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TSURITOー繋げた未来  作者: カバの牢獄
第二章 カナヤ新興国
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第二章 12 カナヤ新興国の備え

「「「驚いたな。俺たちの発明がこうもあっさり壊されるとは」」」


 複数のエージソンの実験部屋から驚嘆の声が漏れた。ウィーチが指揮を取っていたエージソンたちだけではなく、実験に関わっていなかったエージソンたちからも同様に驚嘆の声が漏れていた。そして、驚嘆の声を上げたのはエージソンたちだけではなかった。


「まさか、衛星事破壊するとは……。だが、奴が用意していたのはこれだけじゃないぜ」




「まさか、ツリト殿はあんなに強かったとは」

「「「当たり前だよね」」」


 ツリトを好きな全員が声を揃えて胸を張って答えた。もちろん彼女たちも驚いてはいるのだが。


「しかし、アレクの出番がなかったな」

「ホントに。僕の発明品を試す機会がなかった。でも、公に披露しないで済んで良かったとも言えるけど」

「まだまだ、修正箇所があるのか?」

「もちろんさ。僕の発明は発展途上なんだ。以前作った箇所は既に修正箇所になっているさ」

「頼もしい限りだ。だが、ここに外から大勢の人が集まって来ているな」


 カーンたちが見ている映像にはニューフロンティアの上空、ロンギヌスから見た街並み、防壁から見た外の景色の映像がモニターに映し出されている。映像の切り替えはこの異空間の主、ジャンヌが行っている。それで、ニューフロンティアに集まって来ている大勢の人たちは観光客もいるが、一番は周辺住民が明らかにおかしい天候の荒れ方に身の危険を感じ、避難して来ている。もちろん、今までにも避難して来た人はそれなりにいるのだが、今は人数が多すぎて上手く避難誘導ができないほどでもあった。


「そのまま家にいても良かったのに。ジャンヌ、拡声器だ」


 カーンの前にマイクが机から反り上がった。


「ジャンヌ、アレク宜しく頼む」

「いいんですか?」

「ああ、アレクの出番は必ず来る。あれだけのことをしでかしたんだ。これで、終わるはずがないだろう。待ち構えよう。もし、無駄に終わっても世界に晒す価値はそもそも十分にあるのだから」


 ジャンヌはポケットから水晶を取り出し、カーンはマイクをオンにした。そして、お互いに黒色のオーラを纏った。


「落ち着き給え」


 この静かな声はニューフロンティア周辺だけではなく新興国全体にまで拡がった。もちろん、同じ部屋にいた者にも聞こえていた。


 カーンのシックスセンスは言霊。その効果は声を聞かないと効力を持たないのだが、声さえ聞こえたら効果は必ず出るのだ。


 ジャンヌのシックスセンスは異空間である。この異空間はバウバウ家の蟻の亜人の異空間の巣のようなショボいものではない。ジャンヌの異空間はオーラで押し広げることで異空間の範囲をいくらでも広げられるのだ。しかも、一回拡大したら縮小することはない。ジャンヌの異空間はこれだけではない。色々な効果を持つ部屋を作ることもできる。例えば、今いる部屋は世界のあらゆる所を見ようと思えば見ることができる。ただし、セナが部屋に結界を張っていたように邪魔されたら見ることはできないが。他にも、ツリトたちと初めて会った時にいた部屋は機密性が高く、リナのシックスセンスを持ってしても、ツリトたちから情報を得られることはできない。このようにやろうと思えば何でもやれるのがジャンヌの異空間の能力なのだ。


 カーンが言霊で新興国にいる人全員を落ち着かせた後、新興国の国土が沈んだ。代わりに地面が砂漠のように砂と岩石だけに変わった。唯一あるのはロンギヌスが何千本も突き立っているだけだった。


「「「凄い」」」

「ジャンヌ。いつのまにこんなの準備してたの?」

「私がカナさんのお世話をしている間に並行してずっとやっていたんですよ」

「そう。しかも、ジャンヌは僕の研究と実験のサポートもしてくれていたんだ」

「私は二人のケアを度々行っていた。この一年、カナ殿が女王に君臨してくれていたことでほぼ完成した」

「まさか、こんなことをしていたとは。リナのシックスセンスでも気付けなかった」


 突如、更地にたくさんの空間の歪みが起こった。そこからはたくさんのロボットが現れた。五匹のプリティーによって地上に残って拘束されているウィーチは体に流れた不規則な電気信号で作戦のフェーズが変わったことを知りながらもただ、笑っていた。


「アレクお前の発明を思う存分に活躍させるんだ。それとカナ殿とそのお仲間も手伝ってくれ。ジャンヌはもしもに備えて癒しの部屋に向かえ!」




「いやあ、ツリト。何がこの数日、いや、数時間で何が起こったんやあ?」

「別に何も起こってないさ」


 ツリト=アシュラが三度の攻撃を退けて地上の下りて来たのを見てウールフは近くに寄って話し掛けた。


「ところで、こいつら、失神してね?」


 皇居に教祖を殺したウールフへの抗議に来ていた偽物の信者は世界を滅ぼす災いが起こったのだと勝手に勘違いして失禁して失神していた。


「ほっとけえ。で、この後、何が起こるか分かるかあ?」

「うーん。ちょっと待って」


 アシュラは頭に乗っている青と赤の二色の子猫のプリティーは倒れている偽物の信者を吸い込まない程度に吸収、引き付けた。そして、もう一匹の青と白の二色の子猫、プリティーで軽くぐるぐる巻きにした。今、吸収した汚物は海にいるプリティーによって排出させた。


「そだね、うーん。次は地上戦じゃないかな?」

「地上戦ん?」

「おう。おそらく、あの空からの攻撃が通用しないとなると次は一人ずつ殺しに掛かるんじゃないか?ほいで、俺をどこかのタイミングで狙ってるんだろうよ」

「やっぱりい、あの規模かあ?」

「多分、結構な数だと思うぜ。それも、おそらく負けを負けにしない」

「どういうことだあ?」

「例えば、俺がこのプリティーを首を斬って殺すとする。が、それがトリガーになって爆発するとかな」


 アシュラは青と赤の二色の子猫、プリティーを片手で掴んで首を手刀するふりをした。プリティーは楽しそうにじゃれていた。可愛らしくにゃんと鳴いていた。


「まあ、そこらへんは俺が見てみるわあ。まあでも、疲れたわあ」


 目の前の空間が歪んだ。辺りを見ると他のところもたくさん歪んでいた。

「来るぞ。頼んだ」




「ツリトさん。一体その力はどこからやって来たんですか?」

「別に。俺は何か新しい力が入ったとかじゃないぜ。それで、動けそうか?」


 ライは尚も寝転んだままだった。


「少しだけなら」

「帝都の防衛システムってどうにかならない?」

「あの自動狙撃ですか?そうですねえ、多分、すぐには無理です。地下にオーラを供給している奴隷がいるんですけど、そこまで指示するのは時間が掛かりますから」

「ふーん。面倒だな」




「どうしようか」


 分身間での情報は逐一共有されている。そして、分身の一人が帝都の上空にいた。


「動力源が謎だったけどビックリだ。壊すわけにはいかないし、仕方ない。ちょっと無駄遣いになるが」

 アシュラは青と藍の二色の子猫、プリティーと青と黒の二色の子猫、プリティーを一匹ずつ降ろした。

「行ったれ、お前ら」


 アシュラは軽く頭を撫でて二匹を手から放した。宙に浮いた二匹は同時に帝国のロンギヌスに透明の防壁と木の防壁を被せた。二匹はにゃんと軽く鳴いてアシュラに甘えて来たときに、地上で空間がたくさん歪み始めた。




「全く、ツリトは凄いね」

「そんな褒めるな。今度は地上戦だぜ」

「やっぱり、そうだよね」

「ああ。でだ、どれぐらい余力があんのさ?」

「見ての通り空っきしだ。こうして、君に負ぶって貰ってるほどにね」


 サルシアはアシュラのオーラを二倍にした後、黒のオーラだけ纏って空飛ぶ剣に乗っていたが力尽きてアシュラに負ぶってもらっていた。


「足手纏いが。じゃあ、目を準備しとけよ」

「これから現れる敵の情報を見るんだね」


 地上で空間がたくさん歪んだ。


「頼んだぞ」




「ホントに離れてくれ。本体の俺が自由になれていないのはダメだ」

「やーだ。さっき約束したじゃん」


 インドラは有言実行する気満々だった。アシュラに宣言してから後ろから抱き着いていてアシュラがインドラを負ぶっている形となっていた。


「じゃあ、手伝って貰うぞ」

「私は最初からそうしてたじゃん」

「さっき、隕石を燃やそうか?って言ってたよな?」

「うん。言ったよ」

「それを使わせてくれ」

「ねえ。私のこと好きだよね?」

「何さ、急に」

「そういえば、会ってから一回も聞いてないなあって思って」


 アシュラは纏っていた神龍の鱗を外し、地上に下りようとしたところ首が締まった。


「ねえ、アシュ。どうなの?」

「これって一択しかないじゃん。もちろん好き、と言うしかない痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」

「アシュ!肉体関係がないと人を好きになれなくなったの?」

「んなわけあるか。俺はインドラのことは大好きだよ」


 インドラの力が緩くなった。それを確認してアシュラは地上に向かった。インドラは顔を真っ赤にして火照っていた。


「はあ」

「アシュ!」


 じゃれ合っていると地上でたくさん空間が歪んでいるのが見えた。




 地上に現れたのは三メートルほどのロボットだった。右手には赤い棒が左手には水色の棒を持っていた。新興国では何千本も立っているロンギヌスの周りに二十メートルほどあるアレクのロボットがジャンヌの異空間を通じて足元から反り上がった。その様子をモニター室から見ていたアレクはかつてないほどに興奮していた。


「ヒューーーーー!遂に、遂に遂に遂にっ!僕の発明が表に出た。誰にも見られずに埃が被っていたあの異空間の部屋からとうとう表に出た!僕が発明した大型ロボット、ラージビッグのお出ましだっ!」


 カーンはその様子に苦笑いをした。アレクがロボットのことになると興奮するのはいつものことだからだ。だから、今は更に調子に乗せることにした。


「ロンギヌスの充電はどれぐらいある?」

「ここ最近の雷で充電はマックスさ。寧ろ異空間に余分に電力を溜めているよ。とうとうだ、ロンギヌスをお披露目できるのは。僕の発明の真価が問われるっ!」


 地上ではラージビッグがロンギヌスを引き脱いで右手に吸い付けていた。そして、相手の三メートルほどの小型ロボットがアレクの二十メートルほどのロボットの足首に水色の棒を振り抜こうとした。すると、ロンギヌスに小型ロボットが吸い付いた。


「来たっ!ロンギヌスの能力その一、害意を向けて来るものを引き付ける!」


 ラージビッグはロンギヌスを大きく振り被ると四方八方から来るロケットパンチ、赤色と水色の棒を持っている、がラージビッグの足首を狙って攻撃して来ていた。


「無駄だっ!」


 ラージビッグはその攻撃を無視して地面にロンギヌスの槍を叩きつけた。すると、打点を中心に振動が、爆風の波が生まれて三メートルのロボットたちは遠くに引き飛ばされてしまった。


「その二っ!電気を振動に変える攻撃、爆風!」


 吹き飛ばされた三メートルのロボットたちは爆風を受けると爆発した。




 その様子を見ていたニューフロンティアのカナたち姉妹とキララは呆気に取られていた。


「こんなのキララたちの出番なんてなくない?」

「そだね。幸い、ツリト君、いや、アシュラ様も暇してるから近くに行く?カナたちよりも多いから一人ずつでいちゃつけるしね」

「「「カナ、さすがっ!」」」「カナさん、さすがっ!」


 かくして、カナたち姉妹とキララは分身のツリト=アシュラの近くに移動した。




「ツリトお、このままじゃあ、街が壊されるう」


 ワープして来たエージソンの三メートルの右手に赤色の棒、左手に水色の棒を持ったロボットが姿を見せた時、ウールフは人の心配より街の心配をした。それは、王様として、暗殺者としては普通の判断なのかもしれないがアシュラにとっては少し寂しく思わざるをえなかった。


「何が危険だ?」


 しかし、アシュラはそんなことをゆっくりと考えるような呑気なことはしなかった。一早く、現状をよりよく打開するための対抗策を考えようとしていた。


「ロボットの中は爆薬が入ってる。ついでにオーラにも強い衝撃を受けると爆発する仕掛けがある」

「了解っ!」


 アシュラは青と紫と赤の三色の子猫、プリティーを宗教国にいるアシュラの数の二倍ほど降ろした。


「ゼロ距離で吸収しろっ!」




「ツリトさん。どうするんですか?」

「とりあえず、軽く拘束する」

「何でですか?」


 ツリト=アシュラは青と藍と黒と紫と赤の五色の子猫、プリティーを帝国にいるツリト=アシュラの三倍ほど降ろした。


「今回の首魁は悪辣だからだ。割と余裕を持って拘束するんだ。行って来い」

「ツリトさん。さっきから気になってたんですが、その猫は何なんですか?」




「どうだ、サルシア?」

「オーラは刺激を与えると爆発、ロボット内部は爆薬、赤は炎、水色は氷」

「お疲れさん」


 ツリト=アシュラは青と赤と紫の三色の子猫、プリティーを同様に二倍降ろした。そして、頭を撫でて同じ指示をした。


「ゼロ距離で吸収するんだ。頑張れよ」




「インドラ。それぞれ吸収し始めた。燃やしてくれ」

「やだ。アシュがホントに私のことを好きになってくれるまで燃やさない」

「はあ。大好きだって言ったじゃん。はあ。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!」

「別に地上がどうなってもいいからフロンティアに行こうよ」

「ちょっと、体の向きを変えていい?」

「いいけど、何をするの?」


 インドラはそう言いつつもアシュラの首元を緩めた。だから、アシュラは何の問題もなくインドラと相対した。だが、相変わらず、距離は近いままだった。


「よし。これから俺がインドラにお願いする度にインドラのお願いを一つ聞こう。でも、さっき一緒にいたいというお願いは聞いたから今度は俺のお願いを聞け」

「じゃあ、アシュに隕石を止めるための力を与えたから貸一つになるね。いいよ。やってあげる♡」

「ちょっと待って。今の無し」

「ダーメ。この青と赤の子猫ちゃんだよね」


 インドラはハートの紋様が描かれている右目を向けると無理やり赤色のブラックホールを開いた。そして、丸の紋章が書かれていた左目に星の紋様を描くと赤いブラックホールの中に黒い炎が吸い込まれた。


「これで、大丈夫。追加で吸収しても確実に燃え消えるよ。さっ、いちゃつこう♡」

「もし、願いを聞かなかったらどうなるの?」

「その時は、アシュに何するか分かんない」

「じゃあ、とりあえず、今、俺ができる願いはあるか?」

「それじゃあね、もっともっと力が欲しい。神龍の血を濃くするよ」

「濃く?」

「うん。だって、今の私たちには体に影響が出ることはないんだからさ」

「でも、折角、精神が神龍の血に勝ったのにそれじゃあ…」

「アシュ。嘘は感心しないなあ。さっき、アシュのシックスセンスでデメリットは解消してたでしょ?」

「確かに、俺が神龍の意識、認識を拡大してお互いに適応させたけど、安易に力を求めるのはダメだ」


 インドラは左目もハートの紋章にした。そして、両目でアシュラを見つめた。


「アシュが心配してくれてるのも恐れていることも分かったよ。でも、このことに関しては私の思いを優先させてもらうよ」

「そうか。俺はずっと神龍の血に負けて精神が乗っ取られていると思っていた。でも、ホントは逆なんだな?」

「正解」


 インドラは両目に涙を流しながらアシュラにキスをして神龍の血を二人の間で循環をさせた。お互いの体を出入りする度に体内の自分たちの血が神龍の血と融合していきながら。




「「「三メートルの小型だとやはりダメだったか。では、三十メートルの大型ではどうだろうか。どの道、これがウィーチが用意した全てだからな」」」


 エージソンたちは地上にアレクのラージビッグより十メートルも大きい大型ロボットを同じ数、投入した。


 その様子を見ていたサンドラは時計を見た。


「残り二十分。ウィーチに勝機はおそらくない」


 サンドラはツリトに起こった変化を、何が起こったのかは全く分かっていないが、とても嬉しく感じ、自然と顔が綻んでいた。




「さて、ロンギヌスに充電完了。次は何が起こるんだ?」

「僕はあの小型ロボットのサンプルをせめて、一体、残したかった。あれにエージソンの技術が詰まっているのなら僕は隅々まで見たかった」


 アレクはエージソンの小型ロボットを蹂躙したことにとても落ち込んでいた。ずっと準備して来たラージビッグをようやく実戦で使えたことにとても、舞い上がっていたが、すべてを壊し、燃え上がった様子を確認すると急に心のバロメーターが下がってしまっていた。そのため、カーンがラージビッグに雷で溜めていた電気を地面に突き刺したロンギヌスに供給するように操作していた。


「アレク。だが、あれはエージソンの性格とは反しているとは思えないか?自分の発明品を自爆装置に使うとは明らかに発明品に愛はない」

「確かに…。あれはエージソンの発明品だが、別の人の悪意がある。そうだ。きっとそうだ。間違いない。うん。間違いないっ!」

「よし」


 カーンはアレクの機嫌を何とか宥めると再び気合を入れて両の頬を叩いた。アレクは落ち着きを取り戻してロボットの調子を確認し直し始めた。その時、地面の空間が歪んだ。現れたのは大型のアレクのラージビッグよりも大きいロボットだった。そのロボットは刀身が異常に長い刀を構えていた。


「ワオッ!」「何⁉」


 アレクの興奮した反応と相反したカーンの少し気落ちした驚嘆の声が印象的にモニター室に響いた。




「ツリトお、おんなじやり方でできるのかあ?」

「危険を見ろっ!」


 ウールフは余りの大きさの違いに危険を見るよりも驚きの言葉を先に漏らした。というのも先ほどの方法では吸収するのに時間が掛かると考えてのことだったからだ。一方、ツリト=アシュラもウールフと同じ思考を辿っていたのも事実だった。


「おそらく、さっきのとおんなじだろうから、隕石の時みたいに斬り刻んで吸収しやすくできない」


 迂闊に斬ってしまうと爆発が起きて街も人も燃えて灰になってしまう可能性がある。そして、可能性は確実に起こるのは間違いないだろう。


「ロボット自体はさっきとおんなじだ。だが、刀はオーラを持つものを引き寄せる性質と刀自体にも爆薬が使われている」

「クソ野郎が」




「何ですか何ですか何ですか⁉あの男心を擽るロボットは凄くカッコいいじゃないですか!」

「呑気だな」

「呑気とは何ですか、ツリトさん!」




「マズイぞ、ツリト。ロボットと刀はおんなじ仕掛けだが今回、刀がオーラを引き寄せる性質がある」

「面倒だな。モナの力がいる」




「モナ。世界中のあのロボットを一ヵ所に集められるか?」

「多分、一国分ならできるかもだけど、どこに?」

「たー。ダメだ。そこを考えられてなかった。クソっ。頼るしかない」




「おいっ、ちゅっ♡。ぶはっ、助けてくれ」

「いいのかなあ、私に頼っちゃって?」

「いいから、早くっ!」


 インドラは右目をハートの紋様から二つずらして重ねた星の紋章紋様に変わった。


「アシュ。同じオーラはどんなに距離が離れていても繋がって見えるようにして」


 アシュラはインドラのオーラの意識、認識を拡大、そして、それをすることでの体への負担を適応させた。


「ありがと。アシュ」


 インドラの右目にはエージソンのロボットに纏われているオーラが繋がって見えた。他にもアレクのラージビッグも繋がって見えていた。そして、何よりもアシュラのオーラも繋がって見えた。その中から、エージソンの大型ロボットに繋がっているオーラに掛かっている重力を反転させた。


「あとは、アシュでできるよね」

「おう」


 アシュラは上昇し続ける大型ロボットに無数の斬撃を飛ばした。その結果、全ての大型ロボットは爆発して上昇気流が発生した。


「じゃあ、続けるよん」

「待って。今、インドラも俺にシックスセンスを使うようにお願いしたから、貸し借りなしだ。それはお願いか?」

「……このやり方良くない気がする」

「だから、俺はやっぱり止めようと言ったし、元はと言うとインドラが渋ったからで…」


 バンッ!


 インドラから頭をかなり強く叩かれた。アシュラが一瞬、意識を失うほどの威力を持っていた。


「アシュが悪いっ!この縛りはこれから無し」

「さすがお姉ちゃんだ」


 アシュラはインドラの頭をポンポンと叩いた。インドラの顔は見る見るうちに火照り真っ赤になっていった。それを隠すためにインドラは緑色の龍鱗を纏った。


「めっちゃ、可愛いな」


 アシュラは自分からキスをすることでインドラの羞恥心をとにかく高めた。インドラは体をバタバタさせていたがアシュラは決して放さなかった。




 七時まで残り十分。


 ウィーチはまだアシュラの五匹のプリティーに拘束されたままだった。


 私の奥の奥の奥の手までカードは切りました。さすがに予想外です。サンドラさんはこうなると分かっていたから私に縛りを作ったのですか。残り時間はおそらくもうほとんどないはずですね。さて、私が直接ツリトさんを殺しましょうか。


「私のオーラは私以外のオーラは弾きます。信じろ」


 四匹の青と赤二色の子猫、プリティーと一匹の青と白の子猫、プリティーは弾かれた。ウィーチは軽く体を伸ばして微笑んだ。


「十分で私の全力を注ぎましょう。本体はどこにいるんですか?と言ってもその前にこいつらをどうにかしないとですね。ですから、さきほどの暗示は消しましょう」


 目の前にはアレクのラージビッグがロンギヌスを持って大きく振り被っていた。


「私のオーラは自由に操れます。そして、オーラで作った武器はどれも切れ味抜群です。信じろ」


 ウィーチは右手にオーラで刀を型取りした。そして、左手に疑似水晶、残り九十年分のオーラを握った。八年分を切れ味に使用する大盤振る舞いをした。ロンギヌスがウィーチを叩き潰そうと迫って来た。それをウィーチは斬り、勢いのままにラージビッグの首を斬った。


「うん。勘が戻って来ました。と言っても刀を振るのは千年ぶりぐらいですけどね」




「アレク。あれをするか?」

「そうだね。僕たちでこいつを止めよう。トランスフォームだ」


 新興国にいる全てのラージビッグはウィーチの近くにいるラージビッグの元にかなりの勢いで向かっていた。それを見ていたカーンはドーピングをすることに決めた。目の前にあるマイクをオンにした。


「アレクのオーラは十倍速で動く」




 このカーンの言霊によりリニアモーターカーよりも速く動いていたオーラを纏ったラージビッグは目にも止まらぬ速さで向かった。そして、それよりも速くオーラを纏ったロンギヌスの槍がウィーチの四方八方から飛んできた。カーンの声を聞いていたウィーチは更に自分に暗示を掛けた。


「私のオーラは二十倍速で動きます。信じろ」


 そして、視界にロンギヌスの槍を捉えたウィーチは目にも止まらぬ動きで一つずつ時間を掛けて斬っていった。と言っても一瞬の出来事のためそれほど時間は掛からない。


「さて、これ以上、ドーピングされたりしたりするのは嫌ですから。それに、僕の今回の目標はツリトさんの暗殺。元々の目的の社会を滅ぼすことも少しは一歩は踏み出せた感はありますし。と言うことで、私は空を飛べます。信じろ」


 ウィーチが一瞬で上空に上がった時、ラージビッグは合体した。その合体はスムーズに行われて千メートルはあろうかという高さになった。


「これは、危ないですね。早くツリトさんを見つけなければ」


 ウィーチはまだ空高くにいるツリト=アシュラに向かって飛んでいる途中だった。下からカーンの声が聞えたのは。


「アレクのオーラは二十倍に動く。そして、空も飛べる」

「はははっ。先にやっつけてから行けと。アレク。さすがはエージソンが作ったライバルですね」


 ウィーチは体の向きを変えて下から膝を曲げて跳ぶ準備をしているスーパーラージビッグ、アレクが命名、を見て、思わず笑った。


「仕方ないですね。十年分のオーラを使いましょう。私のオーラは三十倍速で動きます。信じろ」


 ウィーチの纏うオーラは爆発的に増えた。そして、右手に持つ刀もスーパーラージビッグに合わせて大きくした。そして、刀を大きく振り被ってタイミングを待った。スーパーラージビッグが跳んだ。右手を高く突き上げて顔を向けていた。


「僕はロボットアニメの醍醐味はやっぱりビームだと思うんだ。だから、スーパーラージビッグ。ファイナルビームだ」


 それはウィーチが刀を振ろうとした時だった。スーパーラージビッグの口が開かれて、そこから雷のビームが放出されたのだ。そのビームはウィーチの体を感電させて焼き尽くした。


「口からビームはどっちかというと怪獣がすることなんだがな」

「そうかい?僕はロボットアニメの両取りができて結構いいと思うんだけどな」


 モニター室の二人はハイタッチをして喜び合った。




 煙幕が晴れた時、そこには痛々しい姿をして肩で息をしたウィーチが見えた。ウィーチの姿は徐々に傷跡一つ残らない体に戻った。


「私のオーラは三十倍速で動くんですよ。やろうと思えば三十倍速で脳をフル回転させて自分に暗示を掛けることはできますよ。と言っても、それじゃあ、オーラの消費が少し多くなるんですけどね」


 ウィーチは空中で浮遊していたスーパーラージビッグを一刀両断した。




「「なっ」」

「僕のスーパーラージビッグが!」




「さて、そろそろ、ツリトさんに会いに行きましょうか。と言っても、いっぱいいるんですよねえ」


 ウィーチは首を上げて上を向いた。そこには小さくて見えづらいが確かに複数人のツリトの姿を捉えていた。ウィーチは上昇してそうのうちの一人と向き合った。


「ツリトさん。本体はどこにいますか?」


 ウィーチはスーパーラージビッグとの戦いで三十年分のオーラを消費してしまった。残り約六十年分のオーラしか残っていなかった。そして、残り八分と迫ってもいた。本体のツリトと戦うのはかなり骨が折れると考えていて一回ダメもとで聞いてみたのだ。また、もし、ツリトが異空間にいた時、その事実を知ってから暗示を掛けるのと、知らずに暗示を掛けるのではオーラの消費量がかなり違うのだ。それに、オーラの練度がかなり負けているため、ただ、暗示を掛けるだけでもオーラの消費量が多くなってしまうのだ。だから、分身のツリトの返事を待っていたのだが、返事がなかった。


「そうですか。残念です。私にはツリトさんの……は?」

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