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TSURITOー繋げた未来  作者: カバの牢獄
第二章 カナヤ新興国
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第二章 33 エージソンシリーズ

 カナたちが地上に降りる少し前、ジャンヌとカーンはいつも通り、子供の保護に当たっていた。そして、いつも通り、デコイ教信者の対応をしていた。だが、いつもとは違った対応をしていた。


「カーン!」

「ああ。任せろ」


 カーンはジャンヌが引き付けたデコイ教信者たちに小型拳銃を構えて発砲した。銃弾はオーラでできていた。この銃弾はカーンの言霊が宿っている。そのため、カーンのオーラ砲に当たったデコイ教信者は全員消えた。


「よし。これで、全員か」

「はあ。疲れた。ちゃんと異空間に飛ばされてる」


 ジャンヌがフロンティアに行って生物を捕らえて以来、三人のオーラの練度が上がり、色々と進歩した。アレクのニューフロンティアの準備は着々と進み、ジャンヌの作った部屋の効果は上がり、カーンの言霊の効果も上がった。そして、今、カーンが撃った小型拳銃はアレクが作ったものだった。


「しかし、今日も五十人。多いなあ」

「だね。何でこんな多いんだろう。とりあえず、保護しよっか」

「ああ」


 二人が建物に入った時だった。突如、爆発が起こった。




 カーンとアレクが爆発の被害に遭う少し前、ウールフとルーフは暗殺部隊を率いて今日もデコイ教信者を殺しに回っていた。今も五十人を殺していたところだった。結局、二人はデコイ教信者を正常に戻すことはできなかったため、殺すことにしていた。


「はあ。今日も五十人。何か企んでるかもね」

「俺はあ、信者たちの年の取りようがあ引っ掛かる」

「せやね。それは僕も感じとるよ。おそらく、オーラを黒にしている代わりに死が近づいとるんとちゃうんかな」

「外道やなあ」


 爆発が起こった。それは王都の皇居で起こっていた。




 ショワ王国で同時多発爆発が起こった少し前、エケセテ帝国ではライが皇居周りでデコイ教信者を殺しまわっていた。五十人近くを殺した時、皇室に一人のデコイ教信者がやって来た。メイは孤独な世界でその信者を捕らえた。メイはそのデコイ教信者をもう一つの孤独な世界に移動させた。そのデコイ教信者は自爆した。




 イキシチ王国ではサルシアとサニーニョは二人でショワ王国との国境間際でデコイ教信者を殺していた。デコイ教信者は次々に不法侵入しようとしていた。二人はそれを食い止めるべく次々に殺していた。そして、自爆の連鎖が起こった。




 ツリトは握手会をしていた。時刻は夜の十二時になっていた。実に十二時間近くやっていた。何故、こんなに長くやっているか?答えは簡単。握手会にやって来た人たちが全員デコイ教信者だったためだ。今や、ツリトはデコイ教信者を正常に戻していることはデコイ教とルーフたちにとっては当たり前の事実となっていた。ルーフはツリトにオーラに干渉する方法を教わりに行った。デコイ教は今日まで何もしていなかった。そして、今日、ツリト対策に出ていたのだ。デコイ教が狙ったことはツリトの体力切れだった。ツリトが体力切れした瞬間、仕留めようと考えていた。だから、今日は朝から、大量のデコイ教信者が来ていて、実は一年後に行われるツリト最後の解体ショーと握手会の日より多く来ていた。が、ツリトたちはこの日を過去最高の人数とは認めなかったのだ、ツリトは対応していた。ツリトの顔には大粒の汗が流れて苦しそうな表情をしていたということはなく、余裕な顔をして笑顔で元気よく対応していた。ツリトは全く疲れていなかった。残り、五十人近くとなっていた。既に二千人以上は対応していた。残り五十人の信者たちは焦っていた。


 これは、自爆した方がいいんじゃないだろうか?


 いや、きっと無理しているんだ。残り五十人もいるんだ。我慢だ。


 ツリトの残りのオーラ量を知りたいけどオーラを纏ったら怪しまれちゃう。


 クソッ。我慢しかできない。


 などなどと中々踏み出せずにいる信者が多数いた。ちなみにツリトによって信者から解放された人たちはどんどん帰って行き、ショワ王国の皇居に向かっていた。しかし、そんな中、自棄になっている信者もいた。


 もう、ツリトを殺そう。


 同志には悪いがここでツリトを殺すのがデコイ教信者にとってプラスになるはずだ。


 自棄になった信者五人は一斉に自爆しようとした。が、自爆することはなかった。信者たちは握手会に並んだ時点でオーラを纏えなくなっていたのだ。そのため自爆することはできずツリトは握手会を睡魔と戦いながら熟していた。




「カーン!」

「急ぐぞ」


 爆発の音が聞えた瞬間、カーンとジャンヌは子供たちの部屋にオーラ砲を自身に撃つことで瞬間移動をした。そして、すぐに子供たちのを瞬間移動させた。


「今から全ての孤児施設に瞬間移動をする。急ぐぞ」




 皇居で爆発が起こった時、シリウスは隠形のシックスセンスを使いテリオも爆発の被害から守った。シリウスの隠形は簡単に言うとメイの劣化版だった。オーラは金のため当然と言ったら当然なのだが。


「テリオさん大丈夫?」

「私は平気。でも、皆が…」


 皇居には当然、料理人や世話役、警護人、などなどがいる。全員、自分たちのために働いてくれる人たちだ。安否は気になってしまう。煙が晴れて行く。徐々に視界がクリアになって行く。視界に映ったのは透明な防壁で囲まれている皇居ではなく半壊した皇居だった。防壁で守られているところはあるがやはり見るに無残な光景だ。シリウスとテリオは暗殺者ではない。だが、暗殺者の男を好きな二人だ。こんな時は自分の命を大事にしないといけないことは分かっている。だが、テリオとシリウスは皇居に足を向けた。助けたいと思ってしまった。


「シリウス。ごめんなさい。私は助けに行きたい」

「テリオさんの安全は確保するよ」

「ありがとう」


 二人は建物が壊れているところに向かった。そこには下敷きになっている料理人がたくさんいた。シリウスは力づくでコンクリートや石、木などなどをどけた。テリオはすぐにけが人の治癒を始めた。テリオのオーラは金だ。大体の怪我は治すことができる。そのため、次々と治して行った。


「テリオさんっ。こっちもお願いします!」


 テリオが治癒を始めたことを知って無事だった警護人たちが次々に怪我人を見つけてテリオに呼びかけていた。テリオは急ぎつつ慎重に怪我人の元にシリウスに安全に連れて行ってもらった。


「シリウス」

「うん」


 こんな風に次々と治癒して行きようやく全員治癒し終えた時にルーフとウールフは現れた。テリオとシリウスは安心して気が緩んだ。否、ルーフとウールフもだ。お互いに安否が確認できて安心したのだ。デコイ教はその瞬間を決して逃さなかった。ヘリコプターにに乗った信者二人から神速のライフルによる巨大オーラ砲が放たれた。四人は気が付かなかった。そして、地面から忍び寄る複数の信者たちにも気が付かなかった。




 エケセテ帝国ではメイが自爆する信者を見つけては別の孤独の世界に連れ込むの繰り返しをしていた。尚、信者は氷剣によって斬られて完全に凍っている。


「全く。きりがないわね」


 ライはと言うとメイを負ぶって孤独な世界で走っていた。




 サルシアとサニーニョは爆発から逃れていた。サルシアが瞬間移動でサニーニョと一緒に距離を取っていたのだ。続いてサルシアはリザーリアを瞬間移動させて連れて来た。


「リザーリア。ジン王は何と仰られた?」

「ジン王はデコイ教信者の狙いは余ではない。狙われているのはリザーリアも含めて三人だろう、と」

「考えられるのは…」

「「「国力低下」」」

「じゃあ、僕たちのやることは変わらないね」

「だな。私たちのやることはあいつらの排除だ」

「はい。恐れながら、隠し玉は使わなくて構わないのでしょうか?」

「呼ばない。私たち三人で十分だ」

「呼ばない。僕たち三人で十分だ」


 それは親子二人が声を揃えて反射して答えていた。二人ともリザーリアを睨み付けていた。思わず、全身の毛が逆立ってしまいそうなほどの迫力があった。


 可愛がっているなあ。


「失礼しました。では、三人で気を引き締めて参りましょうか」


 三人は同時に動き出した。リザーリアが三人全員に鎧を着せて二人は速攻で敵陣の群れに飛び込んだ。防御する必要がなくなり攻撃だけに専念することになった二人は信者が自爆する前に次々と斬って行った。しかし、斬っても斬っても黒色のオーラを纏った信者たちの数は減らなかった。奥を見ても全くもって終わりが見えなかった。だから、気が付かなかったのだ。信者をも貫いて地を這う巨大な神速のライフルによって放たれた巨大なオーラ砲の存在を直前まで。そして、地面から忍び寄る複数の信者たちにも気が付かなかった。




 ジャンヌとカーンは形振り構わなかった。アレクにも協力してもらい三手に分かれて孤児施設ごと瞬間移動させた。三人とも小型拳銃を持っていた。小型拳銃にはカーンのオーラが蓄積されてある疑似水晶が埋め込まれていた。そのため、オーラの消耗の心配は必要なかった。だが、不意打ちには気を付けなければならなかった。三人のそんな心配をよそに意外なことに孤児施設への襲撃は一切なく、三十分ほどで千個以上にも及ぶ孤児施設丸ごと瞬間移動させることができた。三人が狙われなかったのには理由がある。一つの孤児施設にいた時間が限りなく短かったからであった。


「とりあえず、僕たちは無事で良かった」

「だな。だが、皇居が気掛かりだ」

「私たち三人も積極的に動いた方が良いんじゃないかしら」


 三人は皇居に向かった。が、皇居は跡形も無かった。そこにいたのはたくさんの屍と三つの壺とウールフの姿だけだった。




 時は少し遡りウールフたちが上からの巨大のオーラ砲に気が付いた時だ。


「「「「っ⁉」」」」


 全員が息を飲んだ。ウールフとルーフは最大限に頭を回した。


 俺か?親父か?否、俺だあ。


 僕か?ウールフか?否、ウールフだ。


 二人の結論は同じだった。何故、ウールフがオーラ砲を対応することになったか?それは、二人のシックスセンスの違いにあった。ルーフのシックスセンスは爆発。オーラ砲を爆発させると被害が拡大する。対してウールフのシックスセンスは危険と認識したものを殺す力を得るだ。今回の場合はオーラ砲を危険と認識して消す。二次被害は出ないのだ。また、オーラ砲にシックスセンスが使われていた時にも適切な対応ができる。それに、オーラ砲だけが危険とは限らない。地上、地下から攻撃される可能性がある。その場合はルーフの爆発の方が初手が速い。このような理由でウールフが対応することになった。


 ウールフとルーフは同時に獣化した。一瞬で対応するために少しでもベストの形にしようとしたためだ。ウールフはシックスセンスを使った。ウールフが得たのは反射だ。ウールフは爪でオーラ砲を引っ掻いて弾き返した。上空で爆破した。ウールフが地上に自由落下していた時、地面が動いた。地面からたくさんの蔓が這い上がり三人の足を絡んだ。そして、蔓は鞭のようにしなって三人の体を四方八方からも攻撃して来た。ルーフはすぐに蔓を爆発させて対処しているが蔓の攻撃が止まない。やがて、煙で視界が悪くなって来た時、遠くから普通の銃弾ほどの高速のオーラ砲がルーフの体に飛んで来た。


「親父っ!」


 ウールフは自身の爪を剥がして照準を合わせた。オーラ砲は反射されて遠くにあるビルが燃え上がった。


「何人いるんだあ?」


 ウールフはシックスセンスを解除して新たに危険を視た。危険は地面にしか視えなかった。遠くからのさっきのようなオーラ砲は飛んで来ることはないようだ。ウールフは地面の危険をより詳しく視た。一際危険な蔓が四本あった。ウールフはその蔓を消すための力を求めた。結果、自身のオーラが蔓を弾く力を得た。ウールフは目を凝らした。危険な四本の蔓は何度も爆発して再生されている。四本の危険な蔓が一度地下に潜った。その間もモブ蔓は鞭のようにしなって攻撃をしようとしていた。そして、危険な四本の蔓が蓋を持って三人の足元に当たった。三人はオーラの中に吸い寄せられて蓋は地面の中に潜った。そして、オーラの中に入った三人は地中に潜った。ウールフは地面に着地する前に爪を剥がして妨害しようとしたが間に合わなかった。この瞬間、ウールフは着地した。ウールフは着地の瞬間足にオーラを集中させた。ウールフは地面を弾かせた。すると、中から三つの壺とたくさんの信者が現れた。ウールフは危険の設定を解除して適当に新たな標的を設定した。衝撃だった。ウールフは手にオーラを集中させて力強く鳴らした。信者たちは粉々に散った。ウールフはすぐに壺に駆け寄り開けようとした。が、開かなかった。


「クソッ。畜生。何で開かない⁉危険と認識されない。死んだのか⁉クソッたれ。クソッたれ。クソッたれ!」


 尚も、信者たちは攻撃を仕掛けて来る。ウールフは強く手を叩く。そうやって屍の山ができて行くが壺は一向に開かない。開かない。開かない。


 新たな気配を感じた。三人の気配だ。ウールフは悲痛に暮れながらも手を強く叩こうとした。が、叩かれなかった。カーンにより、止められた。


「ウールフ君。何が起こった?」




 サルシアとサニーニョは信者をも撃ち抜く巨大なオーラ砲に気付いた時には遅かった。攻撃は前からだけではなく下からもだったからだ。地面から突如、蓋が二人の足を狙って飛んでいたからだった。サルシアはサニーニョと後ろに控えているリザーリアを瞬間移動させてオーラを斬ろうとした。だが、サニーニョによって体勢を崩された。サルシアは疑問に思いつつも自分も含めて瞬間移動させた。


「父さんっ!どうし…」


 言葉が出なかった。確かに二人も一緒に瞬間移動させたのだ。だが、目の前にいるのはリザーリアと壺だった。


「サルシア。団長はもしかして…」

「……」


 僕は確かに父さんを瞬間移動させた。ということは…


「父さんはこの中だ」

「まさか…信じられんが、そうなのだろう。サルシア。敵のシックスセンスは解くことはできるか?」

「斬ってみる」


 サルシアは大きく振り被って剣を振った。だが、傷一つ付けることはできなかった。


「サルシアが傷一つつけることができない。…まさか⁉」

「そうなのだろう。まさか、デコイ教が所持していたとは」

「「エージソンシリーズ封印の壺」」




「まさか、封印の壺が複数個あったとは」

「ああ、クソッ。俺があ飛び道具を持っていればあ」

「僕が封印の壺の研究を行う。だから、今は外の騒ぎを片付けよう」

「そうね。今、私たちがすることはデコイ教の排除だわ」

「そうだな。ジャンヌの言う通りだ。ウールフ君、この小型拳銃を持ってくれ」

「……」


 ウールフは悲しみ、迷いなどあらゆる感情を抑えていたのだろう。やがて、大きく深呼吸をして目をキリッとさせた。


「ああ。俺にいできることをしよう」

「ありがとう。この銃の使い方を説明しよう」

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