第三章 03 メイのメンバー入り
「じゃあ、俺が色々と迎えに行って来ようか?」
四人で盛り上がって酒を飲みシックスセンスを使ってアルコールを抜き終わり、建国記念イベントがあと一時間と迫ったところでアシュラがカーンとアレクに提案したのだ。
「うーん。お言葉に甘えるとするよ。俺とカーンは準備をして置くよ。それと、連れて来る時は是非、アレクの発明品に乗せてやってくれ。ジャンヌも一緒に行って来るといい」
「ホント!やった。ようやく乗せて自分だけで乗せて貰える。嬉しっ」
ジャンヌは弾ける笑顔で本当に嬉しそうにして喜んだ。カーンとアレクもその様子を見て自然と頬が緩んだ。
「僕の史上最高のリニアを楽しむといいよ。景色は退屈だが凄く快適になっているよ」
「うん。凄っく楽しみ」
「じゃあ、行って来るよ」
二人は部屋を出て異空間リニアの中央駅に向かった。
「どっちから、行く?」
「正直、ずっとイキシチ王国行きのリニアには乗りたかったんだけど、今となっては・・・。でも、ずっと楽しみにしていた乗り物だから最後に取って置きたいかな。だから、先にエケセテ帝国に行こっ」
「分かった。乗るだけで進むの?」
「うん。目的地を設定したらね」
二人はリニアに乗り込んでエケセテ帝国の帝都の皇居に向かった。リニアのスピードはとても速く音も無かった。通り過ぎる何もない景色は時々、扉を一瞬だけ映してすぐに消えた。そして、五分ほどでエケセテ帝国に着いた。
「これは・・・凄いな」
「でしょう。多分、アレクならもっと速いのを作れるんじゃないかな。でも、乗り心地も体感して欲しいからちょっとだけゆっくりにしているんだと思うの」
「やっぱり凄いんだな。アレクは」
二人はリニアから降りるとジャンヌが歪ました空間に入って皇居の中に入った。そして、目の前に現れたのは目を更に大きく見開いた黒髪ロングの胸が余りない童顔の少女メイがいた。
「・・・・・・」
メイは突然のことに驚いてしばらく固まってしまった。そして、すぐに取り繕うとアシュラの前に近づいて抱き着いて来た。
「ねえ、公に発表しよっか?」
第一声はアシュラへの脅しから入って来た。ジャンヌは最初、何のことだろうと疑問に思ったがメイがアシュラに抱き着いていることからすぐに察した。
「まさか、ツリトさん。皇帝とも・・・」
「おう。で、公に発表するのは無しだな。俺がフロンティアの外に出られなくなる。それに、メイに一つ相談しようと思っていたことがあったんだ」
「何?」
「メイ。皇帝を続ける気はまだあるか?」
「ツリトさん⁉」
メイはアシュラの質問に目を大きく見開いて固まった。アシュラの目を見てアシュラの本気度を見ていた。メイが皇帝になるために手伝ってくれたのに皇帝を降りろと言って来ている。正直、怒りも感じた。だが、一番は嬉しかったのだ。
「ツリト君の方からメイを誘ってくれた」
メイは思わず本心が漏れた。そして、涙も溢れた。メイはアシュラにキスをした。
「メイはツリト君と一緒にいたい。だから、ライに皇帝を任せる。それに、真面目に考えた時、かなりヤバいんだよね」
「そう。結構ヤバい。もし、メイが俺との間に子供ができたことを公表すると確実にカナヤ新興国とエケセテ帝国は揉めることになるから。公表しなかったとしたら何も起きないけど。でも、そうなった時、メイの気持ちはどうなるか?ってことなんだよね。独りだと不安だろ?」
「うんっ!」
「なるほど。確かにメイさんが公表したら結構ヤバいかも」
「じゃあ、ライを呼ぶか」
アシュラはオーラを纏って第三の視界でオーラを見て黒色のオーラを纏ってオーラの練度を高める修業をしているライを見つけて瞬間移動させた。
「おやっ⁉これはこれは、ツリトさんじゃないですか。新興国に案内してくれるんですね」
「ああ。だが、その前にライ。お前に皇帝になって貰う」
ライは状況を見た。メイがアシュラに抱き着いてジャンヌはアシュラの手を握っている。
「ふむ。合点承知の助です。僕にお任せ下さい。それに、何だか、ツリトさんは面白そうなことをしていますからね。それに、恋する少女の思いが届いて愛が芽生えているんです。僕が止めるのは無粋というものですよ」
メイはアシュラから離れると涙を袖で拭き取ると銀色の指輪を外した。
「ライ。ありがとう。そして、これから、頑張ってね」
しかし、ライは皇帝の証であるこの銀色の指輪を受け取らなかった。
「僕には雷刀があります。それに、この雷刀もいずれは捨てます。僕は己と向き合うことに決めましたから。だから、それは、メイさんが持っていて下さい」
「でも、これは、皇帝が代々受け継いだもので・・・」
「僕が皇帝になりました。だから、その伝統は廃止します。飛び道具は所詮、飛び道具で本当の進化を遂げることはできない。この数日で痛いほど学びました」
「いいんじゃないか、メイ。それは皇帝になった記念にってことで」
「ライがそう言うなら貰っておくよ」
「いいの⁉」
確実に成長しているライの姿を気持ちよく思いながら三人の中では話し合いは終わった。ジャンヌだけが冷静にこのおかしさに気付いていた。
「話は変わりますが、ツリトさんはこれから、どうやって生活して行くんですか?」
「ああ、メイとカナとジャンヌと、と言うことだな?」
「はい」
「フロンティアで生活するさ」
「なるほど。それが一番いいでしょうね。では、案内お願いします」
ジャンヌはちょっとだけクスクスと笑って空間を歪ませた。メイはこのジャンヌの含み笑いにインドラのことよね。と思ってクスクスと笑っていた。
「凄いわ。あんなに景色が高速で変わるの体感したことない」
「僕もあそこまでの速さが継続されているのはビックリです」
「ウールフたちも来てるけど、どうする?」
「じゃあ、僕はウールフさんに会いに行きたいです」
「分かった。案内するよ」
アシュラはライと共にウールフの元に一度向かった。
「メイさんはじゃあ、皆に会いに行って貰おうかな」
「うん」
「皆、紹介するね。新しくメンバーに入ったメイさんです。本日晴れてエケセテ帝国皇帝の座を降りてメンバーになりました。じゃあ、私は次があるので・・・」
ジャンヌはメイを生贄にしてその場から逃げ去った。置いてけぼりにされたメイは困惑していた。これは、何かドッキリが行われているのではないかとも思った。カナと同じ顔をした女の子が八人、そして、噂のキララ、インドラ、知らない同じ顔をした双子のウサギ人の女の子がメンバーと一括りにされており、今しがた、そのメンバーにメイは入ったとされたのだ。そしたら、当然行きつく先は一つしかない。
「メイが新メンバーってことは・・・ここにいる子たちはツリト君のことが好きで全員、子供ができてるってことよね?」
メイは恐る恐る尋ねた。この質問に全員が反応して頷いた。インドラだけが一拍遅れて頷いた。素直で可愛い。
「もう、何度このくだりをしたか。そうよ。私たちは全員、今、あなたが、メイが言った通りアシュのことが好きでこっ、子供ができているの」
「皆はちゃんと段階を摘んだの?」
「「「もちろんよ」」」
「皆、逆レイプして無理やり関係を作ったに決まってるじゃん。インドラは多分、純愛だと思うけど」
「っ⁉」
当然会話の主導権を握っていたのはインドラでこの短時間で完全にモブキャラ1に昇格したのはキララだった。そして、キララは悪気無しで知らず知らずインドラを追い詰めていた。インドラは相変わらず、嘘が上手に吐けず毎回テンパっていた。
「とっ、当然よ!しかも、この中じゃ、一番長い付き合いよ。だって、私はアシュのお姉ちゃんだもん」
「ふーん。じゃあ、メイは二番目の純愛かあ。ってことはこの中じゃ階級的にナンバー2の地位に付けれるね。インドラはどんなことをしたの?」
「っ⁉それは、アレよ、アレ」
「何?」
「舌を絡め合って(神龍の血を入れるために)お互いの全て(神龍の血)を入れて出してお互いを感じ合ったのよ」
「「「へえ」」」
「ちゃんとツリト君の意識はあったんだね」
「もっ、もちろんよっ!」
「でも、アレだよね。メイがナンバー2ってそれはおかしいと思うな。キスしたのはキララが一番最初だからナンバー1はキララだと思うの。そう考えるとカナさんがナンバー2になるから、インドラは最下位から数えた方が早いと思うの。だから、キララが基本会話を進める役割を担うべきだと思うの」
皆黙って聞いていたら、キララは持ち前のクソ度胸で自分がナンバー1だと宣った。忘れているかもしれないがキララたちはインドラに手にハートの紋様を刻まれており、何かされていることは分かっているのだ。いわば、軟禁状態のわけだ。だから、緊張感が走った。メイもその空気を感じて息を飲んだ。視線が集まっているインドラを見るとインドラは笑っていた。全員が安堵した。だから、メイは空気を換えるために喋った。
「でも、その理論で言うとキララは一番じゃないよ。だって、六年前にメイはツリト君に全てを見せてるし、キスもしたもん」
全員がインドラからメイに視線を映した。メイは胸を張ってわざと大げさに腕を組んで「えっへん」と言って鼻息を勢いよく出した。
「なっ⁉人生初キスがキララじゃない⁉」
「まあ、そういうことね」
「ちなみにだけど、人生初キスは間違いなく私とだよ。そこは、間違っちゃいけないよ。まあ、何はともあれ、宜しくね。メイ」
「うん。インドラ」
ソファーに座っていたインドラは立ち上がって前に進み握手を求めた。だから、メイも近づいて握手をした。その時、インドラの目にハートの紋様が刻まれて、メイの手にもハートの紋様が刻まれた。
「楽しい時間を一緒に過ごしましょう。これは、ちょっと力を貸してもらうだけだから、肩の力は抜いて大丈夫」
「うっ、うん」
インドラがメイにもハートの紋様を刻んだ少し前、ジャンヌとアシュラはイキシチ王国に行き、ジン王に会っていた。
「ジン王。サニーニョサキューバスの封印を解きましょうか?」
「君が構わないなら余からもお願いしよう。サルシアに代わりツリト、君が封印を解いてあげてくれ。余がサキューバス家まで案内しよう」
「ありがとうございます」
アシュラとジャンヌは世間話を終えてすくにこの話題を出した。ジン王にとっては願ってない提案だった。棚から牡丹餅だった。ただ、
ごめんよ、ツリト。余が今からすることは君を殺すことになるかもしれない。でも、サニーのために大きなプラスになるかもしれないんだ。だから、余はツリト、君に期待している。
ジン王は心の中で葛藤を抱えながらアシュラを利用することに決めたのだ。




