第三章 07 サニーの強さ
「凄いな。もうコピーしている」
アシュラはサニーのコピーの早さに舌を巻いた。ジャンヌを一瞬だけかなりの勢いで引き寄せただけだ。コピーの条件を考えた。一つ、一定距離内に入ったらシックスセンスはコピーできる。二つ、対象のオーラに触れる。ただし、肉体的にというわけではない。シックスセンスが触れるだけで十分。
「おそらく、サルシアより、コピーする条件が軽い」
サニーは今いる空間に部屋を作った。特に目立った変化はなかった。サニーはソファーに座っていた。よぼよぼのチーシャツと短パン姿のラフな格好をしていて足を組んで座っていた。腕は大きな胸の下に組んでいて自然と視線がそこに行っていた。アシュラは拍子抜けした。何か攻撃を仕掛けて来るとばかり思っていたためだ。
「こ・・・」
アシュラが話そうとした時だ。アシュラの体に電流が流れた。その電流は受け続けるほど強くなった。
「クッ」
体が痙攣している。アシュラは高速で頭を回転させた。この部屋のからくりを。
何だ⁉これはどういう部屋なんだ。どんどん電流が強くなる。サニーは?微動だにしていない。この部屋ごと斬るか?否、リスクが高い。何か効果を付与している可能性がある。じゃあ、この電流に適応するのが先決か。
「適応しろ。この電流に」
アシュラは体に走る強烈な電流に適応する体に変えた。
「さて、サニー。ジャンヌのシックスセンスは諸刃の剣だ。サニー自身も動いたら電流が走るんだろ?」
サニーは頷けない。頷いたら電流が走ってしまうからだ。アシュラは座っているサニーに近づいた。サニーは口を開いた。
「もう、適応されるのか。じゃあ、次はどうかな?」
サニーは軽く指を鳴らすと部屋の壁を消した。すると、また、新しい壁ができた。つまり、大きな部屋の中に部屋があったということだ。
「今度は何だ?」
アシュラは一歩踏み出した。すると床が抜けてアシュラは落ちた。床は閉じてアシュラは暗闇の中ひたすら、落下していた。
「単純だが、脅威。が、俺みたいに空を飛べる奴には通用しない部屋だ。サニーがわざわざ作ったということは何か、準備している可能性が高い。とりあえず、様子見と行くか」
アシュラは宙に浮くと分身を二人出した。そして、一人を部屋に瞬間移動させると、もう一人を上に上がらせた。
「何を狙っているサニー!」
「サニーはただ、アシュラ君に自由を取り戻させたいだけだよ」
分身のアシュラは天井に引き寄せられて身動きが取れなくなった。その瞬間。目の前の床が斬られて鋭い斬撃がサニーを襲った。しかし、その斬撃はベクトルを変えてサニーの目線の先にある壁に強く引かれた。アシュラはこの二つの事象から地面以外の部屋の面にはサニーのシックスセンスが使われていると推測した。だから、アシュラは大量の青色の子猫、プリティーを今開けた穴から降ろした。
「ニャオ、ニャオ、ニャオ・・・・・・・・・」
「何⁉」
青色のプリティーたちは次々に壁や天井に強い力で引き寄せられた。そして、次々に部屋に大量の青色の子猫、プリティーが埋まってサニーも身動きが取れないほどになった。
「消えて」
四方八方にいた青色のプリティーは全て真っ二つに斬られて消えた。
「さすがだだな、サニー。でも、俺には効かない」
アシュラはソファーの後ろに立っていて後ろからサニーに触れようと手を伸ばした。だが、直前で体ごと引き寄せられてサニーの真後ろに宙に浮いて寸でのところで止まった。サニーは立ち上がってアシュラと向かい合った。
「サニーね。期待してたんだ。アシュラ君ならサニーに触れることができるって。でも、無理だったね。もう、サニーはきっと誰にも触れることができずに死ぬのかな」
サニーは涙を流して笑っていた。酷く悲しそうな笑顔で涙を流していたのだ。本音が見えた。だが、オーラの練度が爆発的に上がった。サニーは精神が更に不安定になった。アシュラに斬撃を飛ばした。その斬撃はアシュラの右腕を斬るものだった。
ジャンヌの異空間にて、ジャンヌとジン王、サルシア、アニーニョは共にアレクが作ったリニアに乗ってカナヤ新興国に向かっていた。サニーニョは今、サルシアの心臓を押して無理やり起こした。
「ちょっと!」
「今はそんなことを言っている場合じゃない。サルシア状況を確認できるか」
サルシアは一秒だけサニーニョの乱暴な心臓の突きに苦しんでいたがすぐに白色のオーラを纏った。そして、皆の頭にアシュラとサニーが戦っている状況を流した。それは、丁度、アシュラの右腕が斬られた瞬間だった。
「ツリトさん!」「「ツリト!」」「ツリト君!」「ツリト少年!」
サルシアは瞬間移動をしてアシュラとサニーの元に向かった。
「ツリト!」
「お前は邪魔だ」
「それについてはサニーも同感。これはアシュラ君とサニーの問題だよ」
サニーはサルシアに斬撃を飛ばそうとした。だから、アシュラはサルシアをジャンヌの元へ瞬間移動させた。
「ったく。真正面から現れるバカがいるか」
「同感よ」
「次は左腕を斬るね。でも、アシュラ君がサニーのお願い通りに動いてくれるなら今すぐ腕を治してあげる。その代わり、これから一生ここで暮らしてね。サニーはアシュラ君の生活を近くで見るから」
「メンヘラファン?って奴か。知らんけど」
アシュラはサルシアがやって来ていた一瞬で緑色のプリティーをお腹に降ろしていた。そして、壁をぶち破る勢いでアシュラを飛ばさせた。アシュラはそのまま、部屋を空間事斬って飛ばされ続けた。
「ったく。厄介この上ない。だが、ゴールは見えた。俺がサニーに触れることだな」
アシュラは自分の右腕を見た。
「見事にないな。フロンティアで腐るほどシックスセンスは手に入れているからすぐに治せるけど・・・俺の勝利条件を達成するためには今の俺を超えないといけない。イメージしろ」
「アシュラ君、降参する気になった?」
「まさか。どんどん掛かって来いよ。俺が遊んでやるから」
「アシュラ君は勘違いしているね。サニーがコピーしているのはツリト君のシックスセンスだけじゃないんだよ」
「まさか・・・」
「アシュラ君は今からシックスセンスは使えない」「プリティー!」
二人の声が重なった。アシュラにできた唯一の抵抗は紫色と赤色の二色のプリティー、今回は子猫ではなく、トラほどの大きさの猫?、を降ろした。サニーはサルシアのシックスセンスを使ったのだ。
「最後の悪あがきだね。アシュラ君が自分の意志を曲げないならサニーがこれ以上理想のアシュラ君が汚れないように終わらしてあげるから」
「悪いが、俺の未来は俺だけが描く。誰にも邪魔はさせないぜ」
アシュラは紫色赤色の二色のプリティーに乗って高速で駆け出した。壁を吸収することで、吸収する直前で壁が消える、道を作りくねくねと走り出した。
「逃げるの!逃げたって無駄よっ!」
サニーは異空間を拡張しながら高速で移動するアシュラに向けて鋭い斬撃を飛ばした。しかし、その鋭い斬撃はは悉く赤色のブラックホールに吸収されてしまった。そうしている間にもアシュラは見る見る内に遠くに逃げていった。
「別にどんなに遠く離れても無駄なのに」
サニーは瞬間移動をしてアシュラの進行方向に立ち塞がった。
「次はその左腕を斬るよ。でも、アシュラ君が独りになってくれるならサニーはアシュラ君が独りになるように面倒は見ないし勝手に行動してくれても構わないよ」
「サニー。仲間が欲しいなら素直にそう言えよ。さっきから、独りでいるのは辛いって泣いてるように見えるぜ」
「っ⁉」
サニーはアシュラの左腕も斬った。
「っ⁉」
落ち着け、焦るな。筋肉で締めろ。出血を抑えろ。大丈夫だ。イメージを続けろ。
「プリティー。踏ん張れよ」
「ニャオ」
アシュラは尚も逃げ続けた。時間を稼ぎ続けたのだ。
「プリティー。三百六十度すべてにブラックホールを生成しろ。そして、一直線に走り続けろ」
「だから、無駄なのに。このままじゃ、出血死するよ」
ジャンヌたちはサルシアが見せてくれている戦闘を歯を食いしばって涙を堪えて見ていた。リニアは既に止まって新興国にいるのだが、誰も降りようとしていなかった。
「やはり、僕が行く」
「ダメだ。サルシア。サニーニョもね。余の勘では二人が行くと絶対に死ぬ」
「しかし、ジン王。アシュラ少年はこのままでは死んでしまうっ!」
「うむ。だが、余の勘ではサニーを変えれるのはツリトだけだ。イキシチ王に伝わるシックスセンスは今までに外れたことはないんだ」
ジン王は顔色を悪くしながらもアシュラを信じろと言っていた。
「私は後悔したくない」
「っ⁉」
急に立ち上がったジャンヌに皆が視線を集めた。ジャンヌはロングスカートを捲って太ももからカーンのシックスセンスを保存している小型拳銃を取り出した。
「神速のライフルを保管している部屋に飛ばせ」
ジャンヌは自分に小型拳銃を撃った。
ジャンヌは神速のライフルを厳重に保管している部屋に入って神速のライフルを二つ手に取った。神速のライフルは一年前のデコイ教の事件で数十個も手に入れていた。それに加えてこの間、シックスアルファーとイレブンアルファーを手に入れていた。イレブンアルファーはカナが持っている。シックスアルファーはジャンヌがカナから受け取っていた。だから、今、手に持った神速のライフルはシックスアルファーと普通の神速のライフルである。
「ずっと、コピーのシックスセンスって聞いてもしかしたらって思ってた。だから、ずっと己に向き合ってた。だから、見つけたよ。サニーが作った異空間」
ジャンヌは部屋の外に移動した。
アシュラはずっと逃げ続けていた。時々いきなり目の前の壁が超引力で引かれても一瞬だけブラックホールの効果を強めて防いで進行方向を変えるの繰り返しだった。何故、アシュラはすぐに腕を回復しなかったのか?それは勝利の必須条件として必要な力があったからだ。
『いやあ、やはり、見込みがある奴は派手な登場をしてくれるものだな。俺はツリト、お前が好きだぜ。だから、見せてやろう。オーラの可能性をな』
『オーラの可能性?』
『ああ。例えばこの炎。シックスセンスは炎を生み出すだ。だが、ある工夫をすることで進化する。いや、違うな。新たな可能性が生まれる。ツリト、お前はどうやってシックスセンスを使っている?』
『俺か?うーんとね。イメージの話なんだけどオーラとシックスセンスの球があってそこに糸を繋げる感じかな』
『なるほど。俺の場合も似たような感じだ。ではイメージの話をしよう。その糸を繋げるイメージだがベクトルはシックスセンスのほうに向かいながら力はオーラの方に掛けるイメージをするんだ。そうすればお前は更なる次元に行ける。こんな風にな』
サンドラは手のひらの上の炎を氷に変えた。
『俺はこれをアンチシックスセンスと呼んでいる。炎という事象を反転させて氷という事象を生み出す』




