第二章 18 カナたち姉妹の日常
「リナ。ホントに出て来るの?」
「うん。こうやって揺らし続けたら跳び上がって来るって」
「リナ姉いくら、土の中を探っても生物の気配はないよ」
「そのままオーラを使って土に穴をたくさん作って」
「人数増やそうか?」
「大丈夫。もうちょっとだから」
「運を集めて来ようか?」
「大丈夫だから。カナにたくさん跳び貝を届けるよ。あっ、モナ。ハナとじゃれてないでちゃんと穴を見てて」
「でも、全然、跳んで来ないじゃん。こんな、大きな水槽を持って来たのに一個も獲れてないじゃん」
「もう、さっきから文句ばっかり。絶対、ここで獲れるんだってば!」
「「「うわっ」」」
リナが叫んだ時、穴から大量の跳び貝が頭上に。モナは一個たりとも残さず跳び貝を水槽に瞬間移動させて行った。
「ユナ姉。姉さんたちはどこに行ったの!」
「カナ。そんなことより遊ぼう」
ユナはカナと二人でどっちの手に木の実があるでしょうをやっていた。それも二三時間ずっとユナはカナの心を誘導していた。カナはカナでユナの真似事をしていたがオリジナルには勝ち越せなかった。最初の内は楽しんでいたが一時間もするとさすがに飽きて来ていた。それでもずっと続けていたが時計の長針は既に二周以上回っていたのは確認できていた。ユナはユナで飽きていたがカナをからかいながら遊ぶことで楽しんでいた。だが、それにしても遅いとは思ってはいた。
「何で、はぐらかすの!しかも、もう、この遊びは飽きた!」
「まあまあ、カナ。ちょっと髪型を変えて見る?」
「ユナ姉っ!」
カナは反抗しつつも鏡台の前に移動した。カナたちは今年で十二歳だ。近くに気になる子はいないが自分の身形は気にしていた。髪はショートで可愛いと言うより、カッコいいと形容したくなる見た目だがやはり、可愛いを求めていた。だから、黒龍の力をコントロールして角をしまうのはかなり努力もしたのだ。何せ、九つ子で龍の血は薄まり、スタート地点は出遅れていてコントロールするには血を濃くする必要があったからだ。
「どうする?おでこ開けてみる?カナなら似合うんじゃない?」
「ユナ姉もおんなじ顔なんだからカナならじゃないじゃん。もしかして、カナで試そうとしてない?」
「いいじゃん、別に」
「良くない!もし、似合わなかった時、ユナ姉は他人事だって考えるんだろうけど、それは、間違ってるんだからねっ!おんなじ顔なんだから似合う似合わないは変わらないんだからっ!」
「でも、心意気で表情は変わるから」
「カナたちは根本は皆、おんなじ性格じゃん!」
「もういい?カナの前髪上げて。ユナ楽しみ」
カナはユナと場所入れ替えをした。ユナとカナの位置が変わりユナが椅子に座ってカナがその後ろに立っている構図に変わった。カナはそのままの勢いでユナの前髪を思い切って開けた。そして、二人で鏡をしみじみと眺めた。
「「ありだねえ」」
二人とも抵抗はしていたが実際にして見て、ポテンシャルはかなり高いと思っている、似合っていて喜んだ。二人は嬉しくなっておでこの開け方の色々なバリエーションを試した。そして、二人が出した結論は同じだった。
「「やっぱり、可愛い」」
「「「ただいまあ」」」
二人は慌てて前髪を元通りに整えようとしたが遅かった。
「二人とも、何をやってたの?」
泥まみれのアナが慌てふためいて前髪を整えている二人に首を傾げた。泥まみれの妹たちも首を傾げていた。
「ふう。疲れた。お風呂上がったらアナが料理を作るよ」
「「「ダメ」」」
カナたちはご飯の前に一緒にお風呂に入っていた。泥がとても臭かったのだ。跳び貝の塩抜きだけを済ませてからお互いに体を洗ってお風呂に入っていた。と言ってもカナとユナは二人で体を洗いっこした。アナたちはカナにベタベタと触りたそうだったがカナとユナがアナたちの泥の匂いに嫌がって躊躇った。そして、ようやく体を綺麗にして九人でお風呂に入って心を休めていたところにアナから爆弾が投下されそうになった。
「アナ姉。インドラ様が余りの火事で駆け付けて来ちゃったんだよ。カナ、インドラ様のあの目に睨まれるのはやだ」
「「「うんうん」」」
「今日、母さんと父さんはアレをしてるし、インドラ様はあの日でしょ?だから、もし、火事になっても誰にも怒られないよ」
「アナ姉。怒られるのが問題なのではなく、火事になってしまうのが問題なの。それに、リナは一から家をもう作りたくないっ!」
「「「うんうん」」」
「そっかあ。よくよく考えれば母さんと父さんは隣の家にいるもんね」
ガアァァァァァァーーーーーーーーーー。
九人の顔が思わず歪んだ。
「「「父さん、辛そう」」」
カナたちの父さんは元は人間だった。龍人は寿命が長い。だから、人間は龍人と一緒に長くずっと暮らすために寿命を延ばす必要がある。そのために龍の血を流していた。父さんは適性がなく、かなりの激痛が伴ってしまうのだ。
「今日は、一番、マシなはずなのに。リナ、父さんの占いの結果見たのに」
「ナナも運をありったけ渡したし、上げたのに」
「皆あ、そう、落ち込まない。お風呂あがってご飯作ろ。さっきからカナのお腹が五月蠅くてさ」
ユナが優しい声でシックスセンスを使って皆の心を落ち着かせた。太ももの上に座っているカナの震えも止まった。だが、ユナの体はまだ、少しだけ震えていた。カナは心が落ち着いてユナの言葉を思い出してユナを見た。ユナはニッコリと笑ってカナの胸を揉んで心を落ち着かせた。
「安心する」
「ユナ姉。今回だけだからね」




