬間移動を手に入れるのに、一年も費やしたのに、この一年、よく、しょっちゅう天空にやって来なかったわね」

「それは、アシュと約束したもん」


 サウルスはしゃがんでアシュラを抱っこしようとしたが冷たい鋭い視線をアシュラと同じ視線の高さから感じた。一人は


「アシュは、私といるの!」


 インドラはサウルスに向かって叫んで、より一層、アシュラの腕に抱き着いた。すると、もう一人、冷たい視線を送っていた少女、ミケの双子の妹のエマが瞬間移動をしてアシュラの右腕に抱き着いて、インドラに向かって叫んだ。


「インドラは普段からアシュと仲良くしてるんだから、エマがアシュといるの!」

「ねえ、僕は?」

「「知らない、ぷいっ!」」


 二人はサウルスから顔を背けた。サウルスは苦笑いして三人事持ち上げて抱っこした。


「じゃあ、皆で一緒にいよう」

「俺、ちょっと、ミキと喋りたいんだけど・・・」

「「「知らない」」」


 その様子にニケとミケは苦笑して、ミキはミケの脚に抱き着いて寂しそうにしていた。




「可愛いじゃん」


 ニケたちはカメレオンの皮を使ったマジックミラー的な家の中に入ると元気な泣き声が聞こえた。そして、その泣き声の正体、赤ちゃんを一番最初に視界に入れたのがニケだった。


「久しぶり、ニケ」


 自然と視線が引く笑顔をする女性、スマイルが抱っこしながらニケに近づいた。


「ヒマワリって言うの。今はちょっと、機嫌が悪いの」

「どれ、ニケがヒマワリをあやしてあげるよ」

「ホント?じゃあ。ところで」

「アシュは随分モテモテだね。クックックックッ・・・」

「ホントに。ニケはアシュがモテモテのせいで困ってるんだよ」

「それは、大変だね。はっはっはっはっはっはっはっは」


 ラフは今しがた得たニケたちの情報をスマイルとミケとサウルスに共有した。


「これは、大変ねえ」


 スマイルは思わず顔を顰めて心からニケに同情した。一方、ぞの頃、ふかふかの綿を使った椅子に座っていたミケも同情していた。


「ホントにアシュはモテモテね」


 ミケは視線を下に向けた。ミケの視界にはサウルスの脚の上にアシュが座っていて右にエマが左にインドラがアシュの腕を握って放していない様子が映っていた。そして、そのアシュラの正面でミキが手のひらサイズの凸凹の石を五つ上に積み重ねていた。


「何でだろうね、ホントに」

「このままじゃあ、アシュはちょっと危ないかもなあ」

「何で?」

「だって、本命を僕に決めないと今だけでも最低でも九人でしょ?」

「本命は私!」「本命はエマ!」

「だから、将来、殺されるかもよ。誰か、本命を決めた時」

「あっ!」


 石が崩れる音が聞えた。


「じゃあ、次は俺の番だな。ミキ。ちゃんと石の重心を感じないと」

「僕は分からないよ」

「頑張って分かれよ。そしたら、こんな風に積み重ねれるから」


 アシュラは石を浮遊させると次々に重ねて行った。床に置いてあった、合計十個の石、全てを積み重ねた。


「クッ!まっ、負けないからな」

「ミキ。自分のペースで頑張ればいいんだから」


 すると、奥からヒマワリを抱っこしたニケたちがやって来た。


「アシュ。ちょっと抱いて見て。全然、泣き止まない」

「おう。分かった」


 アシュラはようやく両腕が自由になるとしゃがんで膝を着いたニケからヒマワリを受け取った。そして、ヒマワリを抱いた。ヒマワリは大声を上げて泣いていた。


「うむ。なるほどね。まだ、たくさんの情報が頭に入って来るからパニックなんだろうな。だったら」


 アシュラはオーラを纏うと体を前後に揺らした。サウルスの胸に頭を当ててから前屈みになってと繰り返すといずれ、泣かなくなって来た。


「凄い。アシュ、何をしたの?」


 スマイルがアシュラに顔を近付けて聞いて来た。


「簡単なことだよ。ヒマワリは今、知らない情報が過多になってるからそれを一つ一つ理解させただけ」

「簡単なことって・・・」


 スマイルの笑顔もさすがに引きつった。その様子とは対照的に何故か自信満々に笑顔な少女が二人と大人が一人いた。


「まあ、そういうことだから、これからは、確実に理解が早くなるよ」


 ヒマワリはアシュラの顔に手を伸ばしてペタペタと触った。顔が綻んでいて完全にアシュラに懐いていた。


「じゃあ、スマイルさん、はい」

「うん。ありがとう」


 スマイルはしゃがんでアシュラからヒマワリを受け取ろうとした。すると、ヒマワリは必死に手足をバタバタさせてアシュラを見ていた。スマイルは何とか、ヒマワリを受け取った。


「十人に増えちゃったなあ」

「サウルス。変なこと言うな。ヒマワリはまだ赤ちゃんだ」

「でも、アシュも僕と出会った時は赤ちゃんだったから、ヒマワリだって可能性はあるよ」

「勝手に事実を捏造するな」

「「そうよ!」」

「アシュは、サウルスには興味ないんだから!」

「インドラの言う通りよ!」

「うーん。僕に態度が冷たいなあ。アシュ。慰めて」


 サウルスはアシュラの頬をつねって遊んだ。


「あっ、ミキ。そこの石は反対の方が積みやすい。ちゃんと石を観察しなきゃ」

「うっ、うん」

「無視しないでよ、アシュ」

「別に無視してるわけじゃないさ」


 アシュラは体を膨らませてインドラとエマから両腕を解放させるとニケのところまで浮遊して移動した。


「アシュ。どうしたの?」

「疲れた」

「だって、三人衆」

「僕は何もしてないよ」

「サウルス。サウルスが一番面倒臭いことをしていたわ」

「何をしたって言うのさ?」

「はあ」

「じゃあ、アシュ。ママと一緒にフロンティアを探索しようか」




「ねえ、何で、ついて来たの、サウルス?」

「だって、僕がいた方が便利でしょ?」

「まあね。じゃあ、アシュをちょっと預かってて」

「はっ、え、ちょっ⁉」「やったー」

「ニケがアシュのために便利なシックスセンスを探すのに集中するためだよ」

「そう。それに、僕がアシュを守るのに一番適してるからね」


 エマとインドラは一緒について来ることはできなかった。単純に危険だからというのもあるが、瞬間移動をできるエマをインドラが必死に抱き着いて邪魔したからでもある。その隙にサウルスは瞬間移動をしてニケとアシュラの元に移動をした。


「それで、最近ここら辺にいるってミケが言ってたのね?」

「うん。僕もここ数日探してるんだけど、中々見つからなくて」

「二人とも、何を探してるの?」

「決まってるじゃん。フロンティアで無視できない生物としても名高く、遭遇率はほぼ零パーセントと言われていツチノコよ。ツチノコにお願いごとするためにずっと探して貰ってたの」

「へえ、母さんは出会ったことあるの?」

「ない。それは、ミケも。言ったでしょ、遭遇率はほぼ零パーセントって」

「じゃあ、何でここら辺にいるって分かったの?」

「だから、ミケのおかげだって言ったじゃん、アシュ。ミケが作った作物をツチノコと思われる生物が食べたの。それで、僕はここ最近探してたわけさ」

「そんなに、隠れるのが上手いの?」

「うん。基本、この世界に存在していないと言われてて別の世界に住んでるんじゃないか?って。ミケが言ってた。偶にこちらの世界に来て情報を仕入れて別の世界に帰ってるって。だから、今は情報を仕入れてるんだと思う」

「で、今はここら辺にいるわけか。アシュ。サウルス。気付いたら教えてね」

「もちろん」「うーん」

「ちょっと良い方法があるかも」




「アシュ。ミケに頼んで持って来て貰ったけど、鼻が曲がりそうだよ」

「「おえっ」」


 アシュラはオーラを纏ってニケとサウルスにも適応を進めた。そして、一分ぐらい経って適応が完了した。三人は同時に息を吸った。


「「アシュありがと」」

 サウルスは抱っこしているアシュラに頬づりしておでこに何度もキスをした。ニケも思わずアシュラを奪って同じことをした。ニケが浮遊させているのは一本のキュウリだ。そのキュウリは匂いがとても強烈でツチノコがたくさん食ったとされている辛いキュウリだった。アシュラはミケに匂いをできるだけ濃くしてくれと言っていた。


「ふう。まあ、これで、ツチノコだけがやって来るだろう」


 アシュラたちの周りでは次々に獣たちが逃げていた。それは、地中にいる獣も上空にいる獣も同様に。


「あとは、ここで待つだけね。元々、ニケたちがいたから少なかった獣が次々に逃げてるよ」

「アシュ、やるねえ。僕は鼻が利くからそこで、勝負してたんだけど、恥ずかしいよ」

「まあ、こっちの世界に少ししか現れていないという前提条件での作戦だけどな。こっちに来た瞬間に強烈な好物の匂いがすると寄って来るだろう。俺たちからの遭遇率ほぼ零パーセントなら向こうから俺たちに会いに来て貰えばいいから」

「そうね。でも、全部、ミケ様様だよ」

「でも、僕はこの作戦はアシュがいて初めてできたことだと思うよ。僕たちだけだったら、息を止めるか嗅覚を遮断するかしないとだったから」

「そうね。動きが鈍ってたわ」


 ニケは改めて抱っこしているアシュラの頭をなでなでした。サウルスも頬をツンツンしていた。


「じゃあ、そろそろ、預かって置くよ。万一のために、シックスセンスを使うから」

「そうね。万一攻撃された時には仕返しをしないとだから」

「物騒だなあ」


 サウルスはニケからアシュラを受け取ると思い切り改めてギューとハグをした。すると、目の前の空間にひびが入った。


「来て」


 マッシュルームの髪型をした子供がツチノコ、大きな蛇のような見た目、に乗って割れた空間の先からこっちに来てと合図を送っていた。

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