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TSURITOー繋げた未来  作者: カバの牢獄
第二章 カナヤ新興国
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第二章 23 ツリトの適応能力

「何してくれてんだ、てめえ」


 メイがようやく泣き止んで落ち着いたのを見計らって最初に出て来たツリトの言葉がこれだった。メイは腫らした目で何のこと?と首を曲げていた。メイはツリトの向かい側に背中を拭かずに座っていた仕方なくツリトは斬撃で汚れを空気砲のようにして飛ばした。


「で、何?」

「ツリト君にお願いがあって。現在の帝国の状況を説明するわ。メイがイキシチ王国に行こうとしてた時、ショワ王国の便から白装束の人がたくさん出て来ていた。しかも、既に皇帝に接触している信者もいるの。つまり、帝国がデコイ教に侵略されつつあるのよ」

「うーん。まず、君は帝国から来たんだね?」

「うん。でも、君じゃなくてメイ」

「はあ。メイはそのデコイ教をどうしたいの?」

「帝国に一人も入れたくない」

「ふーん。頑張って。俺はここで気ままに暮らしてるから」

「何でよっ!」

「多分、俺がいると余計に難しい。メイなら分かるだろうけどここ、結構分からなかったでしょ?」


 ツリトは漁師町の近くの無人島に避難さえてもらっていた。この島は無人島で人の手が付けられていないため、自然に溢れていた。ツリトが家を建てたのは森の中だった。海の近くにしなかったのは建物が目立つからだった。おじさんも最初、樽と桶をいくつか一緒にくれた時は海のすぐ近くの洞窟を案内してたが、十歳の少年がそんな暗いところで大人しくできるはずがなく探検していた。そして、葉っぱが異常に大きい森の中に目立たないように家を建てたのだ。メイがここに辿り着いたのは通常通り大型船に乗っていたおじさんの部下がコソコソと話していたのを孤独な世界で盗み聞きしていたからであった。後は近くまで船にこっそりと乗り跳び下りてツリトがいる無人島に辿り着いたのだ。実にここまでに三日掛かったのだ。


「確かにツリト君の居場所は分からなかったけど、ツリト君とデコイ教に何かあるの?」

「関りはない。ただ、悪意が働いている。俺がここに住むようになったのもジン王のルーフ王のカマセ皇帝の命令を無視してしつこくやって来るデコイ教対策だから。そういえばだけど、メイはどうやって俺の家に辿り着いたの?この島に来るのはそんなに難しくないけど、ここまで来るのは結構大変でしょ?」

「ああ、野生動物は黒色のオーラを纏っているものね。でも、そこは大丈夫。メイも黒だから。シックスセンスは幽霊のように誰にも干渉されない、孤独。だから、ツリト君にデコイ教を仕留めて欲しいの」

「ふーん。俺はデコイ教の排除に協力しないよ。俺の周りの人に直接害を加えない限り。理由はいくつかあるが、一番の理由は信者には被害者がいるからだ。何かまとめさいと?で書いてあった」

「うん。確かにそういう人は多いけど、被害者じゃない人もいるっぽいんだよ。明らかにスポンサーになってる企業もあるしね。それに、これは噂レベルなんだけど、ショワ王国の南部で急激に孤児が増えてるの。帝国に大きな被害が来る前に何とかしたいの」

「ふーん。まあ、俺には関係ないから」


 メイはツリトを睨み付けた。余りにも非協力的過ぎるのだ。話は聞いてくれるが全然手伝ってくれない。嫌がらせされてると思った。独りで何とかしないといけないと考えると涙が溢れてきた。折角消えかけていた不安が再燃したのだ。


「はあ。また、泣いたよ。泣いたら何でもできるなんてことはないからな」


 ツリトは立ち上がってメイの背中を優しく叩いた。メイは抱き着いてツリトの体に顔を埋めた。




「じゃあ、俺は島のどこかに隠れるから見つけてな。ただし、シックスセンスは使うな」


 ツリトがメイに提案したのはかくれんぼだった。至極単純だ。ツリトを見つけるだけなのだから。本来なら。ツリトは森の中に家を建てた。葉っぱが大きく上からは家は全く見えないところにだ。おまけに近くには黒色のオーラを纏う凶暴な熊や猪、狸などがいる。ツリトはメイのシックスセンスを聞いたうえで敢えて使うなと命令した。ツリトがしようとしたことは単純に体力を確かめることだった。ツリトは今日の晩御飯を取りに森の危険地帯に獣を獲りに行っていた。メイはと言うとビビッて膝が笑っていた。


「どどどどうしよう。これも遠回しの嫌がらせなのかなあ。絶対獣匂が凄いところにいるもんねえ。って言うか分かりやすく枝を折ってて来いって言ってるもん」


 日は少し沈みかけていて森の中には入りたくなかった。一応、光の魔鉱石は持っているが単純に獣が怖くて膝が笑っていた。


 ガアアアアアアアアアアアアアアアアッ


 低温の雄たけびが聞えた。メイは体がピクッとなって上に跳び上がった。


「ツリト君は何でこんなの平気なんだろう。急ごう」


 メイは黒色のオーラを纏って一気に走り抜けようとした。その時、獣の雄たけびが聞えた。それは耳を塞ぎたくなるほどの大音量だった。森の獣たちが一瞬でメイの元に走りだした。


「えっ!ななな何でこんなに襲ってくるの!何で何で何で何で」


 メイはパニックになって足が動かなくなった。シックスセンスを使えば普通に逃げれるのにツリトに言われた通りにしなきゃと頭が雁字搦めになってしまっていた。一方ツリトは熊の血抜きをしていた時だった。


「はあ。面倒だなあ」


 ツリトは黒色のオーラを練度を上げて纏った。獣たちはメイに向かうのを止めてツリトの方に猛然と向かって来た。ツリトは獣たちの人間を食らおうとする意思をその糸を斬った。ツリトは熊を担いで家に向かった。メイは途中で失禁して失神していた。ツリトはメイも担いで家に帰った。




 ツリトはメイのそれは見なかったことにして汚れだけ空気砲のようにして飛ばそうとしたが服が邪魔だと思い脱がして飛ばした。そして、服は一応水に付けて洗っていた。つまり、メイは裸の状態で寝ていた。布団はおじさんから樽と一緒に貰っていた。今、ツリトは血抜きした熊を綺麗に斬撃を飛ばして捌いていた。


「はあ。起こすか。面倒臭そうだけど」


 ツリトは血や汚れを飛ばすと家の中に入った。メイは掛け布団を体に巻いてツリトを睨んだ。メイは自身が失神して失禁していたことを覚えていなかった。だから、ツリトを今までにないぐらい睨み付けていた。だが、ツリトはツリトでスマホの使い方を覚えつつあり、メイの漏らした状態をカメラに収めていた。だから、ツリトはズボンからスマホを取り出し写真を見せた。念のため、二三枚撮っていた。


「なっ!」


 メイは見る見る内に顔を真っ赤にした。そして、体を震わして巻き付けていた掛け布団を放してツリトの顔面を思い切りビンタした。ツリトは甘んじて受けた。と言うことはせずに避けた。だから、余計にメイはカンカンになってツリトを追いかけ回した。もう、裸になってもお構いなしだった。




「はあ。何でメイを独りにするのよ」


 ツリトが結局甘んじてビンタを一発受けた後、メイは替えの服を着て、ツリトが処理した熊肉を塩で焼いていた。一方ツリトは別邸に移動していた。実はツリトは二つ家を作っていた。一つは寝て起きてをする普通の家、もう一つは作業、休憩ようの家だった。何故、二つ作ったか?答えは単純、作物を獣に食べられないようにするためだ。ツリトがフロンティアから一部の記憶を失くして漁師町に来た時、ポケットには食物の種が五個入っていた。ツリトはこの無人島で畑を作っていた。しかし、三日ほどでは実など実るはずはない。普通なら。だが、一日でたくさん実が実ったのだ。いずれも、キュウリだった。違う品種のキュウリがたくさん実ったのだ。一つは弾力があるもの、一つは激辛、一つはシャキシャキ、一つはとにかくデカい、一つは酸っぱいものだった。キュウリがとにかく品種改良されていたのだ。しかも、虫一匹も寄って来なかった。だから、本来なら離れた位置に畑を作らなくてもいいのだが、いつ適応されるか分からないため念のために距離を取ったのだ。ツリトは一つずつ取って大きな樽に入れて担いで家に向かっていた。


「て言うか、このフライパンもそうだけど、ツリト君自給自足できすぎじゃん。もしかしてフロンティアから来たのかな?」

「よし、焼いてるな。いじけて何もしていないんじゃないかと思ってたよ」

「メイだってお腹空いてるもん」

「背に腹は代えられないか」

「プイッ」


 ツリトは頭を撫でて樽からキュウリを出した。メイはそれを受け入れてツリトが取り出したキュウリを見た。どれも見たことのないものだった。


「それ、何?」

「知らん。まあ、自家栽培した奴だから、大丈夫」


 ツリトは敢えて激辛のキュウリ、形は普通のものよりも少し小さい、をメイに渡した。メイは恐る恐る手に取った割には口いっぱいに齧った。すぐに吐き出した。ツリトはそれを笑って見ていた。メイはツリトを睨んだが目には涙が溜まって体をバタバタさせて必死に声を出していた。


「水を、水を」


 それが面白くてツリトはただただ笑って見ていた。メイは尚も苦しんでいた。さすがに可哀想に見えたツリトは桶で水をすくって竹のコップに水を入れてメイに渡した。


「うん。中々によかった。面白かった。それは獣を仕留めるのに使うんだ。もう分かってると思うけどここの獣はオーラを纏ったら襲いに掛かって来る。だから、敢えてオーラを纏わずにこのキュウリを餌として与えることで簡単に仕留めるんだ。どうだ?」

「絶対にやり返す」

「はははっ。俺は大丈夫だよ」


 ツリトはメイが食べていたキュウリをそのまま何の躊躇もなく齧った。顔色一つ変えずにパクパクと食べた。メイは驚愕の表情をして目を大きく見開いた。


「何で平気なの⁉」

「すぐに馴れるさ。さてと、食べるか」


 メイは釈然としないものを感じながらもお腹を満たすことを優先した。




「はあ。お腹いっぱい。ねえ、お風呂はどこにあるの?」

「さっきの獣の群衆地帯を通り過ぎたところに温泉があるよ。じゃあ、頑張って」


 ツリトは皿の汚れも空気砲のような斬撃で飛ばし後片付けをしていた。今日はメイが水を飲みすぎたせで樽の中の水がほとんど無くなっていた。だから、海水から水を補充しに行きたかった。だが、メイは泣いてツリトに抱き着いて縋ってきた。


「お願いお願いお願い。一緒に来て」

「いいのか?」


 ツリトはゆっくりと視線を下げてメイの胸に目を向けた。メイはその意図に気付いて顔を真っ赤にさせてもじもじさせて小さな声で呟いた。


「一回見られてるし」

「え?」

「一回見られてるし、もういい」

「ふーん。じゃあ、ちょっとついて来て。水を作っときたい」

「メイが飲み過ぎたからだよね。ごめん」

「いいから。俺のせいで飲みすぎたところはあるから」




 メイは光の魔鉱石を照らしてツリトの片腕に抱き着いて歩いていた。恥ずかしいとか照れるとかそういう思いはもちろんあったが恐怖の方が勝った。既に海水から真水に変え終わり獣匂の中心を歩いて温泉を目指して歩いていた。メイはヒィーと言いながら歩いていた。ツリトは全然怖がらず、寧ろ、メイに気を遣いながらゆっくりと歩いていた。


「はあ。何でそこまでしてお風呂に入りたいんだ?」

「肌艶が落ちたら最悪じゃない」

「誰に好かれたくてやってるのさ?」

「別にそんなんじゃないっ!女の子として当たり前のことだよ」

「ふーん。だったら、何でオーラの練度を上げてないのさ。基本だろ?」

「オーラ量が少ないの。体力もあんまりないし」

「ふーん。じゃあ、走るかい?」

「うん。ここはここっ怖いから早く行こう」




「わあ。ここかあ」

「そう。ここ。で、ちょっと待って」


 ツリトはここでも汚れだけを飛ばす斬撃を放った。そして、激辛キュウリを適当に砕いて周りに置いて行った。


「じゃあ、あそこの熊とアイコンタクトを取りながら頑張って」

「えっ、どこ?あっ、ギャーーーーーー!」


 ツリトはメイが気付いていなさそうだったため敢えて言ってやった。


「さて、帰るか」

「待ってえええーーーー」


 メイは本日三度目、泣いて縋って来た。


「一緒に入ってえええ」

「いや、俺はいいから」

「独りにしないでえええ」

「はあ」


 メイは自分から服を脱ぎ始めた。ついでツリトのズボンにも手を掛けて脱がしてすっぽんぽんにした。メイは一瞬だけオーラを纏って速く動いたのだ。ツリトはこの切り替えの早さに驚いている内に脱がされて唖然とした。


「マジか。俺はこうするだけで十分なんだが」


 ツリトはオーラを纏って自分とメイに付いている汚れだけを斬撃で飛ばした。ツリトが服を着ようとした時メイがツリトの体に抱き着いて温泉に飛び込んだ。そのまま、ツリトの腕にがっしりと抱き着いた。


「絶対離れないから」

「そこまでして入りたいのか?分からんな」




「あっ、おかえり」

「これは、面倒だな。中々に俺の自由が害されている。一刻も早くメイを帝国に帰らせないと」

「ツリト君との生活は結構楽しいかも」


 ツリトは初めてメイと会った日から一週間後、月に一回、解体ショーを行うことが決まった。そして、その三日後、ツリトは解体ショーを行い、おじさんに無人島に送ってもらって家に帰った時だった。メイはオーラを少し纏ってスマホを見ながら寝転びもう一方の片手にはシャキシャキ触感のキュウリを齧っていた。


「今日の晩御飯は何?」

「俺はメイのお母さんじゃない」

「冗談冗談。今日は何の修業をしてくれるの?」

「メイはまだオーラを安定して纏えてない。とにかく安定して纏えるようにしろ」

「ツリト君は今日も勉強?」

「ああ。外の知識がなさすぎる」


 ツリトはいつも通り寝転んでいるメイの体に思い切り乗ってから真横に寝転んでスマホを触った。ツリトがゼウスにより封印されている記憶はフロンティアの人間の情報と心を許しているペットや仲間の情報である。尚、天空もフロンティアとみなす。ツリトが調べているのは外の、三大国の歴史である。ツリトは外に来て初めて黒色以外のオーラを見たのだ。この謎を解明したかった。そして、ここ二週間で大方の予想は着いた。人間として退化したからと考えた。現にこの無人島の野生動物は黒色のオーラを纏っているからだ。おそらく、死と隣り合わせの環境で育たなくなったから弱くなって来ているのだと。過去の偉人はそれなりに死と隣り合わせだったし、全体としてオーラの質も良かった。生活が便利になり弱者が楽できるようになったことが現代人の退化の原因と考えた。ツリトはこれは深刻な問題と考えた。いずれ、否、今も、誰かに利用され続ける人はこれから増々増えるだろうと。なぜなら、デコイ教は既に漬け込んでいるからだ。他にも裏社会の連中は漬け込んでいるとも考えた。そして、今、調べているのは社会構造だった。人々がどういう心理でどういうことを念頭に置いて動いているのかだ。


「ねえ、ツリト君。どうしたの?眉間に皴が寄ってるよ?」

「んや、気持ち悪いと思って」

「体調悪い?」

「違う。社会構造、いや、国民心理って奴だな」

「しょうもないことに拘り、そして、踊らされ、弱くて未熟な自分を最強、もっと言えば神だと勘違いしている現状さ。オーラは科学技術など軽く超えれて、不可能を可能にできるものなのにな。今って、権力や金持ちに憧れてオーラに拘りがない」

「手厳しいね。確かにそういう側面はある。だから、利用されてる。でも、仕方ないことなんじゃないかな。そういう環境に育ったんだから」

「まあね。でも、確信がある。いずれ、デコイ教よりももっと質の悪い悪意が襲うだろうな。今のままだと」

「……覚えとく」


 ツリトはこの社会構造を人類の退化を進めた人物を探した。それは間違いなく天才発明家エージソンだ。ツリトはエージソンのせいで人類が退化したと結論付けた。彼が社会構造を大きく変えてしまったのだと。ただ自身のアイデアを形にしたばかりにその技術を研究してここまで発展してしまった。


「つくづく、自由に生きにくい社会だな。よしっ。今日のところは終了だ」

「メイも終わっていいよね?」

「ダメ。あと、最低でも一時間は纏え」


 ツリトはいつも通りメイの体を起こして膝上に乗せて身体を揉んだ。ツリトは女の子の体に触れていると落ち着くことに気付いたのだ。だから、問答無用であちこち触った。メイは最初の内は照れて抵抗していたが当たり前のことだと認識するようになっていた。ツリトがメイの抵抗を斬ったのではない。メイが自然とそう思うようになったのだ。ツリトはメイが抵抗の意思が無くなって来ていることも好意を抱き始めていることにも気付いていた。だから、遠慮なく触っていた。十歳の少年少女の微笑ましい一幕である?


「オーラの流れが乱れてる」

「だって、ツリト君が強く揉むんだもん」

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