表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TSURITOー繋げた未来  作者: カバの牢獄
第三章 愛の紡ぐ未来
67/95

第三章 16 兆し

 インドラは父であるシューンを通じて見たものを頭に焼き付けていた。アシュラが殺される未来だ。天狗のお面を付けた河童の女が伝えた未来だ。以前見た未来よりはかなり前進していた。ただ一つ、変わっていることがあった。インドラはアシュラに会えない未来だった。あの日、インドラはアシュラに会えることができる確信があったのだ。ショックだった。だが、状況は変わった。アシュラがゼウスに記憶を封印されてツリトになったからだ。未来は変わったはずだ。


 私が頑張ってゼウスを倒す、あるいは、アシュを取り戻せたらきっといい方向に未来が変わるはず!

 そう思ってインドラは頑張ることにした。




 天空に戻ってインドラはまだ夜だが早速一人でトレーニングを始めた。シューンはショックで元気はなかったがインドラを独りにさせまいとついて来ていた。インドラは瞳に星の紋様を刻んで強度がかなりある鉱石に炎を放った。この八年間の毎回決まって行う修業の一つだ。


「うーんっ!全っ然ダメだあ。こんなんじゃ、絶対アシュを助けれない」

「はあ。俺様としたことがインドラに盗み見されてたとは・・・情けない」


 シューンはアシュラの記憶が封印されたショックもあるが、アシュラの死ぬ未来を変えることができる可能性が生まれていることに安堵していた。ただ、早くアシュラの記憶の封印を解いてあげたいとも思っていた。だが、今日はゼウスの攻撃を食らって腹に穴も開いた、もう回復してもらっているが、ためかなり疲れていた。だから、早く寝たいと思っていたのだが、インドラがアシュラがツリトになったことを知って舞い上がってしまったため泣く泣くついて来ていた。


「けど、インドラが暴走しなかったのは良かった。この熱意がいい方向に進んだらいいのだが」


 正直、インドラが盗み見していたことを知ってかなり、心配していたのだが、余り暴走していなくて良かったと思った。今は、いい方向に向いているがいつ、悪い方向に行くかが分からないため内心冷や冷やしまくりだった。


「俺様はニケに言われた通り、インドラのことに集中した方がいいのかもしれないなあ」


 視線の先ではインドラが強度のかなり高い鉱石に炎を放っては悔しがっていた。


「だったら、俺様は再び無のイメージを完成させるしかないか」


 シューンのシックスセンスのイメージは生み出すことのイメージならほとんど何でもできる。だが、消すことのイメージは全くできない。シューンはこの八年間、無のイメージを試行錯誤して完成させようとしているが、余り芳しくなかった。


「ホントに、ゼウスの「逆夢」があれば全て上手いこと回るのになあ」


 「ゼウス」がサンドラに盗られたとされるコキュートスが作った名刀「逆夢」。その刀は斬った人の願いや夢の反対のことを実現させるのだ。正しく逆夢とい名に相応しい刀だ。話を戻そう。「逆夢」があれば、インドラが抱えていることをそもそも解決できた。そして、シューンの無のイメージの完成もできるのだ。


「まあ、無いものねだりしたって仕方ないか」


 シューンは立ち上がると大きく伸びをして深く呼吸をした。


「インドラ。あと、十分だけだ。もう、寝るぞ」

「えっー!やだやだやだやだうだっ!この鉱石が焼けるまでやるっ!」

「インドラにはまだ早いよ」

「できるもんっ!もっとオーラを眼に集中させたらできるもん」

「ホントかなあ」


 シューンはしゃがんでインドラの頬をツンツンしたり引っ張ったりして遊んだ。すると、インドラは口の中に空気をいっぱいに溜め込んだため、シューンはそれを指で押してあげた。


「ぷすーー。見ててよ」


 インドラは眼にオーラを集中させるイメージを行った。


 今まで、首から上のオーラを眼に集中させてたけど、これを全身のオーラを眼に集中させるイメージ。私ならきっと、うんうん、絶対にできるっ!


 インドラはイメージ通りに目にオーラを集中させようとした。インドラは今日は眼にオーラを一極集中させることは可能だと思っていた。だから、思い切ってやって見た。すると、インドラの瞳にインドラの意志とは無関係に眼にオーラが集中して瞳に星の紋様を刻んでいたのが星を二つずらして重ねた紋様を刻んだ。


「燃えろっ!」


 インドラの目の前にある鉱石は燃えた。この瞬間、インドラは眼にオーラを集める感覚を掴んだと同時にインドラの全てを燃やす炎が生まれた瞬間だった。インドラは体力を使い果たして眠ってしまった。


「お疲れ」


 シューンはインドラの成長に喜び、自分も負けてられないと闘志を燃やした。




 インドラが目を覚ました時、視界にはウォーがいた。


「おっ!起きた。インドラ、大丈夫ですか?」

「うん。まあ」

「そっかそっか。じゃあ、温泉に入りに行きますか?」

「うん。でも・・・」


 インドラのお腹が大きく鳴った。


「仕方ないのです。ウォーが朝ご飯を作ってあげるのです」




「ねえ、ウォーが作ってくれるんじゃなかったのっ!」

「クックックックックッー。甘いのです。インドラ。現状、ウォーを含めて七人の中で料理ができるのは誰ですか?」

「ウォー」

「ですね。では、将来、アシュの胃袋を掴むのは誰になるでしょうか?」

「・・・・・・私っ!」


 可愛い。


 ウォーは思わず固まってしまったので席をして取り繕った。


「では、今、インドラがしていることは、将来のアシュのためにきっと役立ちますね?」

「うんっ!」


 インドラはそれ以降、文句を言わないようになり、黙々と卵を割り始めた。殻が入ってしまって指で殻を取っている姿はとても可愛らしくて微笑ましかった。




「「「いただきます」」」


 七人揃って一緒に朝ご飯を食べ始めた。龍王たちはそれぞれ寝ぐせや服が乱れたりとだらしなかった。シューンは朝は日課のトレーニングに励んでいていつもいない。だが、今朝はウォーだけを起こして、昨日の顛末を話してくれた。


 正直、アシュが死ぬ未来を見たと聞いた時はインドラが壊れないかと心配しましたが、今のところ大丈夫そうで良かったです。


「ウォー、どうかした?」


 口に卵の黄身を付けたインドラがウォーの顔を見て不思議そうにして聞いて来た。


 いけませんね。ちゃんと隠さないと。


「何でもないのです。それより、また、口に黄身が付いていますよ。皆もです。寝ぼけていないでシャキッとしてください」

「だってえ、ミラは朝はこう気持ちがグッと燃えて来ないんだよ」

「セツナも。グッって燃えて来ないし、こう、ただ時間が流れて行く感じを味会うのが楽しいからさあ」

「その、時間が流れて行く感じを味会うのが楽しいというのは分かりますが、だらしないです」

「げぇー」

「げぇーではないのです」

「まあまあ、そんなに言わなくてもいいじゃん。クリはもう、バッチリだよ」

「そりゃ、クリはクロコクと違って夜は早く眠るからじゃん」

「クロコクは夜更かししすぎなのよ」

「「じっー」」

「まあまあ、ナリはもう、キッパリとキビキビ動けるよ」

「言い訳とか自分はできているんだとか言っていますが、皆、口に黄身が付いていて情けないのです」

「「「えっ⁉」」」

「付いていますよ」

「うん。付いてる」

「はあ」「へへえ」


 インドラとウォーは顔を突き合わせて笑った。




「ふう、気持ちいいのです」

「だねえ」

「セツナ。ちょっと話があるのです」

「シューン様から?」

「はい」


 ウォーとセツナの視線の先には四人の龍王に遊ばれてるインドラの姿があった。インドラたちは体を洗っていた。


「朝、シューン様に聞かされました。セツナが起きないからですよ。それで、インドラは昨日、アシュが死ぬ未来を見たそうです。その未来はもう起こらないみたいなのですが、気を付けてインドラを見ててくれと。それと、アシュの記憶がフロンティアの王ゼウスによって封印されたみたいです。それにより、ニケさんとか、フロンティアのアシュと仲が良かった人は基本、外に出られなくなったみたいなのです」

「っ⁉もしもの時は、セツナたちは覚悟してなきゃダメってことね」

「はい。でも、アシュが自分で封印を解く可能性は大いにありますけどね」

「フフッ。確かにアシュならできそう」

「もう、インドラが来そうですね。仕方ないです。セツナのおっぱいを揉んでおきましょう」

「何で⁉」

「問答無用なのです」

「だから、何で⁉」


 ウォーは元々くっついていたセツナを膝上に乗せるとそのまま成長中の胸を滅茶苦茶に揉んだ。


「セツナのせいで今日、朝は早く起こされたのです。しっかりしてください、ウォーたち龍王のリーダーなんですから」

「そっ、それと、こっ、れに、何の関係があるのよっ!」

「何か楽しそう。私も混ざりたい」

「では、インドラは前から攻めてください。一緒にセツナを逆上せさせましょう」

「うんっ!」

「ちょっ⁉ん、んん、んんんっ!」


 インドラは宙に浮いてセツナの元へ一直線に飛んで抱き着いた。そして、しっかり脚を腰に回すと前あから胸をもみくちゃにした。その様子を遅れてやって来た、ミラたち龍王は何やってんだと呆れた顔をしながらも楽しそうだと思って静かに眺めていた。




「はあ、えらい目にあった」

「仕方の無かったのです。辛気臭い雰囲気を無理やり変えるのには」

「だからって、やりすぎよ」


 セツナはすっかり逆上せてしまい、一度温泉から上がっていた。ウォーはセツナの看病をしていた。龍王たちは昨日何があったかをインドラの口から直接聞いていた。


「そっかあ。アシュはツリト君になったんだ。でも、きっとガッツは変わらずあるはずよ」

「だよね」

「でも、クリたちは頑張らないとね。強くなってアシュの記憶を取り戻してあげないと」

「クロコクも頑張るよ。アシュと会いたいし」

「だったら決まりだね。ナリたちはアシュを取り戻して守ってまたここで一緒に過ごせるように頑張るしかないね」

「うん。またここで、皆と集まって温泉に入って昔みたいに楽しく過ごせるように。・・・そのためにもアシュを邪魔するものを全て取り除く。もう二度と、あんな未来を見ないように、もう二度と、誰にも怪我をさせないように、もう二度と、私を、私が私を傷つけないように」




 次の日。昨日はあれからまた、ずっと修業をしていた。星を二つずらして重ねた紋様を刻んだ瞳を使い熟すために瞳にオーラを溜める感覚を覚えようと倒れるまで頑張ったのだ。そして、インドラは今日も起きると隣にウォーが座っていた。


「おはよう、インドラ」

「うん。おはよう」

「では、今日も手伝ってくださいね、インドラ」




「朝から釣り?」

「はい。じっくり待ちましょう」

「シックスセンスで適当に獲ろうよ」

「それでは、趣がないのです」

「よくわかんないっ!」

「いいですか、インドラ。こうやって、静かに川の流れを見るのです。穏やかにゆっくりと流れている川に泳いでいる魚を。少し、急いで見えるでしょう。だから、逃げていると考えたらそっちの方を見ると大きな魚が見えて来るわけです」

「ホントだっ!」

「まあ、餌に強烈な匂いをする生き物を使っているからなんですけどね」

「むう」


 大きな魚がやって来たことに素直に驚いていたが種を明かされて遊ばれていたと感じてインドラは頬を膨らませた。


「でも、どうして、匂わなかったの?」

「それは、ウォーが匂いを出さないように工夫したからです。釣りますよ」


 ウォーは釣竿に引っ掛かった二メートルほどの魚をしっかりと持ち上げて釣り上げた。


「完璧です」

「この魚は?」

「実は、最近、生態系を荒らしていたのですよ、この魚。だから、予め罠を張って準備していたのです」

「何をしたの?」

「この魚はおそらく縄張りを作るシックスセンスを持っていて自分の住処をたくさん作っていたのです。だから、昨日に準備してここまで下りて来るように仕向けたのです」

「へえ」


 インドラはその魚の周りを一周すると魚の肛門を見つけて人差し指で尻子玉を取り出した。そして、川の水で洗うと口に放り込んだ。


「ホントだ。縄張りのシックスセンスだ」

「はははっ」


 ウォーは毎度この光景を見る度に若干引いてしまう。それを隠しつつインドラは適当に傷を付けると血を抜き始めた。水龍の力を使えば正しく朝飯前だった。


「行こっか」

「うん」




「じゃあ、ウォーは魚を捌いているので適当にキノコを採って来て下さい」

「分かった」


 家、雨風を凌ぐ程度の簡単な家だが、でウォーが魚を捌いている間にキノコを採りに行くことになったインドラは山の中をどんどん上に上がって行っていた。そして、目的地に到着した。


「ミケ姉さんのおかげでホントに食料には困らないなあ」


 ミケ、ニケの妹、は叔母さんに当たる人だ。ただ、呼び方はミケ姉さんと呼びなさいと小さい時から刷り込まれていた。そのミケは天空の食生活に大きな変革をもたらしたのだが、八年前を機に廃れるようになっていた。だから、八年前で供給は止まっているが誰も登らない山のてっぺんでミケがくれた種、キノコなどを育てていた。


「私のせいでこんなところでしか堂々と育てられなくなっちゃった」


 インドラは寂寥感を感じて心が塞ぎそうになったがすぐに両頬を思い切り叩いた。


「感傷的にならない。私がくよくよしてたら、ダメ」


 インドラは目の前の大きなキノコとキュウリを取ると神龍の力を使って影の中に収納すると再び山を下りて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ